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既設無塗装耐候性鋼橋の活用効果

大日コンサルタント株式会社
コンサルタント事業部 保全部 技術部長

坂井田 実 氏

公開日:2015.01.09

相対湿度50%以下であれば腐食はしない

2 耐候性鋼材の防食機能
 被覆防食に最も多く用いられる塗装では、紫外線等による塗膜の消耗が進行し、耐候性鋼材のような自己補充機能がないため、定期的な塗り替えが必要である。高度成長期以後多くの橋梁が建設され、また鋼材の価格に比べて人件費や足場費用が高騰することにより、塗り替えの費用削減が求められるようになり、塗膜の耐久性向上とともに高機能鋼材のひとつとして塗り替えの不要な耐候性鋼材の開発が進み、多くの橋梁に用いられるようになった。
 耐候性鋼材の防食方法は被覆の一種であり、銅、ニッケル、クロム等の少量の添加元素を含む鉄が酸化することによって、腐食因子を鉄素地と接触させない効果が得られる緻密な非晶質の酸化皮膜(保護性さび)を鉄素地の表面に生成する。これによって鋼材の腐食減耗速度を著しく低下させている。表面に生じる保護性さびは耐候性鋼材自体が酸化することによって生じるため、保護性さびの表面が風化等によって減少しても、新たな鋼材の酸化で補充されるため、自己修復される。しかし被覆効果は腐食環境によって異なり、鋼材表面の濡れ時間が長い状況に置かれると、普通鋼材と同様に赤さびの生成が卓越し、その腐食減耗速度の遅延効果が得られない。また一度保護性さびが鋼材表面に生成しても、環境が変化して濡れ時間が長くなると赤さび化が進み、腐食減耗速度遅延効果が得られなくなる。
 ここで注意したいのは、普通鋼材でも相対湿度が50%以下に常に保たれている環境ではほとんど腐食しないことである。したがって、雨がかりがあっても日当たりと風通しに恵まれ、濡れ時間が短く湿度が低く保たれている場合は、保護性さびや赤さびの生成があまり進まず、また保護性さびが厚く生成する必要もないのである。これらの点については正しく理解されていない技術者が少なからずおられ、一度保護性さびを生成させれば漏水等に対して保護効果があるとの誤解や乾燥状態においても保護性さびが生成されるとの誤解に起因した、「早期の安定さび*生成」が製作工事の技術提案項目となることもあると聞く。
*安定さび、保護性さび:耐候性鋼材が用いられ始めた頃は「安定さび」が用いられていたが、腐食環境が変化しても腐食減耗速度遅延効果が安定しているとの誤解を避けるため、現在では「保護性さび」と称している。

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