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既設無塗装耐候性鋼橋の活用効果

大日コンサルタント株式会社
コンサルタント事業部 保全部 技術部長

坂井田 実 氏

公開日:2015.01.09

塩分だけでなく濡れ時間の影響を強く受ける
漏水等による腐食の進行予測は研究事例がない

 4 耐候性鋼材の適用条件
 海塩粒子の飛来による塩分と水分が付着する環境が最も厳しい腐食環境であるため、耐候性鋼材を安心して裸で使用できる範囲の目安が、全国41ヶ所の曝露試験データをもとに作成された離岸距離規定および飛来塩分量規定(0.05mdd(mg/d㎡/day)以下)として用いられているが、腐食減耗量は塩分だけでなく濡れ時間の影響を強く受ける。橋梁全体を覆う湿度や飛来塩分などの環境に対する腐食減耗予測は曝露試験結果等を用いて試みられているが、漏水等による腐食の進行予測については研究事例がなく悪性さびが生成される条件が未だ明らかにはなっていない。
 そのため現状では、離岸規定や飛来塩分規定を満足し、かつ日当たりや風通しの良い環境に局所的な水仕舞に充分に配慮した構造の橋梁を建設し、数年経過後に局所的な腐食環境が生じていないか点検し、生じている場合は水仕舞の改善や部分的な塗装を施す形での活用が現実的であると考えられる。内陸部にはこのような適用が可能な環境が多くあり、その恩恵を受けることは有用である。
 内陸部に建設される橋梁において、厳しい腐食環境下に建設された橋梁の劣化事例を基に耐候性鋼橋の適用可否を判断されることは、有用な材料が活用されず残念である。

95%以上が健全な岐阜県の無塗装耐候性鋼橋
年間5700万円の維持管理費を縮減

 5 無塗装耐候性鋼橋の恩恵
 岐阜県は海に面しておらず、県土のほとんどが離岸規定を満足することから、国内で先駆的に多くの無塗装耐候性鋼橋が建設され、活用されてきている。現在岐阜県管理の既設耐候性鋼橋は200橋余あり、800橋余の鋼橋のうちの1/4を占めている。日当たりが悪く植生に覆われた箇所や地山に極端に近接して建設された橋梁、並列橋からの跳水が直接かかる位置に建設された橋梁が数橋あり、それらについては補強や環境改善対策が必要であるが、95%以上が健全または水仕舞の不備による局所的な悪性さびが生じている橋梁である。岐阜県が管理する耐候性鋼橋の98橋について桁端部に悪性さびが生じているかどうかを調査した結果によると、悪性さびが生じている桁端数は7%程度である。局所的な悪性さびが生じている橋梁においても、悪性さびが鋼材の全表面積に占める割合は、明らかに1割に満たない。したがって、少なく見積もっても90%以上の表面積において耐候性鋼材に期待される性能が得られているのである。
 これらの橋梁を塗装橋で建設した場合の塗り替え費用を概算してみる。重防食仕様のC系(ふっ素樹脂系)塗装が標準的に用いられるようになってまだ10年ほどしか経過していないが、塗り替え費用を少なめに見積もるためにC系塗装が用いられたとして、塗り替え間隔を40年、塗り替え費用を1.1万円/㎡とすると、全耐候性鋼橋の橋面積が約10万平方㍍で単位橋面積(路面の面積=有効幅員×橋長)当たりの塗装面積は約2.3㎡/㎡であることから、局所的なさび対策として10%に部分塗装を施し、これを塗り替えるとしても、約57百万円/年の維持管理費が縮減できていることになる。

  図-4 悪性さびが生じている桁端数の調査結果

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