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既設無塗装耐候性鋼橋の活用効果

大日コンサルタント株式会社
コンサルタント事業部 保全部 技術部長

坂井田 実 氏

公開日:2015.01.09

架橋位置の選定条件で回避可能
著しい腐食原因は3点に集約できる

 3 悪性さび発生部位と発生原因
 無塗装耐候性鋼橋の悪性さび(赤さびを主体とした進行性のさび)は、表-1に示すようにその発生部位の大きさで4つに大別でき、その発生原因はさまざまである。しかし広範囲に悪性さびが生じる原因は、いずれも架橋位置の選定時点で回避が可能な項目であり、内陸部の既設無塗装耐候性鋼橋において著しい腐食が生じる事例は、次の3つのうちのいずれかである。
 ① 広範囲に悪性さびが生成されるような不適切な環境に計画し、建設されてしまったもの
 ② 局所的なさびが生じるような水仕舞に対する配慮に欠けた構造で当初から建設されたもの
 ③ 水仕舞に対して適切な配慮がなされた構造で建設されたが、経年劣化等によって水仕舞の悪い状況に陥ってしまったもの
 ①は耐候性鋼橋を採用すべきでない環境にある橋梁に適用してしまったもの、②は水かかりの予想される範囲に塗装や跳水防止板等の対策を忘れたもの、③は漏水に対する配慮が欠けたか施工時の不具合や経年劣化によって漏水が生じてしまったものである。

風通しが良ければ腐食は生じない

 冬期に融雪剤が撒布される寒冷地は腐食環境が厳しいとよく言われるが、内陸部の上路橋において塩分を含んだ路面水が巻き上げられても、床版の裏側に回り込んで鋼桁に付着するものは多くの水分が蒸発して軽くなった粒子であり、それが付着しても風通しの良い乾燥状態では著しい腐食は生じない。確かに濡れ時間が長くなる日当たりが悪く植生に覆われた場所や霧が発生しやすい場所においては、融雪剤が撒布される場合の方が塩分の腐食促進作用によって腐食速度が著しく大きくなるが、路面水の処理を適切に行い、鋼材を乾燥しやすい環境に置けば、融雪剤の撒布は特に問題にならない。現在は融雪剤による影響に対しても、海塩粒子の影響による腐食減耗量の予測式を用いざるを得ないが、融雪剤の撒布期間は限定されており、塩分の影響を受ける期間が明らかに沿岸地域より短いため、過大な評価が適用されていることになる。年間の撒布期間の割合や濡れ時間等を考慮した融雪剤散布地域における腐食減耗量の予測について明らかにすることが望まれる。
 日当たりや風通しの良い環境下において濡れ時間が長くなる要因には、次のような項目がある。
 ① 舗装内に浸透した雨水
 ② 除雪によって路側に積まれた雪
 ③ 横引き排水管内に詰まった土砂内に浸透した雨水
 ④ 橋台背面埋設部から添架管を伝う地下水
 ⑤ 添架水道管継手部の漏水
 これらは降雨降雪後に天候が回復しても乾燥しにくく、保水された水分がなくなるまで少しずつ出てくるため、長時間にわたって鋼材を濡らし、腐食環境が著しく悪くなる。


                   表-1 悪性さびの発生部位と発生原因

         (a) さび外観評点(丸数字が評点で大きいほど健全な状態を表す)

    (b) 冬期橋面状況(左が耐候性鋼橋)      (c) 跳水のかかる耳げた(G1)外面

        (d) 中げた(G2)               (e) 跳水のかからない耳げた(G3)外面
   (a~eの写真) 冬期融雪剤撒布路線の並列橋の調査事例(建設後17年経過)

   写真-2 海岸近くの耐候性鋼橋の腐食   写真3 床版水抜きの導水不備による支間部の腐食

 写真-4 伸縮装置の漏水による桁端部の腐食     写真-5 地覆部における止水不備

    図-6 横引き排水管継手部漏水による腐食            図-7 排水桝と排水管の継手部からの溢水

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