道路構造物ジャーナルNET

新たに発刊した「道路橋防食便覧」のポイント

③溶融亜鉛めっきによる防食

公益財団法人 東京都道路整備保全公社
一般財団法人 首都高速道路技術センター

髙木 千太郎

公開日:2014.12.01

「めっき」は優れた防食法

おわりに
 今回、防食法として採用されている表面処理の代表的な方法、溶融亜鉛めっきを解説したが、めっき槽の制限やめっき処理過程で必要となる変形防止材等の特別な措置が必要な事から道路橋の主要な部材に採用される事例は減り、小規模な部材で構成される附属物に使われる事例が増加している。しかし、防食原理の項でも解説したように「めっき」は優れた防食法であることは事実である。近年、厳しい腐食環境下(塩害地域、凍結防止剤散布地域等)において、溶融亜鉛めっき以上の耐食性が期待できるめっきによる防食方法として、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっきが用いられるようになってきている。これは、道路橋において実績はないものの、附属等には適用が可能な防食法であるが、採用にあたっては、十分な事前調査と曝露試験等が必要である。
 また、現在使用されている道路橋などの鋼構造物には、いずれも鋼材の腐食に対する適切な措置が行われていると考えるのが一般的であるが、それでも種々な部分にさびが発生するのは、環境条件の変化、設計の不備、防食対策の不適合、維持管理の不足など予期していない事情が働くからとも考えられる。鋼構造物に発生したさびが対象構造物の寿命を縮めているのは確かであることから、早期に腐食による損傷や防食機能の劣化を定期的に行っている点検で発見し、進行速度や拡がりを適切に診断し、早め早めの対策を行なうことがライフサイクルコストの最小化の観点からも必要であり、溶融亜鉛めっきを採用した場合も同様である。
(次回は1月1日配信号に掲載予定です)
以前の連載(クリックするとバックナンバーにとびます)
②耐候性鋼材と緻密なさび
①塗装による防食技術
道路橋の現状と課題

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