道路構造物ジャーナルNET

有明海沿岸道路直轄区間約35kmを所管

有明海沿岸国道事務所 (仮称)筑後川橋と(仮称)早津江川橋のふたつのアーチ橋上部工架設が完了

国土交通省
九州地方整備局
有明海沿岸国道事務所長

福崎 昌博 氏

公開日:2020.04.14

(仮称)早津江川橋 アーチ橋(P3-P7径間)の橋長は448m
  風対策のために橋梁側面にフェアリングを設置

 ――大野島IC~(仮称)諸富IC間の構造物は
 福崎 筑後川の分流である早津江川を渡河する(仮称)早津江川橋と、同橋と(仮称)諸富ICを結ぶ(仮称)諸富高架橋があります。
(仮称)諸富高架橋は上り線322m、下り線338mの鋼5径間連続非合成鈑桁橋+鋼6径間連続非合成鈑桁橋で、架設工法はクレーン+ベント工法です。鋼5径間連続非合成桁鈑橋は2019年11月に架設完了しています。鋼6径間連続非合成桁鈑橋は上り線のみ2019年12月に架設完了しています。


(仮称)諸富高架橋 上部工架設

(仮称)諸富高架橋の現況(左:起点側から/右:終点側から)

(仮称)早津江川橋は、橋長854mのPC4径間連続中空床版橋+PC7径間連結プレテン床版橋+鋼3径間連続非合成箱桁橋+鋼4径間連続中路アーチ橋です。渡河部のP3-P7径間が橋長448mのアーチ橋で、最大支間長は150m(P4-P5径間)となっています。


(仮称)早津江川橋P3-P7径間 橋梁一般図

 ――P3-P7径間にアーチ橋を選定した理由は
 福崎 架橋地の下流右岸には世界文化遺産の三重津海軍所跡があり、それを配慮して「三重津海軍所跡に馴染む緩やかなラインが美しく見える橋」をデザインコンセプトとしました。それに基づき、三重津海軍所跡への圧迫感の軽減のため、(仮称)筑後川橋と同じく、橋脚を低くして1つのアーチを橋脚上で2本に分岐するという単弦の単径間バランスドアーチ橋としています。橋桁の色彩についても、周辺に広がる緑や落ち着きのある空間に調和する淡い裏葉色(うらはいろ)となっています。


(仮称)早津江川橋の現況(左:下流側より/右:上流側より)

(仮称)早津江川橋 完成予想図

 ――そのほかに特徴がありましたら
 福崎 アーチ部は道路線形により曲線橋で、桁の厚さが3.5mと厚くなっており、風の影響を受けやすい構造となっています。そのため、橋梁側面にフェアリングという風切を設置して、橋梁が受ける風の乱れを防ぐことで安全性を確保しています。


風対策のために設置されたフェアリング(右:大柴功治撮影)

 また、アーチリブの断面が3.1mと高く断面的主張が大きいことから、下部に角度をつけた六角形とすることでシャープな印象を与えるようになっています。


アーチリブを六角形にすることでシャープな印象に(大柴功治撮影)

P4-P5径間の航路部以外はクレーン+ベント工法で架設
 架設では三重津海軍所跡の遺構にも配慮

 ――(仮称)早津江川橋(P3-P7径間)の工程は
 福崎 2015年11月に起工式を行い、下部工工事に着手しました。有明海は国内最大の養殖海苔の生産地で、日本産海苔の約半分は有明産となっています。その養殖への影響がでないようにコンクリートの打設と養殖時期が重ならないように工事を行っています。
 上部工は、2016年10月から桁の工場製作を開始して、2017年11月にP4スプリンギング架設から着手して2018年5月に完了しました。その後、P3からP4先の河川内ベントまでの補剛桁架設をクレーン+ベント工法で実施し、同年11月からはP5スプリンギング架設と両側の補剛桁架設を行っています(2019年3月完了)。


P4スプリンギング架設

P3からP4先ベントまでの架設

P5スプリンギング架設

 2019年3年から6月までP6-P7径間の補剛桁をクレーン+ベント工法で架設後、P4-P5径間のうち航路部(幅約50m)の送出し架設に着手しました。
 送出し桁は53m(重量約530t)、手延べ機の40mとあわせて総重量は約600tとなります。架設済みのP3からP4先ベントの桁上で地組みを行い、送出し長約110mを同年7月末の3日間で送出しました。送出し完了後は、同年9月~2020年1月までアーチリブ架設・ケーブル架設、2019年12月からはP5-P6径間の補剛桁架設に着手しました(2020年2月完了)。


P6-P7径間の架設

航路部の送出し桁と手延べ機の地組み

アーチリブ架設

 ――桁製作での工夫や苦労した点は
 福崎 曲線の補剛桁と直線のアーチリブが組合わさる複雑な構造となっていました。そこで、CIM試行で作成した3次元モデルを利用して取り合い確認、輸送ブロック検討などを実施しました。
 とりわけ、スプリンギングの製作には苦労したと聞いています。複雑な形状の製作情報を作成するために3D-CADにより形状を再現して、3Dデータを利用して原寸データを作成しています。また、3Dプリンターやボール紙で模型を作成して、組立順序、溶接順序、溶接施工性などの確認といった製作検討を行いました。スプリンギングの仮組立は架設現場と同じ配置で立体組立を行い、架設時の組立精度を向上させています。



模型を作成して各工程の確認と検討を行った

 アーチリブは、実仮組立前に数値組立を行い、そのデータをもとに添接板を製作して実仮組を行うことで出来形精度を向上させました。
 ――スプリンギング架設での留意点は
 福崎 スプリンギングの架設では、左右のスプリンギングともに斜角があり、角度も違うため、転倒防止と形状管理に留意しました。形状管理ではトータルステーションで3次元計測を行っています。
 ――補剛桁クレーン架設での工夫や配慮したことは
 福崎 アーチリブと補剛桁が結合する区間があるため補剛桁のブロック割が変則的となり、ブロックごとに重心位置を検討し、吊天秤を使用するなどの工夫が必要でした。
 P5-P7径間の三重津海軍所跡の工事区間は遺構に配慮した施工が求められました。ベント杭位置は試掘結果を反映して1本ごとに座標を確認しながら打設し、ベントが立てられない遺構内はトラス構造の大梁を設置して架設しています。


P6-P7径間の遺構内はトラス構造の大梁を設置して架設を行った

 杭打設と架設は遺構外から行う必要があり、作業半径の関係で350t吊クローラクレーンを採用しましたが、据付け位置が軟弱地盤だったために、事前にサウンディング試験を行い、砕石置換による地盤改良を行いました。

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