道路構造物ジャーナルNET

有明海沿岸道路直轄区間約35kmを所管

有明海沿岸国道事務所 (仮称)筑後川橋と(仮称)早津江川橋のふたつのアーチ橋上部工架設が完了

国土交通省
九州地方整備局
有明海沿岸国道事務所長

福崎 昌博 氏

公開日:2020.04.14

日標準施工量40mの約2倍の施工量を1日で送出し
 駆動シンクロジャッキとエンドレスキャリーを導入して実現

 ――P5-P6径間の送出し架設について、送出し桁と手延べ機の長さと重量、および3日間の各日の送出し量と工程は
 福崎 送出し桁は約130m、重量1,400t、手延べ機は約66m、重量220tで、連結構などを合わせた総重量は約1,765tとなりました。送出し量は、1日目が83.9m、2日目が82.3m、3日目が29.3mでした。1日目にはP6から約100mの位置に構築した河川内ベントに手延べ機を到達させ、2日目にP5に到達、3日目に所定継手位置までの送出しを行いました。


送出し前/送出し1日目

送出し2日目/送出し3日目


送出しステップ図(拡大してご覧ください)

 ――3日間で送出しを完了させるために、シンクロジャッキなどを使用したとのことですが、送出し設備について詳しく教えてください
 福崎 桁下を往来する航行船舶への影響を最小限とするために急速施工が求められました。そのため、日標準施工量40mの約2倍の施工量を1日で送出すための設備を構築しました。
 まず、日本に8台しかない駆動シンクロジャッキの導入です。回転するクローラが連続的に桁を受けることで、ノンストップの送出しを可能にする特殊なジャッキで、さらに駆動力を備えたタイプを使用することで補助推進の機能も発揮します。送出す延長の長いエンドレスキャリーも6台用いています。ワイヤーをクランプする機構とジャッキにて引き込む機構とを交互に作動することによって連続的にワイヤー引き込みを行う推進装置で、6台合計で3,000kNの推進力を発揮しました。
 また、シンクロジャッキの前後にはガイドローラーと盛替え用ジャッキを設置して、送りラインからの逸脱を抑制するとともに、調整の手間を減らす工夫も行いました。


駆動シンクロジャッキ/(右)移動量制限装置。後方には盛替え用ジャッキが見える

連続的にワイヤー引き込みが可能なエンドレスキャリー

 ――アーチリブの架設はどのように行ったのでしょうか
 福崎 P5-P6径間はアーチリブベントを11基、P6-P7径間は10基の組立てを行い、アーチリブは陸上で2ないし3ブロックの地組みをして、桁上に配置した200t吊クローラクレーンで架設していきました。架設回数は、P5-P6径間が12回(最大架設荷重48.6t、合計391.1t)で、P6-P7径間が11回(最大架設荷重44.0t、合計333.9t)でした。


アーチリブ地組み/P6-P7径間アーチリブ架設

 ――架設で課題になったことはありましたか
 福崎 設計段階でアーチリブ架設の補強を実施しているので、応力的な問題等はありませんでした。ただ、継手部をすべて現場溶接で行いましたが、風が強いところなので風防設備を設置して、航行船舶や係留船舶に影響を与えないようにしっかりとした対策を取りました。


現場溶接のための風防設備/アーチリブの溶接

 ――ケーブル設置時の工夫点は
 福崎 P5-P6径間は補剛桁を送出し架設したため、中間ベント(B7ベント)のみで補剛桁を支持、一方、P6-P7径間はベント架設のため多点支持状態(B11~B16ベント)となっていました。
 このため、ケーブル設置時の補剛桁形状が両径間で異なるため、アーチの架設形状、補剛桁のたわみ、およびケーブル定着間の距離を構造物の温度が一定となる夜間に実測計測して、その結果をケーブルの製作長およびシム板の製作(準備枚数)に反映することで、問題なく設置作業とケーブル張力の調整作業ができました。
 また、アーチリブ内、補剛桁内にはケーブル引込み用の吊金具を複数個設置して、ガイドワイヤー、滑車、レバーブロックを利用することでケーブル設置時の施工性を向上させました。
 ただ、アーチリブをすべて溶接しているので、アーチリブ側を定着させるのはすべて人力で行わなければならず、大変な作業になりました。


ケーブル設置/アーチリブ側のケーブル定着

 ――上部工工事での維持管理対策がありましたら教えてください
 福崎 長寿命化に向けた取り組みとして、非破壊検査の厳格化などによる溶接継手部の施工品質の向上に取り組んだほか、鋼桁内部の滞水防止として、水抜き孔の追加などを行っています。また、点検時の作業効率化と安全性確保に向け、昇降ステップの追加やマンホール上部の取手追加などの対策を施しているほか、CIMを用いた維持管理動線の確認動画を作成しています。

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