道路構造物ジャーナルNET

有明海沿岸道路直轄区間約35kmを所管

有明海沿岸国道事務所 (仮称)筑後川橋と(仮称)早津江川橋のふたつのアーチ橋上部工架設が完了

国土交通省
九州地方整備局
有明海沿岸国道事務所長

福崎 昌博 氏

公開日:2020.04.14

台車設備の水平ジャッキとシンクロジャッキを併用して送出し
 CIMモデルを作成して点検経路などを動画で確認

 ――航路部の送出し架設について教えてください
 福崎 曲線桁の送出しのため、軌条設備と台車設備を設置して、台車設備の水平ジャッキとシンクロジャッキを併用して行いました。試験引きを入れて3日間となりますが、安全上、1日でP4側ベントからP5側ベントに手延べ機を到達させなければならなかったため、午前5時30分から作業を開始して午後7時30分まで送出しを行いました。
 手延べ機のたわみは、連結構で自重分のたわみの仰角約1度をつけて到達時にゼロになる形で施工しています。翌月の8月中旬には5.5mのジャッキダウンを1日で行いました。


送出し前/送出し中

送出し完了

送出しステップ図

台車設備の水平ジャッキとシンクロジャッキ

左から前方台車設備、中間台車設備、後方台車設備

 ――アーチリブ架設は
 福崎 アーチリブベントは10基組立て、アーチリブを2ブロックずつ地組溶接して、桁上に設置した200t吊クローラクレーンでP4側から片押しで施工しました。12回に分けて架設を行い、エレクションピースで仮添接後、風防設備を組立て、現場溶接を行っています。


アーチリブはP4側から架設した

アーチリブ架設完了(大柴功治撮影)

 ――アーチリブベントの転倒防止策については
 福崎 工場製作時に、鋼床版のデッキ上にねじスタッドを溶接してベント基部の梁を補剛桁と固定するようにしています。横荷重に対しては、フェイルセーフとしてワイヤーでのラッシングを行い、ベントの頂部についてもベントに鉛直荷重が受けられる冶具を製作してアーチリブに設置しています。


アーチリブベント

 ――現場溶接は苦労されたのではないでしょうか
 福崎 景観上の配慮から現場継手は溶接構造が主体的になっていますが、溶接姿勢が多岐に渡るため、技量が求められました。


サブマージアーク溶接

自動溶接

 ――維持管理対策では
 福崎 CIMモデルを作成して点検経路などを動画で確認できるようにして、製作段階で変更した部分もあります。また、点検通路の確保のためにアーチ下部にマンホールを追加するとともに、アーチクラウン部のマンホールは桁内から開く必要があるため、アルミ製を採用して軽量化しました。


事前に点検経路などを動画で確認して製作に反映した

アーチクラウン部のアルミ製マンホール

管理橋梁は74橋
 Ⅲ判定は6橋、Ⅱ判定は7橋

 ――供用区間23.8kmの構造物について伺います。構造物数とその内訳は
 福崎 橋梁は74橋を管理しています。そのうち、溝橋、ボックス構造が21橋です。橋種別では鋼橋35橋、PC橋14橋、RC橋22橋、複合橋3橋です。供用年次別では、2007年が1橋、2008年が30橋、2009年が1橋、2010年が2橋、2012年が16橋、2017年が24橋です。トンネルはありません。
 ――定期点検結果について教えてください
 福崎 Ⅲ判定が6橋で、Ⅱ判定は溝橋を含めて7橋です。Ⅲ判定の橋梁の一部では、ひび割れ充填工やひび割れ注入の対策を行っています。Ⅱ判定の橋梁でもひび割れ注入などの予防保全的対策を行う予定です。
 ――どのような部位に損傷が発生していますでしょうか
 福崎 一例ですが、諏訪公園橋(PC6径間連続中空床版橋)の桁端部において幅0.2mmのひび割れがみられました。


諏訪公園橋の損傷状況と補修後

 ――修繕計画は策定していますか
 福崎 大規模な修繕事案はまだ発生していないので、計画で数年をかけて行うものはありません。ただ、Ⅲ判定やⅡ判定となった橋梁については速やかに設計を行って、補修をしていきます。軽微な段階での予防保全を行っていくことを方針としています。今年度は2巡目の点検として22橋の点検を開始しています。
 ――耐震補強対象となる橋梁はありますか
 福崎 ありません。
 ――災害が頻発しているなかでどのように道路維持をしていくのか、お考えを聞かせください
 福崎 地域高規格道路として災害を含めて非常時に機能する道路でなければならないと考えています。整備の段階からしっかりとしたスペックで道路を建設するとともに、日常の維持管理についても災害が起きにくくなるように行っています。しかし、自然には勝てませんので、地震や豪雨で被災する可能性もあります。その際には速やかに復旧を行って、緊急的な道路として機能するような体制を確保していきたいと考えています。
 ――ありがとうございました
(2020年4月14日掲載 聞き手=大柴功治)

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