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管理延長は約321km、558橋、21トンネルを管理

熊本河川国道事務所 国道57号北側復旧ルート 2020年度中の開通を目指して工事を展開

国土交通省
九州地方整備局
熊本河川国道事務所長

鈴木 学 氏

公開日:2020.03.25

上部工補修・補強は過去3年間実績なし、疲労き裂の発生もなし
 塩害は5橋で確認、アルカリ骨材反応による劣化は見られず

 ――経年劣化や疲労などによる上部工補修・補強の2019年度を含む過去3年間の実績と今後の予定は
 過去3年間の実績はなく、管内で疲労き裂の発生もありません。今後は、国道57号の宇土跨線橋(橋長55m、単純PCプレテンI桁橋3連、PC単純ポステンT桁橋2連)の床版補修を予定しています。
 ――宇土跨線橋の床版損傷原因と対策は
 供用が1960年と古いために経年劣化によりコンクリート床版に損傷が発生していて、対策として上面増厚(鋼繊維補強コンクリート打設)を行います。


床版の損傷状況(左:うき/中央:遊離石灰/右:土砂化・ひび割れ)

 ――床版防水の施工状況と今後の施工方針を教えてください
 溝橋を除くほとんどの橋梁で施工済みとなっていますが、橋梁点検時に床版からの雨水の浸透による損傷の疑いがある場合は詳細調査・設計を行い、橋面防水対策を実施しています。
 ――塩害やアルカリ骨材反応による劣化は発生していますか
 塩害は5橋で確認されており、剥離・鉄筋露出、うきが見られています。アルカリ骨材反応による劣化の橋梁はありません。
 ――塩害による劣化の具体的対策例を教えてください
 鈴木 国道3号の弁天橋では、2018年度に剥離・鉄筋露出、うきの箇所の断面修復を行い、表面含侵工を実施しました。表面含侵工は、内部鉄筋の腐食抑制効果があるシラン系表面材「プロテクトシルCIT」を採用しました。


国道3号弁天橋 対策前/断面修復

表面含侵工/対策後

耐震補強対象橋梁の91%で耐震対策済み
 2019年度の鋼橋塗替えは2橋で1,207m2を予定

 ――橋梁の耐震補強の進捗状況は
 耐震補強対象橋梁(橋長15m以上の本線橋)は182橋あり、165橋(91%)で耐震対策済み(耐震性能2完了)です。残る17橋については計画的に耐震補強を実施していく予定です。なお、管内は2021年度までに対策完了を目指す地域(今後30年間に震度6弱以上の発生確率が26%以上の地域)ではありません。


国道3号白鷺橋(対策前と対策後)

国道57号弓削大橋(対策前と対策後)

 ――ロッキング橋脚補強への対応は 
 管内には、九州自動車道熊本IC付近に架かる国道57号の託麻跨道橋(上り/下り)2橋がありますが、2018年度にNEXCO西日本で対応済みとなっています。
 ――支承交換および伸縮装置取替えの2019年度の施工箇所は
 2019年度は、支承交換1橋、伸縮装置取替え6橋を予定しています。
 ――2019年度と2020年度の鋼橋塗替え予定について橋数と面積、具体的な塗替え事例を教えてください 
 2019年度は2橋で1,207m2の塗替えを実施する予定です。いずれも歩道橋で、国道3号の陣山歩道橋(588m2)は既存塗膜に低濃度ではありますがPCBを含有、国道57号の大津歩道橋(619m2)は鉛を含有していましたので、両橋とも1種ケレン程度の湿式(塗膜剥離剤)で素地調整を行っています。2020年度の予定はありません。


国道3号陣山歩道橋/国道57号大津歩道橋(いずれも対策前)

 ――有害物質を含む既存塗膜の処理については
 指定された施設へ運搬処分し、適切な処理をしていきます。有害物質が含有されている橋梁については、修繕と重なれば計画的に取り組んでいきますし、修繕計画がなければ有害物質除去の工事を行っていきます。
 ――耐候性鋼材を採用した橋梁数とその健全度は
 管内には30橋あります。健全度は、Ⅲ判定はなくⅠが16橋、Ⅱが12橋、未点検2橋(新規供用橋梁)です。過去にも損傷や劣化で対策を実施した事例はありません。

防災 要対策箇所65箇所は2020年度にすべて対策完了予定
 トンネル補修工事で剥落防止工として「NAV-G工法」を採用

 ――道路防災総点検での要対策箇所数と進捗状況を教えてください
 平成18(2006)年の道路防災点検時での要対策箇所は65箇所で、現在は57箇所の対策が完了して、残り8箇所が未対策となっています。その8箇所のうち、2箇所は2019年度に対策を行っており、6箇所については2020年度に対策を行う予定です。
 ――対策の具体的な事例は
 2016年度に国道3号の山鹿市北町四丁地区で落石対策としてロープネット工を施工しました。2018年度には同じく国道3号の葦北郡芦北町白岩地区で土砂流失防止対策として防護擁壁とふとん籠工を施工しています。


国道3号山鹿市北町四丁地区(対策前と対策後)

国道3号葦北郡芦北町白岩地区(対策前と対策後)

 ――新技術・新材料の活用事例がありましたら
 国道3号の赤松トンネル(延長680m、1964年完成)の補修工事で、剥落防止工として「NAV-G工法」を採用しています。同工法はガラスクロスを使用することにより、施工後も覆工コンクリートのひび割れ等の状況を目視観察ができることが特徴となっています。


国道3号赤松トンネル補修工事で採用された「NAV-G工法」①(左:下地処理 右:ガラスシート接着)

国道3号赤松トンネル補修工事で採用された「NAV-G工法」②(左:上塗工 右:施工完了)

 ――ありがとうございました
(2020年3月25日掲載 聞き手=大柴功治)

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