道路構造物ジャーナルNET

疲労による損傷、環境要因による損傷

床版の劣化と最適な対策をなすためには

大阪大学名誉教授
大阪工業大学教授

松井 繁之

公開日:2015.01.01

SPCMの補修補強マニュアルを改訂
下面増厚補強の有力工法

 ――12月にはPAE系ポリマーセメントモルタルを用いたコンクリート構造物の補修補強に関する設計・施工マニュアル(案)の改訂を技術委員長としてまとめられましたね。
 松井 12月に第二版が発行されました。
主な改訂点としては材料物性のデータとりわけ乾燥収縮特性についてのデータを増やしました。また、施工に絡んで湿潤養生が非常に重要であることを再認識しました。そのため湿潤養生期間を従来の打設後1日から2日に伸ばし、相対湿度90℃の雰囲気相当で養生を行うように定めました。養生期間を2日間とすることでPAE系ポリマーセメントモルタル(SPCM)表面にポリマーフィルムが形成され、SPCMから水分の散逸が著しく減ずるため、耐久性の向上を図ることができると分かったためです。厳しい環境では2日目以降もさらに適切な措置を講じてSPCMを保護する必要があります。こうすることで品質の良い下面増厚コンクリートを実現することができると考えています。

 来年2月には兵庫県朝来市内の国道6号の大垣橋を使わせてもらって、現場で載荷実験を行う予定です。同橋は20年前にSPCMで下面増厚補強した橋梁で、施工後5年目、10年目にも同様の載荷試験を行っており、今回は20年目の載荷試験を行い、その補強効果の耐久性を確かめる予定です。
 ――ありがとうございました

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