道路構造物ジャーナルNET

疲労による損傷、環境要因による損傷

床版の劣化と最適な対策をなすためには

大阪大学名誉教授
大阪工業大学教授

松井 繁之

公開日:2015.01.01

現在の床版厚は過剰な個所もある

 松井 もう少し踏み込んで言うと、今の道路橋示方書の床版厚の規定は過剰だと思います。特に床版防水をきっちりと行っていれば必ずしもあれほどの床版厚は必要ない。昭和39年の道路橋示方書の規定ではRC床版の厚さは180㍉程度であるわけですが、現在の230㍉程度の床版厚さとの中間ぐらいで良いと思います。ただしそれは設計寿命と交通量との関係は慎重に考える必要があります(※交通量の多い高速道路橋などでは床版スパンが長くても後述の同時載荷の頻度が高い可能性があるため)が。「中間」というのは真ん中ではなく所与の条件に応じて変える必要がある。例えば現在は、交通量の少ない橋梁でも床版のスパンが大きくなっていくと版厚はどんどん増える傾向にあるが実は逆にしなくてはいけない。スパンが長くなると同時載荷(走行車線と追越車線の同時載荷)の確率が減ってくるから、ある程度の厚さがあれば疲労を原因とした損傷は起こらないわけですよ。単位面積当たりの車輪の載る個数も少なくなるし、押し抜きせん断疲労による破壊が起こる荷重のかかり方にならない。だから床版厚はもっと下げていいわけなんですが……。

床版上面に水を溜めないことが大事
的確な排水構造が必要

 ――さて、今までのお話で疲労、環境による劣化に対していかに水が悪く作用するかを指摘されたわけですが、床版防水について・・・・・・。
 松井 橋梁床版に防水が必要かというと必ずしもそうではありません。
 ――必要不可欠ではないのですか。
 松井 要は水が床版の表面にたまらなければ砂利化現象は起きないわけです。そうした構造を考えれば良いと思います。一番水がたまりやすいのは伸縮継手付近なわけですが、そこに水がたまらないような構造を考える、あるいは的確な排水枡、導水構造を設けることによって床版の延命化は十分に可能です。例えばPC床版は水張り実験をするとほとんど水は浸透していきません。伸縮継手の近傍の床版に30㍉系の穴を1㍍ピッチぐらいに開けて排水してやれば水はたまりません。
 また、以前の排水枡は構造上、「舗装表面」の水を排水するだけであって、舗装内にたまった水を排水していませんでした。だから私は、「床版より上」の部分にたまっている水を抜く構造を思案し、床版コンクリート表面に防水工を設置し、舗装内に浸透した水を排水枡に導水する構造を考えました。以前は舗装内に浸透した水が一週間ほど留まり、床版上面のひび割れから床版内に浸入して、疲労損傷が加速劣化してしまうという損傷傾向がにありましたが、これにより随分改善できたはずです。


                排水枡構造例および製品例

 ――排水枡とコンクリート床版のシームレスな構造も先生は提案されていますね。
 松井 排水枡は継ぎ目を防水工でオーバーラップしてシームレス化し継ぎ目からの漏水を防ぐ構造にすることが肝要です。

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