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有明海沿岸道路直轄区間約35kmを所管

有明海沿岸国道事務所 (仮称)筑後川橋と(仮称)早津江川橋のふたつのアーチ橋上部工架設が完了

国土交通省
九州地方整備局
有明海沿岸国道事務所長

福崎 昌博

公開日:2020.04.14

 有明海沿岸国道事務所は、これまで3つの事務所で所管していた有明海沿岸道路を一体的かつ効率的な整備と管理を行うために2019年4月に設置された新しい事務所だ。同道路は2017年までに福岡県内の23.8kmが暫定2車線で開通し、2020年度に大川東IC~大野島IC間延長3.7km、2022年度に大野島IC~(仮称)諸富IC間延長1.7kmの供用を目指して、工事が全面展開されている。大川東IC~大野島IC間に架かる(仮称)筑後川橋と大野島IC~(仮称)諸富IC間に架かる(仮称)早津江川橋のふたつのアーチ橋の施工を中心に、同事務所の福崎昌博所長に聞いた。

九州初の3県を管轄する国道事務所
 有明海沿岸道路 延長約55kmのうち約35kmが直轄整備区間

 ――事務所の設置目的からお願いします
 福崎所長 当事務所が所管する有明海沿岸道路は、もともと福岡国道事務所、佐賀国道事務所、熊本河川国道事務所の3事務所で所管していました。
 具体的には、福岡国道事務所は三池港ICから大川東ICまでの供用区間の管理と、大川東ICから福岡と佐賀の県境までの整備区間、災害発生時の機能確保のための三池港IC連絡路の福岡県側の整備を、佐賀国道事務所は福岡と佐賀の県境から(仮称)佐賀JCTまでの整備を、熊本河川国道事務所は三池港IC連絡路の熊本県側の整備を、それぞれ担当していました。
 これらの一体的かつ効率的な整備と管理を行うために、2019年4月に当事務所が新設されました。九州では初めて3県を管轄する国道事務所になります。
 ――所管する有明海沿岸道路の概要を教えてください
 福崎 有明海沿岸道路は、福岡県大牟田市から佐賀県鹿島市に至る延長約55kmの地域高規格道路です。三池港IC~(仮称)佐賀JCTまでの延長約35kmが直轄整備区間、佐賀JCT~鹿島市までの延長約20kmが佐賀県整備区間となります。
 同道路を整備することにより、重要港湾の三池港や九州佐賀国際空港などの交通拠点などを結ぶ広域交通ネットワークを形成するとともに、並行する国道208号などの交通混雑緩和や交通安全の確保を目指しています。
 2017年までに福岡県内の有明海沿岸4市の大牟田市、みやま市、柳川市、大川市が自動車専用道路で直結し、福岡県内の約8割にあたる23.8km(三池港IC~大川東IC間)が暫定2車線で開通しました。佐賀県整備区間では6.5kmが開通しており、全体で30.3kmを供用しています。


有明海沿岸道路概要図(有明海沿岸国道事務所提供。以下注釈なき場合は同)

 ――一部佐賀県区間も担当するのですね
 福崎 福岡と佐賀の県境から(仮称)佐賀JCTまでを直轄、佐賀JCTから西側を佐賀県で整備しています。
 ――三池港IC連絡路は災害時の機能確保のためということですが、整備理由は
 福崎 三池港IC入口交差点等は、開通後に高潮浸水で通行止めが発生しています。災害発生時における道路機能確保のために、三池港ICから熊本県の荒尾競馬場跡地付近までの約2.7km区間を整備しています。


三池港IC連絡路概要図

 ――事務所の体制は
 福崎 事務所長、事務と技術の副所長、建設専門官、建設監督官がいて、総務課、工務課、管理課の3課があります。技術が15人、事務が11人の総勢26人体制となっています。

大川東IC~大野島IC間延長3.7kmは2020年度開通予定
 大野島IC~(仮称)諸富IC間延長1.7kmは2022年度開通予定

 ――事業中の路線と進捗状況について
 福崎 有明海沿岸道路(福岡県大牟田市新港町~同県大川市大字大野島、延長27.5km)の大川東IC~大野島IC間延長3.7kmを2020年度の供用を目指して工事を全面展開しています。大川佐賀道路(福岡県大川市大字大野島~佐賀県佐賀市嘉瀬町、延長9.0km)では、2022年度開通予定区間の大野島IC~(仮称)諸富IC間延長1.7kmについて全面的に工事が進んでいます。(仮称)諸富ICから西側は、測量および調査を実施中です。
 三池港IC連絡路は、ボーリング調査などを含めた調査・設計を行っています。


大川東IC~大野島IC~(仮称)諸富IC間 拡大図

 ――事業箇所の特徴は
 福崎 事業中の箇所に限りませんが、有明海沿岸はわが国有数とも言われる軟弱地盤である有明粘土層となっています。有明粘土層は、約1万年前の海水面上昇期に堆積し、その後海水面の下降により海底面が露出し、陸化した非常に柔らかい粘土が10~30m程度堆積しているものです。そのため、軟弱地盤対策が重要です。

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