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国道51号神宮橋は橋長1,075mの新橋に架替え

2024年新年特集① 関東地方整備局 圏央道未開通区間の工事が進捗

国土交通省
関東地方整備局
道路部長

野坂 周子

公開日:2024.01.01

神宮橋架替え 新橋は橋長1,075mの鋼6径間連続非合成少数鈑桁橋×4
 新笹子トンネル改修 隣接地に延長約3.3kmの新トンネルを整備

 ――国道51号神宮橋架替えについて。架替え理由からお願いします
 野坂 同橋は北浦(鰐川)に架かる橋長950mの単純PCプレテンT桁橋(76連)で、茨城県により建設され1960年に供用されています。供用後50年以上が経過した老朽橋であり、東日本大震災以降、橋脚にひび割れと沈下・傾斜が確認されています。今後、大きな地震動を受けた場合は、落橋・倒壊に至る恐れのある変状が生じる可能性があるため、橋梁の架替えを実施するものです。


神宮橋 現橋

既設橋脚の変状イメージと損傷状況

 ――新橋は現橋の横に架設することになるのですか
 野坂 現橋の北側に2002年に供用した新神宮橋(Ⅰ期線)がありますので、それと隣り合う位置に新橋(Ⅱ期線)を架設して、新神宮橋の4車線化を図ります。現橋は、新神宮橋の4車線化まで補修・点検を行いながら利用者の安全確保に務めます。


神宮橋架替え 概要図

 ――新橋の橋長と構造形式は
 野坂 橋長1,075mの鋼6径間連続非合成少数鈑桁(4連)で、基礎は鋼管矢板基礎、下部構造は逆T式橋台・張出式橋脚となります。なお、Ⅰ期線は上下部剛結構造となっていますが、Ⅱ期線は基礎への負担を低減するため、支承構造としています。
 ――現在の施工状況は
 野坂 仮桟橋を構築して下部工を施行中で、橋台は2基中、2基が完成し、橋脚は23基中、14基の橋脚が完成しています。
 なお、上部工は仮桟橋上からのクレーンベント架設、台船工法による架設を予定しています。
 ――Ⅰ期線との近接施工になりますが、基礎工および下部工施工でどのような対応を行っていますか
 野坂 鋼管矢板基礎の施工においては、鋼管矢板引抜時におけるⅠ期線への影響把握が重要となるため、自動追尾トータルステーションを用いてⅠ期線既設橋梁の変位観測を行っています。


施行状況

 ――国道20号新笹子トンネル改修について
 野坂 山梨県大月市から同県甲府市に至る新笹子トンネル(延長2,953m)と、甲州市内の観音トンネル(延長48m)の改修を行う事業です。両トンネルとも老朽化が著しく、断面不足により背高コンテナの通行に支障をきたしている状況です。
 現在の新笹子トンネルについては、隣接地に延長約3.3kmの新トンネルを整備し、観音トンネルについては別線で橋梁を新設する計画としています。


新笹子トンネル改修 概要図

新笹子トンネル(左2枚)と観音トンネル(右2枚)

 新設の新笹子トンネルは2022年度末にトンネル工事を契約しており、本体工事に向けた工事に着手しています。観音工区は用地買収を進めている段階です。
 なお、前述のトンネル工事(R4国道20号新笹子トンネルその1工事)の発注にあたっては、3Dデータを契約図書とする試行を行っています。建設生産・管理システムにおける3次元データの活用促進や、CIM活用業務・活用工事におけるさらなる効率化、2D図面から3D図面への変換の可能性、およびその効果や課題を抽出することを目的とした取組みです。
 ――現在の施工内容は
 野坂 トンネル掘削を行うため、大月市側坑口で切土工事および法面工事を進めています。


新笹子トンネル準備工事状況(左2枚)/観音工区起点側(大月市側)と終点側(甲府市側)(右2枚)

 ――掘削工法と、施工上の課題は
 野坂 NATM(発破工法)での掘削を予定しております。課題としては、現道20号に隣接した狭隘なヤードでの施工であるため、仮設備、土砂の仮置きヤードを点在した形でしか設置できないことが挙げられます。また、大部分の地山がB~CⅠと非常に硬質な変成岩で構成されているため、掘削に時間を要することが予想されます。

 ――建設事業でのDXの活用事例がありましたらお教えください
 野坂 2021年度発注の「R3国道18号上田BP神川橋上部工事」(長野国道事務所、工期:2022年3月1日~2023年9月30日)では、「2021年度新技術導入促進Ⅱ型(PC工事)」のテーマであった「ICT等を活用した配筋作業や検査の効率化手法」による工事を実施しました。従来の配筋作業ではメジャーを使った配筋位置のマーキングや検測を行っていますが、事前準備や配筋後の検査・帳票作成に多くの時間と手間がかかります。MRデバイスやデジタルカメラなどICTを活用することで、作業時間の短縮や検査・帳票作成の効率化、作業効率・生産性の向上が図られました。


神川橋上部工事でのMRデバイスを活用した配筋作業

「R5国道357号塩浜立体山側橋梁上部その1工事」(首都国道事務所)では2023年度も、「2023年度新技術導入促進Ⅱ型(鋼橋上部工事)」のテーマである「DX技術を活用した建設現場における安全管理や現場管理の高度化手法」による工事手続きを実施中です。従来は架設作業が高所作業をともなうため、安全監視員の目視確認による安全管理が実施されており、現場管理においては図面との整合や計測がアナログ的手法で行われていることから、求める最新技術としてICT技術等を利用した建設現場における安全管理や現場管理の高度化手法に関する技術を公募しています。

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