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国道51号神宮橋は橋長1,075mの新橋に架替え

2024年新年特集① 関東地方整備局 圏央道未開通区間の工事が進捗

国土交通省
関東地方整備局
道路部長

野坂 周子

公開日:2024.01.01

横浜湘南道路 シールドマシン1号機は回転立坑に到達

 ――横浜湘南道路について
 野坂 栄IC・JCTから新湘南バイパスと国道1号に接続する藤沢ICまでの約7.5kmの道路です。全長のうち、約5.4kmがシールドトンネルとなっており、事業進捗率は約56%です。開通後は自動車専用道路のネットワークを形成し、広域的な交通の円滑化を図るとともに、地域交通の分担を適正化し、国道1号の交通混雑緩和に寄与することを期待しています。
 現在は、トンネル工事、橋梁上下部工事、改良工事を実施中です。


横浜湘南道路 概要図

 ――トンネルの掘進状況は
 野坂 2機のシールドマシンで掘進を行っています。1号機は、同道路のほぼ中間点である藤沢市大鋸地区の発進立坑から藤沢IC側に向かって上り線を掘進して、藤沢IC東側の藤沢回転立坑でシールドを回転させて栄IC・JCT側まで下り線を掘進します。2022年12月には回転立坑までの全体約2.7kmの掘進を完了しました。現在は、下り線の掘進に向けて、シールドマシンの詳細な点検、整備を行っています。
 2号機は栄IC・JCT側の横浜坑口から中間点まで掘進します。2023年6月に本掘進を開始し、8月末時点で約412mの掘進が完了しています。


シールドマシンの掘進状況

シールドマシン1号機 立坑内押出し状況/2号機 坑内の状況

 ――掘進にあたりどのような安全対策を行っていますか
 野坂 地層、地質を丁寧に把握したうえで、掘進による地表面変位、騒音・振動のモニタリングを行い、周辺の生活環境に配慮した慎重な掘進を進めています。重要国道である国道1号と住宅地の下を掘進していくことになりますので、担当の横浜国道事務所も体制を整えて施工に臨んでいます。
 ――橋梁については
 野坂 2022年度に藤沢高架橋下部工事を発注しており、現在、国道1号線の旧橋の撤去を進めている状況です。旧橋撤去後に橋脚の構築を予定しています。


横浜環状南線・横浜湘南道路 施工中の橋梁(橋長100m以上の上部工。2023年3月時点)

横浜環状南線・横浜湘南道路 建設予定の橋梁(橋長100m以上の上部工。2023年3月時点)

外環(関越~東名) 中央JCT北側のA・Hランプシールドは掘進完了
 東関道水戸線(潮来~鉾田)は2025~2026年度の開通を目指す

 ――外環(関越~東名)について
 野坂 都心から半径約15km地域を結ぶ延長約85kmの環状道路のうち、関越道から東名高速までの延長約16kmが事業区間です。2020年10月に発生した地表面陥没事故を受け、シールドマシンの掘進作業を停止していましたが、中央JCT北側のA・Hランプシールド2機は、2022年3月より掘進を再開し、2023年3月までに掘進を完了しています。また、東名JCTではHランプシールドが2023年1月より掘進を開始しました。
 大泉本線シールドは、南行きについては2022年11月、北行きについては2022年12月から掘進を再開しています。事業進捗率は約63%です。
 ――陥没事故についての対応は
 野坂 地域住民の方への説明をしっかりと行いながら、事業者として誠意を尽くして対応していきます。


外環(関越~東名) 概要図

掘進が完了した中央JCT北側のHランプシールド

 ――他の有料道路事業について教えてください
 野坂 東関東自動車道水戸線(潮来~鉾田)と新大宮上尾道路(与野~上尾南)の事業を進めています。
 東関道水戸線(潮来~鉾田)は、未開通区間である潮来IC~鉾田IC間の延長30.9kmをNEXCO東日本との合併施工方式で整備を進めています。
 重要港湾群(鹿島港、茨城港)や国際拠点である成田国際空港・茨城空港へのアクセス向上や常磐自動車道、国道51号の災害時の代替路線の確保を図るとともに、北関東地域と東関東地域の連携交流の促進に寄与する事業となっています。
 ――進捗状況は
 野坂 用地取得が概ね完了し、橋梁上下部工や改良工事など全面的に工事着手しています。引き続き安全に配慮しつつ工事を推進し、2025~2026年度の開通を目指します。


東関東自動車道水戸線(潮来~鉾田) 概要図

 ――施工中の橋梁は
 野坂 橋長100m以上の橋梁では3橋(小泉第一・第二高架橋、JR鹿島線橋)あります。それ以外の橋長100m以上の橋梁は施工が完了しています。また、一部、橋長100m未満の跨道橋は施工中です。


JR鹿島線橋 施工状況

施工中の橋梁(橋長100m以上の上部工。2023年3月時点)

 ――施工上の課題はどのようなものがありますか
 野坂 地盤が軟弱な粘性土や腐植土の層が堆積している状況となっています。そのため、橋梁部では下部構造箇所のジャストボーリング結果を踏まえ、推定支持層下に軟弱層があり圧密沈下の可能性がある箇所においては、より深い位置に推定支持層線を設定しています。また、盛土部においても広範囲に軟弱地盤が堆積していることが確認されたため、深層混合処理工法による地盤改良対策を実施しています。
 
 ――新大宮上尾道路(与野~上尾南)について
 野坂 高速埼玉大宮線の北への延伸事業で、与野JCT(さいたま市中央区)から上尾南出入口(上尾市)までの延長8.0kmの高架構造の自動車専用道路です。
 国道17号の慢性的な交通渋滞の緩和や埼玉県中央地域の健全な発展などを目的としており、首都高速道路と共同で事業を進めています。事業進捗率は、約11%です。
 ――現況は
 野坂 調査設計および三橋地区ほかの用地買収、西新井地区での改良工のほか、宮前出入口では2021年度から本線高架橋の基礎工事に着手しています。


新大宮上尾道路(与野~上尾南) 概要図

 ――重交通路線である国道17号バイパスの上に高架橋を建設していくことになるので、施工が大変だと思います
 野坂 狭小敷地内での施工、かつ現道の交通に与える影響を極力少なくしなければなりません。歩道橋が多く、現道脇には大規模店舗が連坦しているという現場条件も加わり、どのように現道を切り回して工事を進めていくかを検討中です。埼玉大宮線施工時の首都高速道路の知見を頂きながら、工夫、調整をしていきたいと考えています。

国道357号(東京湾岸道路) 狭隘空間で立体化事業を進める
 多摩川トンネルでは約80mの深さまで地盤改良

 ――国道357号(東京湾岸道路)の整備について
 野坂 同道路は千葉県千葉市から神奈川県横須賀市に至る延長約80kmの道路で、交通量が千葉県区間では約5~6万台/日に達する重交通路線となっています(東京都区間は約3~5万台/日、神奈川県区間は約1~3万台/日)。羽田空港や京浜港をはじめとする物流拠点やオフィス、レジャー施設等、さまざまな都市機能の効率的な交流と、効果的な連携を図ることを目的として、複数箇所で事業を行っています。
 主要な事業として、千葉県区間の塩浜立体や船橋市内での車線増設、東京都区間の有明・東雲・辰巳立体、東京都と神奈川県をつなぐ多摩川トンネルなどを整備しています。
 ――塩浜立体は
 野坂 西行き(海側)において、現在2橋の上部工の施工を進めています。供用中の首都高速と国道357号線に挟まれた狭い空間での作業ヤードとなることや、交通量の多い市道や河川を渡河する施工となり、河川部への影響や交通規制への影響を少なくするため、送り出し架設や多軸式特殊台車による施工を予定しています。


塩浜立体 概要図/施工状況

 ――有明・東雲・辰巳立体は
 野坂 有明立体の東行き(山側)と西行き(海側)では、塩浜立体と同様に供用中の首都高速と国道357号線に挟まれた狭い空間での作業ヤードの中、有明運河内の橋脚を仮橋や台船などを利用して現在施工中です。


東京都区間(有明・東雲・辰巳立体) 概要図

有明立体 施工状況

 ――多摩川トンネルは
 野坂 同トンネルは延長が3.4kmで、高速湾岸線の多摩川トンネルと並行する水底トンネルです。浮島JCT部では深さ40mを超える軟弱地盤の埋立地に既設構造物が輻輳する区間を通過する外径約16mのシールドトンネルであることから、構造および施工に関して高度な技術的判断が求められます。そのため、「多摩川トンネル技術検討委員会」において、トンネル構造や施工方法を検討しています。
 ――軟弱地盤対策として行っていることはありますか
 野坂 立坑構築のための地盤改良を進めています。サンドコンパクション工法を用いて約80mの深さまで締固めを行っていますが、地上部の施工では管内で最大級の深さであると思います。


多摩川トンネル 概要図

 ――国道15号品川駅西口基盤整備事業は
 野坂 品川駅はリニア中央新幹線の玄関駅にもなりますので、道・駅・まちの一体感を創出するために、西口の国道15号上にデッキを架けます。その上部空間と周辺を官民連携で整備を行い、世界の人々が集い交わる未来型の駅前空間を目指します。交通と防災を融合させた複合ターミナルや、最先端のモビリティ(自動運転等)の乗降場を集約させた次世代型交通ターミナル、防災拠点としても活用できる広場などを計画しています。
 現在は、調査設計、用地買収、環境整備を実施している段階です。


品川駅西口基盤整備事業 概要図

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