道路構造物ジャーナルNET

地層構成が複雑で改良工に苦心

浜田河川国道事務所 三隅・益田道路の橋梁、トンネル、道路改良の工事が進捗

国土交通省
中国地方整備局
浜田河川国道事務所長

前田 文雄 氏

公開日:2021.07.06

三隅・益田道路 橋梁19橋のうち4橋が完成
 新沖田川橋の基礎工では地層が計画時と違いコストを見直し

 ――三隅・益田道路は
 前田 浜田市三隅町森溝上から益田市遠田町までの延長15.2kmの道路で、前にもお伝えしましたが2025年度の開通予定です。
 橋梁は19橋で、古市場第1高架橋(橋長107m、鋼2径間連続合成少数I桁橋)と遠田ランプ橋(橋長13m、PC単純プレテンホロー桁橋)、古市場第2高架橋(橋長108m、PC3径間連結コンポ橋)と滝見高架橋(橋長112m、PC4径間連結コンポ橋)の4橋が完成しています。また、14橋は工事着手しており、残りの岡見IC橋については今年度発注予定です。
 トンネルは4本あり、古市場トンネル(延長247m)、土田トンネル(延長397m)、新木部トンネル(延長307m)の3本は覆工まで完成していて、岡見トンネル(延長938m)が掘削中です。
 構造物比率は、32%(橋梁19%、トンネル13%)となります。


三隅・益田道路 概要図

三隅・益田道路 橋梁一覧

三隅・益田道路 トンネル一覧



三隅・益田道路の全体事業写真(構造物位置とその概要・進捗状況を含む)


完成した4橋。左上:古市場第1高架橋、右上:遠田ランプ橋、左下:古市場第2高架橋、右下:滝見高架橋

 ――新沖田川橋(橋長216m、PC3径間連続ラーメン箱桁橋)では、橋脚基礎にニューマチックケーソンを採用していますが、施工で課題になったことはありますか
 前田 既往の地質調査では岩層に亀裂が多く見られた部分を軟岩として計画していましたが、掘削を行ったところ、亀裂は比較的多いが硬さは中軟岩並みの層が想定より浅い位置で出現しました。そのため、コストの見直しを行っています。掘削では、軟岩の流れ盤と硬い岩層が交差している箇所があり、慎重な施工が求められました。
 ――新沖田川橋の進捗状況は
 前田 基礎工が完了して、橋脚の構築に入っています。


新沖田川橋 概要図と基礎の施行

新沖田川橋 施工状況。右写真はP2橋脚

 ――橋脚高は。また、他にハイピアの橋梁はありますか
 前田 P2橋脚が34mあります。他の橋梁では、木部高架橋(橋長272m、PC4径間連続ラーメン箱桁橋)のP1橋脚が30.5m、新津田川橋(橋長276m、PC4径間連続ラーメン箱桁橋)のP2橋脚が35.2mとなっています。
 ――下部施工中の橋梁は
 前田 今年度発注を予定している岡見IC橋(橋長18m、PC単純プレテンホロー桁橋)以外の橋梁は、完成もしくは施工中です。


木部高架橋(終点側から)/新津田川橋(P1)の施工状況

 ――下部工構築で工程短縮などの工夫をしている橋梁は
 前田 特別な工法は採用していません。オールステージングの場所打ちで施工しています。

上部工は3橋が桁製作中
 板ヶ峠第1高架橋は一般国道9号を横架

 ――各橋梁の上部工の進捗状況は
 前田 三隅高架橋(橋長146m、鋼3径間連続合成少数I桁橋)と三隅川橋(橋長325m、鋼5径間連続合成細幅箱桁橋)、古市場第3高架橋(橋長56m、鋼単純合成少数I桁橋)の3橋が現場施工に向けて桁工場製作中です。残りの橋梁上部工は未着手です。
 ――上部工施工で特徴のある橋梁がありましたら教えてください
 前田 板ヶ峠第1高架橋(橋長105m、PC3径間連結コンポ橋)は一般国道9号を横架するため、架設時に一般国道9号を通行止めにします。交通規制の調整が発生するとともに、施工時の安全性を確保しなければなりません。架設は来年度以降を予定しています。
 滝見高架橋では、床版の鉄筋結束作業を自動化できるロボット(「トモロボ」)の実証試験を行っています。施工前に全結束、チドリ結束、2つ飛び結束を選択するだけであとは自律走行して結束していくものです。


鉄筋結束ロボット(トモロボ)の実証実験(弊サイト掲載済み)

 ――掘削中の岡見トンネルの進捗状況は
 前田 2020年8月から始点側から掘削を開始して、現在、898m(2021年6月末時点)の掘削を完了しています。
 2017年に4トンネルのうち、最初のトンネルである古市場トンネルの掘削に着手しましたが、いずれのトンネルでも本体掘削で節理や流れ盤に起因した天端の抜け落ちや掘削面の崩落が発生しました。そのため、補助工法として、注入式フォアポーリング、長尺鋼管フォアパイリング(AGF)、鏡吹付コンクリートなどを採用しました。岡見トンネルでもそれら補助工法を用いて掘削しています。


古市場トンネルでの切羽崩落/岡見トンネルの坑口

岡見トンネル 掘削/フォアポーリングの打設/鏡吹付

複雑で流れ盤を有する地層構成
 地滑り対策や地盤改良で計画の見直しを行う

 ――土工区間で特徴的な箇所はありますか
 前田 当管内の地層構成は複雑で流れ盤を有し崩落しやすい箇所が至るところにあります。三隅・益田道路も例外ではなく、土工施工で苦労しています。
 益田市木部町の大浜地区では追加の地質調査で、深層にも地すべり面が確認されたため、地すべり対策として、地下水位の低下を図ることを目的として集水ボーリングと集水井を設置しました。また、表層すべりのすべり面が想定より深い位置にあることが判明したため、グラウンドアンカーの本数を増やすとともに配置などを見直しました。


大浜地区の地すべり対策

 盛土工では軟弱層の厚さが一様でないことや盛土材として適さない土であることが判明したため、4地区で地盤改良の深さを見直し、2地区で土質改良を追加しています。
 ――下部工基礎にも影響していますか
 前田 大口径深礎杭や深礎杭を採用している橋梁も多いですが、特段問題が出ているとは考えていません。

工程や計画の可視化で生産性と安全性向上を図る

 ――i-Constructionの取り組みについて教えてください
 前田 ICT施工については土工部のほぼすべての現場で行っています。事例として、中国地方整備局の2020年度「中国 i-Construction 表彰」を受賞した2件の工事を紹介します。
 ひとつ目は、「三隅・益田道路岡見地区改良第3工事」です。同工事では、3次元起工測量や3次元設計データ作成、ICT建機による施工、3次元出来形管理などの通常のICT施工に加えて、①「GCP(グラウンドコントロールポイント:座標がわかっている地上点)が不要な3次元UAV測量による工事進捗管理」、および②「360°カメラによる空撮映像、AR、3D模型を活用した現場の見える化」を行いました。①では、広範囲で日々の地形変化の大きい現場の施工状況をわずか2時間で把握でき、3次元データにより進捗状況も正確に把握できることから進捗把握のための測量作業などが大幅に削減できました。②では、現場状況や危険個所を現場関係者が視覚的に共有できたことから、施工性と安全性が大きく向上しました。


三隅・益田道路岡見地区改良第3工事での取組み

 ふたつ目が、「三隅・益田道路新沖田川橋下部工事」です。施工ステップや地盤構成を3次元モデル化して見える化を図りました。可視化することで、施工工程や施工計画が具体的かつ精度良く作成できるとともに、施工機械配置などの施工計画の作成で効率が向上しました。重機配備計画についても3次元モデルを作成して、下請業者に対しての作業指示や新規入場者教育に利用することで、作業員の理解度向上と労働災害防止に役立てています。


三隅・益田道路新沖田川橋下部工事での取組み

 ――5月24日に、「フレームワークモデル工事」による工事発注を試行するとの発表を行いましたが、具体的にどのようなものか、またその狙いについて教えてください(編集部注:インタビュー後に項目追加)
 前田 競争参加者が少数と見込まれる工事において、予め参加希望者の意思を確認した上で、特定工事参加者企業名簿を作成し、その中から複数の工事参加者を指名する発注方式を昨年度から試行しています。メリットとしては、工事の不調不落対策と、資料の簡素化や発注手続きの短縮です。

 ――益田西道路は
 前田 益田市戸田町から益田市飯田町までの延長9.1kmの道路です。2020年度に事業着手し、今年度は調査・設計を推進します。地形的にトンネルはないと想定していますが、橋梁については盛土とするのか架橋するのか、まだ検討段階です。


益田西道路 概要図

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