道路構造物ジャーナルNET

2017年新年インタビュー①

NEXCO西日本 熊本地震からの復旧、大規模更新事業の進捗を聞く

西日本高速道路株式会社
取締役常務執行役員(保全担当)

高倉 照正  氏

公開日:2017.01.01

跨道橋は基本的に自主財源で補強
 「放置は許されない」

 ――熊本地震で得た教訓を今後どのように生かしていきますか。国土交通省では特にロッキングピアを有する府領第一橋(熊本県管理)の落橋を重く捉えて、同種の橋梁については速やかに対応することを求めていますが
 高倉 西日本高速道路管内に府領第一橋と同種の橋脚であるロッキングピアを有する跨道橋は、当社管理・自治体等管理を合わせて120橋以上あります。こうした単独では自立できない橋脚を有する橋梁は、速やかに補強していく予定です。


落橋した府領第一橋/ロッキングピアが傾いた国道57号を跨ぐランプ橋(読者提供)

 ――とはいっても自治体が管理する橋梁は財源の問題からどうしても対策が遅れがちです
 高倉 構造的に問題を有する跨道橋の放置は道路管理者として許されるものではないと考えています。いったん地震で倒壊すれば、高速道路、ひいては地域社会・経済に与える影響は甚大です。そうした事態を避けるためにも、当社は基本的に自主財源で緊急補強を引き受けていく方針です。
 ――それは非常に大きく、ポジティブな決断だと思います。一気にロッキング橋脚を有する跨道橋の耐震補強は進みますね
 高倉 そう思いますが、一方で数が膨大なため当社の発注体制や受注者側の状況も考慮するなど、スムーズな執行ができるよう環境を整備していく必要があります。(受注する側にとっては)手間暇かかって数が多いというのはあまり好ましいものでないということは分かっていますから、そうした懸念を払拭しながら発注していきたいと考えています。

 ――ロッキングピアの耐震補強は、供用中の高速道路上で行われるため、非常に高い難易度が予想されます。具体的にどのような補強方法を考えておられますか
 高倉 解析は基本的に橋脚全体を一体化して壁化し、上は桁、下はフーチングと剛結し、橋台部は免震支承を設置して落橋防止装置を設置する、もしくは剛結する手法から入ります。その中で下部工や基礎がどの程度持つかなどを判断し、一個ずつ補強内容の要不要をチェックしていく、という作業になります。橋台部についても解析を行う中でRかFかを判断していきます。
 次善の選択肢としては、下端を剛結し、上端の支承を取替える手法もあります。いずれにしても個々の跨道橋の耐震性能を照査しながら判断していくことになります。


ロッキングピアの補強例

今後10年をめどに特殊橋梁を含めた更なる耐震補強を推進

 ――並柳橋のような特殊・長大橋の耐震補強進捗状況は
 高倉 当社は、アーチ、トラス、斜材π型ラーメン、方杖ラーメン、ゲルバー、エクストラドーズド、斜張橋、吊橋のような特殊・長大橋を約200橋有していますが、そのうちの平成7年以前に建設した橋梁については、これまでも順次、耐震補強を進めてきました。これらの橋梁も含めて今後10年を目途にすべての橋梁について、更なる耐震補強を推進する方針です。これらは基本的に耐震性能2に合わせます。


過年度に耐震補強を行った湯屋谷橋(左)/西池橋(右)、いずれも阪和道(井手迫瑞樹撮影)


上掲のような鋼トラス橋やコンクリートアーチ橋もある

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