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送出し、ジャッキダウンとも6回に分けて実施

愛媛県八幡浜土木 JR予讃線や国道197号を跨ぐ郷高架橋A1~P1間の架設が完了

公開日:2022.09.09

軌条は1主桁で3条配置
 50tクレビスジャッキ4基をエンドレスローラーに取り付けて横移動を制御

 曲線や幅員変化への対応は、「手延べ桁も含めて、R=900mの単円のセンターを基準線として送り出す」(鉄建建設)。また、幅員が変化しても、全ての箇所で桁直下に台車を配置できるよう、軌条を1主桁3条(全体で6条)と幅広く設置することとした。軌条は送り出し基準線(R=900m)に対して平行に配置している。送り出し方向は第1回から第6回まで同一方向(R=900mの円弧方向)としている。「桁を4点で受け、台車上のジャッキで高さを一定にして反力管理で送出す」(同)やり方とした。


6条の軌条



台車と軌条設備(井手迫瑞樹撮影)

台車上のジャッキで高さを一定にして反力管理で送出す(井手迫瑞樹撮影)

後方から見た送り出し設備(井手迫瑞樹撮影)

 橋軸直角方向の桁位置変化に対応するため、A1、中間ベント、P1のエンドレスローラーの下に、ローラー状のすべり装置を設置し、50tクレビスジャッキ4基をエンドレスローラーに取り付けて横移動を制御した。
 施工はまず、昨年7月に桁1ブロック分と連結構、手延べ機を地組した後、42.5mを縦送りした。次いで後方で桁を地組してつなげ、9月に56.1m送出し(1回目)、中間ベントに手延べ桁の先端を到達させた。さらに後方で地組みし、今年1月から5月にかけて送出しを進めた。すなわち63.4mを送出し(2回目)て、P1に到達させ、さらに後方で地組みして、18m(3回目)、15m(4回目)、15m(5回目)、16.7m(6回目)と全部で187.2m送り出した。手延べ機がP1に到達した以降は、同機を解体しつつ送出さねばならないが、P1横のヤードに360t吊オールテレーンクレーンを設置し、2ブロック(1ブロック約9m)ずつ手延べ機を撤去することで対応した。今年、5月19日に無事A1-P1間の架設は完了することができた。

手延べ桁地組状況


夜間の送出し施工状況(井手迫瑞樹撮影)

施工ステップ


縦送り

桁の地組立て

送出しという工程を繰り返していった





送出しては架設桁をクレーンで撤去するという工程を繰り返した

桁の降下量は7mに達する
 中間ベント上に最大の反力がかかる

架設(桁の所定位置への降下)
 桁の所定位置への降下施工(ジャッキダウン)は、6月中旬から7月末までに6夜間に分けて行った。架設時の勾配を水平にしたため、桁のジャッキダウン量は実に7mに及ぶことになった。降下用ジャッキはA1が200tの油圧ジャッキを4基、中間ベントが425t油圧ジャッキを4基、P1が250t油圧ジャッキを4基それぞれ使用した。中間ベント上のジャッキ能力が高いのは、「施工時に主桁2本合わせて1,000tと一番反力がかかる」(鉄建建設)ため。


送出し完了後、桁降下の段取りを行っている状況

桁降下施工状況①(井手迫瑞樹撮影)

桁降下施工状況② A1側のセッティングビームと降下用ジャッキ(井手迫瑞樹撮影)

桁降下施工状況③ A1に配置された降下用ジャッキ拡大写真/ベント上の設備(井手迫瑞樹撮影)


 課題としては完成形の縦断勾配3.2%に対して、桁降下前はレベルであり、A1(7.3m)、中間ベント(5.1m)、P1(3.3m)で降下量が異なる点である。そのため降下量の少ないP1の降下が完了するまでは平行に降下し、P1が安定状態になって以降は、A1と中間ベントの降下量を変えて(4回目A1:1.2m、中間ベント0.6m、5回目A1:1.35m、中間ベント0.6m、6回目A1:1.45m、中間ベント0.7m)、桁を回転させるように降下を行った。桁の降下は当初A1、中間ベント、P1の順にジャッキダウンしていたが、「この順番ではP1側に桁が移動する傾向がみられた」(鉄建建設)ため、3回目以降はP1ないし中間ベントから先行してジャッキダウンさせる手順に変更した。


桁降下施工状況④ 150mmストロークで降ろしていった(井手迫瑞樹撮影)

桁降下施工状況⑤ 桁下から見た施工状況 左手がA1、真ん中が中間ベント、奥がP1(井手迫瑞樹撮影)

 ジャッキダウンそのものは、ジャッキとサンドルを用いて、サンドル1段(150mm、降下に要する時間は約10分)ずつ降下させるオーソドックスな手法を用いている。ジャッキダウンは7月末に無事完了した。


桁降下が全て完了した状況

 P1~A2間70mについては、トラッククレーンベント工法で架設していく予定だ。

耐候性鋼材を採用
 排水処理を工夫し、損傷を防ぐ

高欄や地覆、舗装の施工
 地覆・高欄はアルミ製の外型枠だけが付いた形で送出しており、現場打をする際、埋設型枠として使用される。舗装は、鋼床版上をショットブラストで研掃した後、基層としてグースアスファルト、アスファルト表層を舗設していく。
 鋼桁の防食仕様は耐候性鋼材(裸仕様)とした。鋼床版を使用しているため、冬季に凍結防止剤を散布することはあるが、排水管を起点側の土工部まで引っ張り、排水箇所となる水路まで到達させていることで、塩害などが生じないようにしている。

 設計はエイト日本技術開発。元請は鉄建。桁製作及び架設の一次下請は川田工業。ジャッキなどの二次下請は大瀧ジャッキ。

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