道路構造物ジャーナルNET

東日本高速道路 維持管理リレー連載③

東北地方の高速道路における橋梁の劣化と維持管理

東日本高速道路㈱東北支社
技術部 上席構造物指導役

山田 金喜

公開日:2015.01.16

(2)PC・RC橋(桁端部)
 ①NSRV工法(VartICal girder-end Repair method at Narrow Sace)
 桁端部の遊間が20㍉ 以上の狭隘部の断面修復を、30時間程度(1夜間を含む)の工程で片車線施工を可能にしたものである。ビデオスコープと専用の架台を使用し損傷部を「見える化」(写真‐16)、専用装置による内在塩分の調査、ウォータージェットによる斫り、塩分吸着効果のある断面修復材の採用をしている。写真‐17は、写真-4に示した上蔵王橋を当該工法により補修を実施した状況を示す。


写真‐16 ビデオスコープ専用架台          写真‐17 施工後の状況

GECS工法(Guard of narrow End of beam of Concrete bridge from Salt damage)
 塩害補修に信頼性が高い電気防食工法を施工するにあたり、上部工と下部工との間の非常に狭い空間で、如何にして陽極材を取り付けるかが課題であった。
 解決策として、特殊施工機械の開発を行い、桁と下部工との隙間が12㌢以上あれば施工可能とした。
 具体的には、線状陽極方式に用いられる陽極材をV型に加工し、「溝切り機」により切削した溝に、一定の深さで陽極を押し込めるように改良した「フレーム押込み機」を用いて設置した。(写真‐18、19) その後専用のモルタルで溝内を充填している。
 また、防食電流を供給する電源装置に、ソーラーパネルとバッテリーを用いた太陽光発電システムを採用することにより、環境への配慮も図っている。


          写真‐18 溝切り状況と陽極(右上)          写真‐19 フレーム押込み機による陽極の設置

 (3)SIP(戦略的イノベーションプログラム)への参画
 総合科学技術・イノベーション会議が、科学技術イノベーション創造のために省庁の枠や旧来の分野を超えて「SIP」を創設した。産官学連携により、基礎研究からその出口までを迅速につなぎ、戦略的かつ強力に推進するものである。この中の2つのテーマに参画している。具体のテーマは以下のとおりである。
 ①「道路インフラマネジメントサイクルの展開と国内外への実装を目指した統括的研究」
 橋梁床版の余寿命予測・高耐久・長寿命化技術(サブプロジェクト1:床版サブプロ)のメンバーとして、開発技術の検証・評価を担当する予定である。

 ②「学習型打音解析技術の開発研究」
 インフラの老朽化が進み点検需要が急増する中で、熟練点検員の数は高齢化と労働人口の減少に伴い減少傾向にあり、点検員の確保が困難なケースもあるようになっている。点検員の技術に左右されずに正確に損傷の検出が可能な打音検査技術を開発する。当社としては、舗装上面からRC床版の損傷を検出する技術開発の一端を担っている。

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