道路構造物ジャーナルNET

第74回 東日本大震災から11年。笹子トンネル事故から10年

民間と行政、双方の間から見えるもの

植野インフラマネジメントオフィス 代表
(富山市 政策参与)

植野 芳彦 氏

公開日:2022.03.16

4.「補修オリンピック」

 表記について「ネーミングが悪い」と言われているが、11月に、中間評価会を実施し、3月7日に「北陸SIP」の先生方と、「市町村の橋梁管理者への簡易補修とトリアージに関する講習会」と題しセミナーを実施していただいた」。コロナ禍のためWEBでの実施となったが、300名以上の方に参加いただいた。今回、官庁関係が結構いたので良かったと思う。やはり皆さん困りごとは一緒なのだ!
 そもそもは、2巡目が終了し、いよいよ補修の実際が本格化する前に補修方法のある程度の評価をしていこうという考えからであった。良く営業に来られる方が「NETISに登録されてます。」と言うのは聞き飽きた。何らかの評価を実行し、良いものを採用しようと考えたが、一自治体に評価する実力は無いので大学の先生方にお願いし、金沢大学、金沢工業大学、福井大学、富山大学、富山県立大学、長岡高専、石川高専、等の先生方と評価を実施した。

 これに参加した業者さんは9社で、皆さん熱心に取り組んでいただき、富山市のフィールドを使った実績を、文献や講演会などでどんどん発表いただき、世の中に広めていただきたい。まだ、3年目なので、中間評価としている。今後5年、10年と評価し、再劣化などの問題も定義していきたいと考えているが、いかがなものだろうか?(何せ私は隠居の身なので)

 若かりし頃、国土交通省の「技術審査証明事業」と言うのを担当していた。いわゆるかつての新技術の大臣認定制度であったが、民主党政権の時に解体されてしまい、11の国土交通省所管の財団法人がそれぞれのテーマに関し認定する制度になってしまい、知名度も下がってしまった。しかし、委員会を設定し、半年以上の歳月をかけ、審議した結果、認定するものであり信頼度は、格段高かったが、今やその制度すら知られてはいない。この制度に残念ながら、コンクリートなどの補修材料や補修工法の申請は1件しか無いと思う。誰かが評価しないと始まらない。だからやったのだ! これは私の危機感の表現なのだが!

5.まとめ

 「プロの目」と言うことを書いたが、プロならば、あっという間にわかるものも、どんどんアマチュア化していっているようで、例えば、「これの工事費はいくらくらいかな?」と聞かれたときに、プロならば、「ザクっといくら」と瞬時に出せる。しかし、「厳密に検討しないと出てこない」と答える人が多い。その場の状況で相手が求めているものが判断でき、瞬時に対応できるのが、プロなのではないだろうか? 最近そう言う人たちがめっきり減った。

 最近はアマチュアよりもさらに、まったくの素人さんたちが、聞きかじりで、きれいごとを並べて好き勝手を言っている。まあ、意見を述べてもらえるのはありがたい。しかし、プロは危機を回避し、よりよい社会を構築していく義務がある。事故などもできる限り抑えなければならない。いい加減な計画や設計を行い、多くの方々に迷惑をかけたのでは意味が無い。自分たちの存在意義が無い。本来は現場のことや、どうやって作るのか?と言うことがわからないで、設計しても、危険であるし無意味である。民間には民間の役所には役所のプロ意識が必要である。教えてもらうことも必要だし、議論していくことも必要である。双方がおりこうさんでは、よいものはできない。
 しかし、この国では、「プロ」と言うのは、さほど力を持たない。(持たせてもらえない)コロナの件を見てもわかるだろう。最終的には「政治判断」と言うものが、大きな力を持つ。事業をやるかやらないか? 何をやるかという最終判断は政治判断である。これを、第三者、全くの一般の方々がとやかく言うことが多いが、それは実行者に向けられていることが多い。実行者は、賛成でも反対でも政治判断に基づいて実行しなければならない。執行者と決定者は違うことがわかっていない。執行者は政治判断されて決定されたものを実行する役割であるが、批判は執行者に向けられる。これは本来違うのだ。弱い立場なのだ。これが、進まない理由のヒントである。
 そして「先見の明」、先が読めなければこれまたプロではない。自分が専門とする事柄の先行きは、ある程度読めないと、プロ失格である。そういう人たちがめっきり減ってしまった。やはり、橋やダム、トンネルと言った土木構造物に魅力を感じない人たちが増えてしまったのだろう。数年に一度くらいは、新規のビックプロジェクトが実行でき、若手技術者が希望の持てるような仕組みも必要ではないだろうか?(次回は2022年4月16日に掲載予定です)

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