道路構造物ジャーナルNET

第67回 伸縮装置の標準化検討例

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
政策参与

植野 芳彦

公開日:2021.08.16

4.まとめ

 今後、人口減少や社会システムの変化に伴い、公共事業のあり方や質に対して求められる物が変化してくる可能性は大きい。しかし、社会インフラを構築し守っていくという、我々の役割に変化はない。インハウスエンジニアとして、覚悟と責任を持って取り組んでいくことが重要である。ツールは時代によって変化するし、進歩する。其れを活用していくのは人間である。考える職員が増えることが今後の、インハウスエンジニアの質を高める。

 先日、ある案件で、業者がなかなか動かず、揉めた会議があった。契約してから7か月たつがいまだに、施工計画書も出ていない。市の担当者と業者側そして施工管理のコンサルが出席し、会議をしていて、「施工管理」の話題になった時に、課長代理が「コンサルはなにをやっているの?」と聞いた。すると某大手コンサルの30代の担当者君は「業者さんと市を指導している。」とおっしゃった! これで、課長代理が切れた! そもそも、ちゃんと設計ができていれば施工管理コンサルもいらなかった(その会社の設計)。こういった勘違い君を育てている企業さんに問題があるし業界そして土木界に問題が有る。居る世界を間違っているのではないか? とさえ思えた。しかし、これは私がコンサルに居た今から20年くらい前にもそういうことを平気で言う連中が居たので、危ういな! と思っていたが。勘違いも甚だしい。謙虚でこそあれだ。まあ、逆に、いろいろ勘違いしている発注者もいる。しかし私は、「指導している」と自ら言った経験は1度もない。

 橋梁業界は狭い。それなりの方々同士は日ごろから交流があるし、少なくとも名前ぐらいは知っている。会ったことはなくとも、「ああ、あの・・・。」と言うことで話は通じるが、そうでもないやつが大手を振って、訳の分からないことを言い出す。全然、名前も聞いたこともない奴がわかったようなことを言う時代になってきた。怖い時代である。世界には、天才的な方々もいるがこの土木の世界は違う。
わたしは、富山で「悪代官」と言われてきた。悪者も必要であり、それを見てどうするのかであるが?自分たちの甘えを厳しく言うものを「悪代官」と言うのでは進展はない。各自治体の地元に少なくとも一社は、核となるコンサルが必要であると考えている。これさえあれば、持続可能な地方と言うのは存在できるであろう。コンサルタントの本来の役割は大きい。

 もう今や、役所の人間だけでその自治体を守ってはいけない時代である。新たな考え方を持ったコンサルが重要なのだが、それを教えてくれとはだれも言ってこない。「教えてくれ」とくれば、日之出さんのように「一緒にやりましょう」となるのであるが、残念である。しかし、業務をこなすことに四苦八苦していたのではそれは無理である。この辺は、歩み寄ってくれれば、いくらでも面倒は見るのだが。
 まあ、一番鼻につくのが経験も知識もないのに知ったかぶりする、職員とコンサル。年齢が高ければよいというものではない。これではどうしょうもない。知ったかぶりで無責任なことを言っていれば、事故が起きて当たり前。妙に権力を振りかざして自分の責任を逃れていれば事故を起こす。若いころは、通勤電車や出張に際の愛読書は道路橋示方書であった。そういう人間を結構、何人か見かけて、「おお、ご同業か!」と感激したが、最近は、1人も見ない。示方書違反を平気でやっている。
 無責任体質が事故を招く。地元を育てられない。夏季休暇中に大いに考えていただきたい。
(次回は9月16日に掲載予定です)

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