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㊽新技術の導入(その2)

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
建設技術統括監

植野 芳彦 氏

公開日:2019.11.16

1.はじめに 

 橋梁などの近接目視点検が義務付けられてから、2巡目に入る中、ドローンなどの活用による新技術導入が騒がれる状況に対し大いなる懸念を抱く。「新技術導入」に関して、ドローンなどの新技術に関し開発されている方々の努力に関して敬意を払う。しかし、これを利用していくうえで、扱う人間によってかなりな危険性をはらんでいることに危機感を感じている。洞察力のある人間が、点検手法の一つとして使うのならば、何ら問題はないが、世の中にはそうではない人間が多い。そして、今の時期に考えなければならないことがある。それは、「補修」のために材料や工法であり、「架け替え」を含めた、維持管理全体のマネジメントではないだろうか。

2.技術とは

 「技術力」とは、「科学技術を駆使し、(社会の)課題を解決できる能力」だと思う。これは、本人が判断するのではなく、あくまで第三者が判定すべきことである。また、同一の組織内で判断すべきものでもない。あくまで、第三者が判断すべきもの。自己満足や井の中の蛙の判断は、何の役にも立たない。何を持って「技術力」と言うのか?難しい課題である。私はこれを常に肝に銘じている。
 そもそもこれは、その人の役割によって技術力が異なる。技術士などの有資格者だから技術力が有るのではない。世の中の評価手法がそれしかないから、それに頼っているのであって、民間の技術力と官庁の技術力、研究機関の技術力はそれぞれ違って当たり前なのだ。これが一緒で民間の技術力がすべてにわたって高いという考え方は、おかしい。すべての能力を持っている人はめったに居らず、それぞれが補完しあって、初めて、一つのプロジェクトが、事業ができるのである。特に土木の世界は1人ではできない。
 最近、よく耳にするのが、「団塊の世代の大量定年退職による人員不足と技術力を有した職員の退職による、技術力の低下」ということであるが、そもそも技術力を持った人がどれほど存在したのか?と言う疑問である。(民間でも同様)公務員は異動が2~3年ごとにあるため、おそらく真剣に技術というものに取り組むチャンスがないであろうと感じられる。監督員として担当しただけでは奥の深い技術力は得られないのが普通である。発注者は、専門家ではないので、専門家に設計や工事を委託等を行い、実施しているのが現状である。つまり、専門家にお金を払って仕事の一部をお願いしているのである。しかもこのおカネは、税金である。税金を使って、仕事を依頼しているので、相手は、プロでなければならない。アマチュアにお金を払うのならば自費にしてもらいたい。

 しかし、現実的には、アマチュアに発注していたりする。これでうまくいけばよいのだが、問題が発生する。我々の土木工事というものは、問題の発覚が数年後よりも長期にわたる場合が多く見つかった時には手遅れであり、現在、現場を見ていると先人のミスや施工不良が多々目に付く。こんなことをしていたのでは次元の低い話であるがこれは現実である。結局、税金の無駄使いであるが、自分の金ではないのでなかなか気づかないのだろう。これを、解決するために、実施しているのが、例えば

① 各コンサルの専門登録分野と有資格者数の提出
② 年度の案件ごとのコンサル評価制度
③ それらによる業務難易度ごとのコンサルの仕分け。
④ 資格要件の明確化。(専門分野での技術士指定)

である。本来、発注者としてすでに構築されているはずの仕組みができていなかったことが情けない。これは地元優先という魔物のせいなのである。
 未だに、ダメだと言いながら毎年、同じ地元のコンサルに発注し、結果、「出来が悪い」と言っている職員を見ると、「お前の出来が悪いんだろう」と思う。確かに、自治体では「地元育成」と言う大義名分のため、地元企業を優先する傾向が強いが、明らかな手抜きをする企業に関しては、発注する義務はないと考える。わからないことは相談する。そして誠意を持って仕事をする。これでなければ、納税者に対し失礼である。
 技術職員の指導ということも私の仕事ではある、しかしこれはなかなか困難である。何かを教えろと言われても、何をどこまでわかっているのかすら、読めない。維持管理の事項と重ね合わせて考えると、点検や補修設計だけをしているのではなく、架け替え計画的に実行し、これらの計画、設計、施工を通して、実際に様々なことを経験できるチャンスを、計画的に作ってやることが、官民ともに技術の伝承にもつながっていくのではないか?

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