道路構造物ジャーナルNET

-分かっていますか?何が問題なのか- ㉝技術者育成と魅力ある業界に

これでよいのか専門技術者

(一般財団法人)首都高速道路技術センター
上席研究員

髙木 千太郎

公開日:2018.01.01

3.魅力ある業界に

 私は技術者育成という切り口で2回にまたがって持論を展開し、技術者に求められている物は何かを示し、どうすれば専門技術者となるかを説明したつもりである。
 しかし、今、学んでいる学生にとってメンテナンス業界、土木・建築業界は魅力ある業界と捉えているのであろうか? 夢が走る、「リニアモーターカー」JR東海の談合事件、一大プロジェクト「新名神建設」における相次ぐ橋梁事故、「豊洲新市場」整備に伴う汚染土壌処理問題など、自らの将来を当該部門に賭けてみようと考える学生は減少の一途といえる。残念だ。声を大として言いたいのは、学生が当該部門から引く昨年の事故や事件等、現状の課題を解決し、魅力ある業界とすることが必要だ。それには、ドローンなどの点検ロボットやビッグデータを使ったマイニング技術を使う手法でもなく、ICT、何度も言うが特に今話題のAI(人工知能)でもないのである。社会基盤施設を取り巻く厳しい環境において、望ましい形で次世代に引き継ぐ要は、人、技術者なのだ。将来は、ここにあげたような種々のツールが主役となって社会基盤施設の安全・安心を確保できる時代が来る可能性はある。しかし、今喫緊な課題は、優れた技術者、それも高度で適切な判断を行える専門技術者を一日も早く育成することである。
 今回のテーマ「技術者育成」は、私の個人的な考え方を中心に述べてきたが、私の経験やスキルスタンダード(具体的には、ITスキルスタンダード)に関する新たな知見を基に取り纏めた内容であることから、多くの部門で役立つ内容であると自負している。今回の連載が、戌年の今年12月に、土木・建築業界、メンテナンス社会において大きな成果報告ができるよう有効に活用されることを期待するし、技術者が十分に能力を発揮し、機能することを強く望むものである。(2018年1月1日掲載、次回は2月1日に掲載予定です)

参考文献
1)情報処理推進機構:ITスキル標準V3・2011

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