道路構造物ジャーナルNET

-分かっていますか?何が問題なのか- ㉝技術者育成と魅力ある業界に

これでよいのか専門技術者

(一般財団法人)首都高速道路技術センター
上席研究員

髙木 千太郎 氏

公開日:2018.01.01

 本連載は-分かっていますか?何が問題なのか- ㉜機械遺産と技術者育成(その1)の続きです。未読の方は併読いただけますと幸いです。(編集部)

はじめに

 2017年(平成29年)酉年の締めにあたる12月は、記憶から消し去ることのできない専門技術者の技術力と質を問われた、「中央道・笹子トンネル天井板落下事故」から5年目にあたる節目の月であった。私は昨年、酉年のスタート月に干支の特徴「物事が頂点に極まった状態」が土木・建築の分野で実を結び、正夢となると期待した。「人は、過ちを犯す動物である。しかし、自らの過ちを確認し、公衆への負の影響の大きさを自覚したならば、二度と同様な過ちを犯さないはずであり、起さないと私は期待もしたい。酉年の特徴、大きな成果、それも国内の橋梁技術者が誇れる大きな成果を期待したい思いである。と私の期待を込めて締めた。読者の方々、如何でしたか酉年、2017年は。私の実感としては、全く成果がなかったな・・・、逆に技術者として反省すべき事故、事件は多発した、口惜しい1年であった。
 さて今日からが、2018年(平成30年)定期点検の制度化等、メンテナンス日本としての十分な成果報告が期待される戌年のスタート月、心新たに取り組む1月である。前回と今回、2回に渡って連載した趣旨は、安全・安心交通基盤の確立、その要となる技術者育成をテーマに節目月とスタート月を橋渡ししようと考えた私の強い思いがある。その真意は、今年の戌年が戊戌(つちのえいぬ)であることから、「最後の警告・メンテナンス社会に舵を切れ」で大きく変わったはずの種々な取り組みが、今年・2018年に大きく成長し、実を結ぶことが約束されている干支年といえる。しかし一方、戊戌は真逆な可能性も含み、新たな取り組みが中途半端に過去に囚われたり拘ったりすると、それが足を引っ張り、最悪の結果を生む干支年に変化する。さて、今年の年末に私が一年を振り返って執筆する内容が、どちらとなるかは本連載を読まれている方々の努力次第といっても過言ではない。期待しよう良い年となることを、そして数多くの優れた人材がメンテナンス社会に育ち、活躍することを。まさか、昨年末と同様な酉年の反省を述べることがないように。

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 それでは本題に移し技術者育成(その2)を始めよう。先月号では、厳しい環境下にあるメンテナンス社会において、その仕組みや組織的な面で大きく改善することが必要な背景、日本を安全・安心な社会とするために必要不可欠な専門技術者の役割と責任について説明した。ここでいうメンテナンス業務を適切に遂行するのは種々な技術者ではあるが、カギを握る技術者とはどのような人材かを分かり易く説明するために人材モデルに分けて考えてみた。メンテナンス社会において業務を遂行する技術者は、担当する業務別に必要なスキル(技術)と職種ごとの達成レベル、キャリア基準によって技術者としての評価が可能となる。技術者が修得し、実務で使える技術レベルはスキル基準によって自らも、そして第三者も評価・判断することになる。業務に関係している、もしくは実際に業務を担当している技術者をより高いレベルの人材とするには、当然研修や実務上の経験等が必要になり、どのレベルまで育成するかを判断するのが人材育成基準なのだ。
 特に、昨年12月号の図‐2で示したスキル基準から紐づけられるキヤリア基準と人材育成基準で示した破線の先を見てほしい。例えば、スキルフレームワークで示した鋼橋の維持管理についてである。キャリアレベル4に該当する組織の長は、対象施設の効果的・効率的な維持管理に適する高度な管理・運営技術を創造・実現する能力と部下の育成が可能なレベルに到達していなければならない。言い換えれば、キャリアフレームワークの人材モデルにおけるアセットマネージャーである。この最上位に位置する優れた技術者となるには、研修ロードマップに従って研修コースの教育項目についてレベルを順次あげて取り組み、修得し、実務でそれを使い、見直しを繰り返すことで本物になる。ここまでが前号で説明した技術者育成スタート部分の概説である。これで技術者育成(その1)おさらいが終わり、今回の主題技術者研修(その2)に移ることにしよう。
 まず、読者や自らが関係する業務上の技術者を区分けできる人材モデル、キャリアレベル(キャリア基準)、次に技術者の技術修得度を判定するスキルレベル(技術基準)、そして最後に人材育成基準・人材育成ロードマップと段階を追って説明する。

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