道路構造物ジャーナルNET

⑦「考える職員」を増やす

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市 
建設技術管理監 

植野 芳彦

公開日:2016.06.16

我慢と現場主義と冷酷さが必要
 方針を明確にして迷わない

3. マネジメントの厳しさ
 最近感じる事柄。仕事には厳しさが必要である。最近、皆さん良い子になろうとして優しい方が多い。
マネジメントの難しさは、人を動かしていかなければならないことだ。目的に向かい、与えられた人・物・金で、できるだけ目的を実現していくことが重要なので、相当我慢しなければならない。単純な業務ならばなんら問題はない。しかし、ある程度のプロジェクトを実施していくためには、相当な覚悟が必要である。社会に出たてのころは、上司や先輩の言うことを聞き、仕事をこなしている。そのうちにいろいろ考えが出てくる。さらに、自分を表現したくなる。これが「守・破・離」である。
 「守・破・離」は、成長の段階であるが、いつまでも守のままの者が居る。考えなくなってしまっているのである。これでは、仕事すら危うく、とてもマネジメントなどできない。守で居ることは、楽であり問題を起こす可能性も低い。また、いきなり破に言ってしまう者も居る、これは、一般的にはかなり問題である。我々の世界で言えば、基準を守らないことになる。欧米では、許されるかもしれないが、それも、一定以上の実力が有っての話。
 「マネジメント、マネジメント」と言う方々は多い。しかし小手先の技術に走り、本来のマネジメントができないことが多い。マネジメントの話をしていると合理性の追求ということに行きがちで、分析に走りがちだが、我々がやら無ければならないのは、実際の現場なのである。多くの人間も関わってくる。人間が居ると、関わると、必ず思ったようには行かない。イレギュラーな事柄、予定と違うことがおきてくる。そういう場合にどう対応していくのか? 机上論では対応できなくなってしまう。設計はまだ良い。問題は現場である。
 まず、方針である。方針を明確にしなければ、何をやっているのかわからなくなる。1つの橋の設計でさえ、方針がわからない物が良くある。維持管理の問題になると、老朽化対策と耐震対策がごっちゃになっている場合がある。それらを、うまくマネジメントしていかないと、余計な物を作ったり、目的を達せない中途半端なものを造ってしまうことになりかねない。実際にそういう成果品が多い。
 マネジャーは、厳しくなければまとめられない。ただ厳しくしろというのではない。判断をする時に迷うことが一番よくない。迷えば結果が難しくなる。よく、迷われる方は、マネジャーには向いていないのでマネジメントはしないほうが良い。時間の無駄になるだけである。あるときは、冷酷さも必要である。「良い人」になりたい人も向いていない。冷酷だといわれる覚悟も必要なのである。
 私も、富山市に来て3年目に入った、これまでずいぶんと周囲に気を使いながら我慢してきた。3年目に入ったので、今後は厳しく、ものを言って生きたいと考えている。職員の皆さん、関係される皆さん、覚悟をしてください。
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