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橋梁耐震や大鳴門橋の作業車改造なども着々と進む

2020年新春インタビュー 本四高速鳴門 塩害、鋼床版疲労など様々な対策必要

本州四国連絡高速道路株式会社
鳴門管理センター
所長

磯江 浩 氏 氏

公開日:2020.01.01

補剛桁部材への近接率は40%から90%に向上
 一般橋梁は大型橋梁点検車で点検

 ――近接率はどの程度までに向上したのですか
 磯江 これまで桁作業車で接近できない変状箇所を補修する際には吊り足場を設置する必要がありましたが、資機材の落下リスクや施工費の高騰が危惧されていました。そこで、現状の桁作業車を改造して補剛桁部材への近接率の向上を図るために、桁外面作業車は側面フレームを撤去して、下面作業台に高所作業車のような伸縮ブーム式高所作業装置を3台設置することで、補剛桁の内外面や全高も見られるよう改善しています。桁内面作業車も橋軸直角方向に伸縮する足場がありましたが、足場の床幅の拡幅と可動範囲を拡大する改造を行っています。それらにより、補剛桁部材の近接率が40%から90%程度に向上しました。近接点検・補修・塗装を行いたい箇所は、桁内面作業車の場合2台を使用すればほぼ対応できます。




大鳴門橋桁内・外面作業車の改造前後のアプローチできる範囲

 ――この技術は本四高速の独自開発でしょうか
 磯江 長大橋梁の点検作業車への高所作業車などの搭載は国内外に実績があるようですが、大鳴門橋桁外面作業車への搭載の設計、桁内面作業車の改造、渡り桁の開発・設計は子会社である(株)ブリッジ・エンジニアリングと一緒に行いました。明石海峡大橋にも桁内面作業車が設置されており、側径間と中央径間を行き来できますが、径間渡りの際に仮設型の渡り桁を設置します。明石海峡大橋の場合は幅の広い管理路があるため渡り桁の仮置きスペースがあり、容易にクレーン装置付きトラックにより渡り桁の設置撤去が可能となっています。大鳴門橋では渡り桁の仮置き場所がなく楊重する設備も容易に設置できないので、常設型の径間渡り桁を開発・設置しました。
 ――機械そのものの改造設計業者は
 磯江 桁作業車改造及び径間渡り桁の設計は、(株)ブリッジ・エンジニアリングと(株)技術開発研究所にご協力を頂きました。(株)技術開発研究所は長大橋の桁作業車に精通した設計・製作会社です。
 ――一般橋梁については
 磯江 橋梁点検車を用いています。具体的にはBT-400を1台保有しています。それでは足りないので、BT-100、200をリースして行っています。

大鳴門橋基礎 電気防食、ペトロラタムなどで防食

 ――塩害腐食環境下での大鳴門橋の基礎の管理については
 磯江 通常の吊橋の基礎は四角形や円形などの充実断面ですが、大鳴門橋は渦潮にできるだけ影響を与えないために、多柱式の杭基礎で設計しています。杭基礎の外面の鋼板が腐食しないように防錆対策を行っています。海中部、干満帯、飛沫帯それぞれでさまざまな方法をとっています。海中部は犠牲陽極の電気防食、干満帯はチタンカバーを巻いてペトロラタムという防錆油を充填、飛沫帯は水中施工型パテ+中塗+上塗の塗装を行っています。

 


塩害腐食環境下での大鳴門橋の基礎の管理

 ――塗替えは何度か行っているのですか
 磯江 1回目を行いました。台風などで流木がぶつかり、チタンカバーが損傷したり、塗装が剥がれたりすることが多く、最近は頻繁に修復をしています。
 ――ブラストなどはどのように
 磯江 1種ケレンではなく2種ケレン程度です。
 ――下地は出さないのですか
 磯江 多柱基礎の鋼管はアルミ溶射による防食対策をしていましたが錆が発生してきたため、現在の防食対策を採用しました。
 瀬戸大橋の鋼ケーソン、大鳴門橋の多柱基礎の鋼管については、内部にコンクリートが充填されているので、なくなってもコンクリートがしっかりしていれば問題ないというのが当初の考えでした。しかし、想定される地震の規模が大きくなり、耐震照査すると鋼管がないと耐震性が確保できないことから、現在は鋼管を維持するために防食対策をしています。
 ――錆が多く発生していた時に鋼管が減耗して当て板をしたことは
 磯江 それはありません。
 ――飛沫帯、干満帯が一番影響を受けますよね
 磯江 そのため、重防食で対応しています。

ハンガーロープの防食 断面欠損率20%以上のものを交換
 WJで素地調整 ペトロラタムを充填して補修

 ――大鳴門橋のハンガーロープの防食について
 磯江 ハンガーロープですが、桁の定着部はソケット構造になっておりその上部分の腐食が顕著になっていて、これは大鳴門橋の特徴です。風が強いので、飛来塩分も多いためです。対策としては、全磁束法で断面欠損率を測定して、20%以上のものについては交換をしています。


ハンガーロープの防食

 ――交換数は
 磯江 全交換したハンガーロープが4本、ハンガーロープを切断しソケット部を交換したハンガーロープが3本です。
 ――素地調整は
 磯江 WJで塗膜や錆を除去しています。
 ――WJのなかに研削材を入れて錆を除去する工法もありますが、水だけですか
 磯江 水だけで錆を除去しています。
 ――実際の防食手法は
 磯江 圧入用のカバーを設置して、内部にペトロラタムペーストを充填した後に、カバーを外して、外側に間詰め材+防錆テープ巻いています。橋の下を観潮船が通るので、腐食片や塗膜片が混ざった水は回収し産廃しています。
 ――ハンガーロープの再塗装は
 磯江 まだ行っていません。この工事を行うにあたりハンガー張力を一度解放させる関係で、ケーブルバンドのシールにも影響するので、完了後にケーブルバンド部分を補修した上で、ハンガーロープの塗替塗装を実施します。

奥畑川橋 アンカーピンの台座コンクリートが地震の影響で損傷
 昭和55年(1980年)道示により設計した橋梁

 ――次に奥畑川橋は
 磯江 洲本IC北側に位置する、上り線がRC単純中空床版+鋼単純非合成箱桁+RC5径間連続中空床版橋、下り線が鋼2径間連続非合成鈑桁+RC5径間連続中空床版橋です。伸縮装置の劣化により、雨水・凍結防止剤等の流入による桁端部の腐食が発生しています。また、中空床版部落橋防止装置であるアンカーピンの台座コンクリートで震災などの衝撃が原因と思われる損傷が発生しています。


奥畑川橋の桁端部の腐食/同台座コンクリートの損傷

 ――台座コンクリートの損傷を詳細に
 磯江 RCホロー部に耐震対策として設置した変位制限の鋼棒があり、それを保護するコンクリートがありますが、地震の影響で割れたと考えられます。
 ――地震というのは
 磯江 平成25年4月に淡路島地震があり、洲本ICでの計測震度が6弱でした。その地震の影響と思われます。
 ――アンカーピンの台座コンクリートの補修方法は
 磯江 壊れた部分を斫ってコンクリートを再打設をします。
 ――伸縮装置の劣化の補修は
 磯江 止水材(ゴム)の劣化がおもな原因なので、再装填していきます。
 ――場所によっては、止水材の代わりに受け樋を設置するケースも増えていますが
 磯江 支承の形式で、伸縮量の小さいものは止水材で対応できますし、大きいものは樋が設置されています。
 ――中空床版橋で小さい樋の設置は考えていますか
 磯江 桁の遊間がないので、樋は設置できません。

トンネルは全てⅡ判定
 際立った損傷はなし

 ――管内にあるトンネルについて健全度状況は
 磯江 すべて判定区分Ⅱです。ひび割れなど軽微な損傷は発生していますが、大きなものはありません。損傷程度に応じて、ひび割れ注入、剥落対策を実施しています。
 ――ひび割れは目地方向、あるいは道路鉛直方向に発生していますか
 磯江 さまざまです。
 ――鉛直方向ならば地山の問題の可能性があるので、留意しなければならないと聞いたことがあります
 磯江 ひび割れ図は定期的にとっていて、ひび割れ幅もそれほど大きくないし、鉛直方向の際立ったものはありません。

大鳴門橋は既に耐震補強を完了
 陸上部の24橋103橋脚については設計を完了、補強工事を進める

 ――耐震補強の進捗状況について
 磯江 大鳴門橋では上屋道路桁橋脚の補強、バックステイ径間のトラス支承、鋼床版支承への変位制限構造や段差防止構造等の設置を行い、耐震補強は完了しています。
 ――上屋道路桁橋脚の補強というのは
 磯江 アンカレイジは下部がケーブルの定着部で、その上に橋脚があって道路桁がその上にあります。
 ――アンカレイジの上屋というわけですね
 磯江 道路桁はRCホローなので橋脚があり、その橋脚がもたないので炭素繊維巻き立てで補強しています。
 ――陸上部橋梁の耐震補強は
 磯江 昭和55年道示以前の橋梁は4橋あり、阪神・淡路大震災後に補強は完了しています。2008年からは、直轄国道等と連携した本州と四国間の交通路を確保することを目的に、大鳴門橋を含む区間として淡路島南ICから鳴門IC間の橋梁(16橋)について、耐震補強を行い、2016年に工事を完了しました。
 現在は、発生確率26%以上の橋梁(21橋、99橋脚)については2021年度までの完了、発生確率26%未満の残りの橋梁(11橋、49橋脚)については2026年度までの完了を目指して事業を進めています。なお、供用性を確保する点から、26%未満の3橋梁でも工事を行います。
 耐震補強設計は今年5月までで対象橋梁すべて完了しています。
 昨年度に発生確率26%以上の橋梁のうち、4橋を先行して発注しています。受注者は新井組で、工期は平成30年10月17日から令和2年11月4日までです。対象橋梁は、洲本IC橋、平池橋、志知高架橋(新川橋1・新川橋2、右上、右中、右下写真)、西所(にしんじょ)跨道橋(洲本市からの受託)です。
 ――西所跨道橋は
 磯江 本線上を跨ぐ橋梁で、RC桁橋、中央分離帯に橋脚があります。橋脚のRC巻き立て、支承補完構造の鋼製ブラケット取付が完了して、年内には洲本市へ引き渡す予定です。

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