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大規模更新事業も湊町と湊川で着手

阪神高速道路 4つの建設事業と西船場JCTの改築事業を進める

阪神高速道路
建設・更新事業本部
副本部長 兼 建設・更新総括部長

仲 義史

公開日:2019.06.26

大阪湾岸道路西伸部 14.5kmのほとんどが橋梁形式に
 地層には一部に撓曲がみられる箇所も

 ――大阪湾岸道路西伸部の構造概要と進捗状況は
 仲 六甲アイランド北~駒栄ランプ(仮称)間14.5kmのうち、ほとんどが橋梁形式となります。そのうち、長大橋が2箇所で、東側の新港航路と灘浜航路を跨ぐ橋梁と西側の神戸西航路を跨ぐ橋梁で、残りは連続高架橋となります。神戸山手線との接続部である駒栄ランプ付近は開削トンネルです。


大阪湾岸道路西伸部概要図

 ――2017年4月に事業着手して、去年12月には長大橋の橋梁形式比較案が発表されましたが、現況は
 仲 比較案を基に、早期の橋梁形式決定に向けて、基本構造、景観、耐震、耐風など様々な課題について鋭意検討を進めています。
 ――構造はどのようになりますか
 仲 基本的には上下線断面で計画しています。


航路部の斜張橋形式比較案

 ――合併施行区間(12.2km)の分担は
 仲 六甲アイランド側0.6kmと駒栄ランプ側1.7kmは阪神高速道路単独施行区間になり、国との合併施行区間12.2kmは、舗装・施設工事に加え、長大橋の上部工を阪神高速道路が施行します。
 ――建設にあたって、地盤、断層、航路など注意すべき点は
 仲 地盤や断層については、地質調査等の結果に基づくとともに、一方で航路制限もありますので、そのような条件を満たしていけるような構造を検討しています。
 ――断層がある箇所は
 仲 新港・灘浜航路部および神戸西航路部付近で、摩耶断層と和田岬断層が横切っていますが、深い断層で明確に地表面に断層位置は現れていません。現在、音波探査・ボーリング調査で断層位置の確認を行っています。


地質縦断図

 ――海上部では橋梁形式を決定する際に基礎を航路と断層から外すのでしょうか
 仲 地層には一部に撓曲がみられますので、これに配慮しつつ航路を確保することも必要ですので、基礎に限らず構造形式全体を検討しているところです。
 ――橋梁形式が決定するのは
 仲 できるだけ早い時期に決定していきたいと思っています。
 ――今後、合併施行の分担を国と阪神高速道路でさらに検討する可能性はありますか
 仲 当面は橋梁形式を決定することが第一と考えています。
 ――現在の状況はいかがですか
 仲 起工式は近畿地方整備局、兵庫県、神戸市と共に昨年12月22日に開催しました。駒栄工区の安全祈願祭も3月中旬に行われました。

西船場JCT改築 今年度中の完成目指す
 UFC床版(ワッフル型)を本町通直上部で試験施工

 ――西船場JCT改築(信濃橋渡り線)事業は終盤を迎えていますね
 仲 大阪港線拡幅部が2018年5月に完成供用し、現在、信濃橋渡り線と環状線拡幅部、信濃橋入口改築を施工中です。2019年度中の完成を目指しています。


西船場JCT改築(特徴的な鋼管集成橋脚が見える、井手迫瑞樹撮影)

建物の間を縫うように狭い空間に架けている(井手迫瑞樹撮影)

 ――現在の進捗率は
 仲 支払額ベースで、工事54%、用地100%(2019年5月末現在)です。ランプのPC桁工事、ランプの擁壁の一部、鋼製の拡幅桁が残っています。
 ――拡幅部の幅員は
 仲 3,250mmです。
 ――UFC床版を採用すると聞いていますが
 仲 本町通(国道172号)直上の1径間(信濃橋入口改築として行っているランプの単路部)のみ試験施工で採用します。工事は7月からを予定しています。


本町通直上の夜間架設(井手迫瑞樹撮影)

 ――UFC床版は平板型とワッフル型がありますが
 仲 ワッフル型となります。


今回はより軽量なワッフル型UFC床版を使う(既掲載)

 ――採用径間長は
 仲 37.0mです。
 ――その他特徴ある形式や工法を適用している構造物は
 仲 西船場JCT改築事業でのUFC床版や鋼管集成橋脚のほか、橋梁拡幅部の一体構造があります。
 ――橋梁拡幅部の一体構造はどのようなものでしょうか
 仲 従来の橋梁拡幅では新設橋脚を既設橋脚と別に構築していました。そのため橋の挙動が拡幅部と異なることから、縦目地ジョイントにより連結する構造となり、騒音、振動の発生や走行性の悪化を引き起こす要因になっていました。そこで、既設橋脚を拡幅する形で支点を設けて、支点部を合わせています。支点を合わせることで挙動が一緒になるようにして床版をつないでいるということです。桁ももちろんつなぎますが、床版も一体構造とします。大阪港線側では鋼床版部を除きRC床版で、鉄筋をはつりだしてつないでいます。


西船場JCTの床版施工

 ――縦目地ジョイントは使用していないわけですね
 仲 分合流部で車両の走らない箇所には一部使用していますが、基本的には一体構造とし縦目地ジョイントを無くしています。
 ――騒音や走行性も改善されるのでしょうか
 仲 そのように考えています。
 ――遮音壁の性能向上というのは
 仲 プラスチック板だったものを遮音壁に取り替えて、その上に吸音装置を設置します(施工例:下写真)

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