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大規模更新事業も湊町と湊川で着手

阪神高速道路 4つの建設事業と西船場JCTの改築事業を進める

阪神高速道路
建設・更新事業本部
副本部長 兼 建設・更新総括部長

仲 義史

公開日:2019.06.26

喜連瓜破 ヒンジを有するPC箱桁の大規模更新
 迂回路設置や箱桁の撤去方法が課題

 ――その他の大規模更新事業は
 仲 詳細調査を実施し、更新計画について検討中です。京橋付近(PC有ヒンジ箱桁が損傷していることによる鋼床版箱桁への架け替えを検討)や喜連瓜破付近(同)の更新では施工計画が重要になりますから施工者の知恵をお借りしながら検討したいというのが本音です。
 ――喜連瓜破付近の検討状況は
 仲 路下道路は交通量が多く、厳しい現場状況のなかでの迂回路設置やPC桁の撤去方法などについて、各方面の知恵をお借りしながら検討しています。


14号松原線(喜連瓜破付近)の損傷状況と更新計画

 ――PCの撤去に関しては、基本的には突出防止板の設置になりますか
 仲 そのような工夫も必要と思いますが、下から支えるベント構築が必要になります。ベントも重量に耐えられるものにしなければなりませんし、小割りすると時間もかかります。
 ――現状の方針は
 仲 う回路設置を含めて施工方法を検討している段階です。

大豊橋 後打ちコンクリートにより床版や桁にひび割れが発生
 府道を高速道路に転化 復元設計から行う必要あり

 ――大豊橋付近の損傷状況と対策方法は
 仲 元々、同橋は先の大阪万博に間に合わせるため府道として整備された橋梁です。後打ちコンクリートで高さを調節して高速道路を整備しました。しかし嵩上げコンクリートの荷重は当初設計時には考慮されておらず、床版や桁にひび割れが発生しているため鋼床版鈑桁に取り替えるべく現地調査を開始したところです。詳細構造が分からないので、復元設計から行わなければなりません。


11号池田線(大豊橋付近)の損傷状況と更新計画

法円坂付近 鋼床版・鋼桁疲労対策は近々にも詳細設計に着手

 ――法円坂付近(鋼床版・桁疲労対策のため板厚を増加させた上部工への取替を検討)は以前にジョイントをなくす工事をしたと記憶しています。それではなくて、抜本的に更新するということですか
 仲 そうです。ただ、保全工事をしているので、スケジュール的には後になります。具体的な検討には着手はしていませんが、近々に詳細調査に着手していく予定です。


13号東大阪線(法円坂付近)の損傷状況と更新計画

湊川付近では交通規制を抑制できる運搬装置を開発
 エム エム ブリッジと共同で

 ――今後の新設と大規模更新に関して、技術的課題はありますか
 仲 建設については、淀川左岸線延伸部での大深度地下シールドトンネル、大阪湾岸道路西伸部での海上部長大橋において、多くの設計・施工技術を駆使する必要があると考えています。大規模更新については、先ほどの喜連瓜破付近の迂回路設置やPC桁の撤去方法が挙げられます。例えば、湊川付近では、上部工の取替えを念頭に、交通規制をできるだけ抑えて車線の占用を少なくできるような運搬装置の開発検討を一昨年にエム・エムブリッジとの共同研究で行いました。
 ――具体的にはどのような工法ですか
 仲 クレーンを用いない『橋桁部材の運搬装置』です。駆動式エンドレス滑り装置(橋梁の送り出し架設装置)を上下逆さに配置した自走可能な運搬装置で、油圧ジャッキにて地組のための鉛直・水平方向への位置微調整、搭載する油圧モータによる自走が可能です。これによりクレーンを配置する必要がなくなるため車線の占用が少なくできます。
 ――シールドトンネルについてはいかがですか
 仲 淀川左岸線延伸部シールドトンネルのセグメント開発です。セグメントはコストに直結するため重要です。大深度地下トンネルであることをふまえて、必要な強度、品質、施工性を確保しながらできるだけコストのかからないものを開発していく必要があると思います。
 ――ありがとうございました
(2019年6月28日掲載)

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