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管内総延長は2402km。橋梁3272橋、トンネル83本を管理

関東地方整備局 中部横断道や国道357号などの事業が進捗

国土交通省
関東地方整備局
道路部長

丹羽 克彦 氏

公開日:2018.07.30

橋梁3,272橋とトンネル83本を管理
 建設後50年以上経過した橋梁数の割合は25%

 ――保全について。まずは基本方針から教えてください
 丹羽 当整備局に限らず、社会生活上、直轄路線は重要な路線です。これまでも構造物の老朽化対策は進めてきましたが、笹子トンネルの事故以降、定期的に点検をしてPDCAを回しながら行っていくことになりました。人間と一緒で大病になってから病院に行ってもお金がかかるわけですから、早めに人間ドックを受けて、悪いところを見つけて直していくことが肝要だと考えています。現在、維持管理事業を懸命に行っていますが、PDCAが上手く回れば維持管理費用の平準化ができると思います。
 ――管理している橋梁・トンネルの内訳は
 丹羽 当整備局が管理する2m以上の橋梁は3,272橋です。橋種別では、鋼橋が最も多く1,375橋(42%)で、PC橋が802橋(24%)、RC橋が481橋(15%)となっています。延長別では、15m未満が35%、100m以上の長大橋が18%です。供用年次では、建設後50年以上経過した橋梁数の割合は25%で、これが20年後には65%まで急激に増加します。



 トンネルは83本を管理しており、延長1,000m以上は6本です。工種別は矢板工法が60本、NATMが22本、シールドが1本となっています。50年を超えるトンネル数の割合は現在の52%から、10年後には63%、20年後には71%となります。


トンネルの建設後経過年数内訳

 ――点検を進めてみて管内の構造物の劣化状況について教えてください
 丹羽 鋼橋では主桁、支承に損傷が多くみられ、腐食によるものが半数を占めています。コンクリート橋は桁部のうき・剥離、鉄筋露出が損傷の半数となっています。コンクリート床版ではひび割れが多く発生しており、遊離石灰をともなう漏水、うき・剥離、鉄筋露出といったコンクリート特有の損傷が約6割となります。鋼床版では疲労き裂がみられています。
 トンネルでは、ひび割れ、うき・剥離が多くなっています。
 2014~2016年度での橋梁定期点検は1,714橋で実施し、健全度Ⅰが822橋(48%)、Ⅱが712橋(42%)、Ⅲが180橋(10%)となっています。トンネルの2014~2016年度の定期点検での健全性区分は、Ⅰが1本、Ⅱが39本、Ⅲが14本、Ⅳが3本です。Ⅳの3本はいずれも早期に落下の恐れのある覆工コンクリートのうき・剥離が発生していたため、はく落防止の対策を実施済みです。


橋梁の健全度状況

トンネルの健全度状況

荒川河口橋の鋼床版疲労き裂対策は東行き約6割、西行き約3割が完了
 江戸川左岸高架橋で床版架替工事を実施

 ――管内での劣化対策の事例は
 丹羽 国道357号の荒川河口橋では鋼床版に疲労き裂が発生して対策を進めています。国道357号は重交通路線で、疲労き裂に対する対策検討時の荒川河口橋付近の交通量(H22センサス)は約52,800台/日、大型車混入率が約49%と半分を大型車が占めているうえに、過積載車両も多くなっています。そのため、1996年の開通から22年しか経過していませんが、鋼床版の車輪直下を中心にデッキプレートや縦リブにき裂が数多くみられています。


(左)デッキプレートのき裂 (右)縦リブのき裂と雨水流出

 ストップホールによる応急措置とその後に当て板による補修を行っていますが、鋼床版厚を現況の交通へ対応させるために、SFRCを75mm厚で打設して耐荷力向上を図っています。また、走行性確保のため35mmの表層舗装を行っています。現在、橋長840mのうち、陸側(東行き)は509m、海側(西行き)は277mが完了しており、残り区間を今後進めていきます。


SFRCの施工状況と施工後

 同じ国道357号の江戸川左岸高架橋(西行き)では、今年度に床版架替工事を実施します。1976年の供用から42年が経過している鋼鈑桁橋で、損傷状況としては、RC床版下面にひび割れ、うき、遊離石灰、剥離、鉄筋露出となっており、床版上面には一部、土砂化が確認されています。江戸川左岸高架橋付近の交通量(H27センサス)は約94,000台/日で大型車混入率が約43%と高く疲労損傷を受けやすいこと、床版厚が 200~220mmと薄く十分な疲労耐久性が確保されていないこと、防水層が損傷して機能していないことが損傷の原因と推測されます。
 ――耐震補強の進捗状況とロッキングピアの補強について
 丹羽 国では、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%以上の場所にある緊急輸送道路の耐震補強を重点的に進めています。関東は26%以上となっているところが多いですが、そのなかでも首都直下地震道路啓開計画の八方向作戦の集結拠点である外環道沿線の内側エリアについて耐震性能2への対応を優先的に進める形で計画しています。国管理の進捗率は全国で81%となっており、当管内もそれに近い数字になっています。耐震性能3については管理橋梁すべてで完了しています。
 ロッキングピアは管内に15橋があり、来年度末までにすべての工事を完了するように進めています。
 ――長寿命化修繕計画に基づいた対策は
 丹羽 管理橋梁3,272橋について長寿命化修繕計画を策定しています。点検で健全度Ⅲと判定された橋梁から補修・補強工事を進めています。鋼橋の腐食による劣化であれば塗替えや部分的な当板、コンクリート部の損傷はひび割れ補修や断面修復が多くなっています。
 ――塩害、ASR反応による劣化の有無は
 丹羽 塩害はかつて西湘バイパスの橋梁で飛来塩分によるものがありましたが、対策済みとなっています。
 点検でアルカリ骨材反応が疑われるものは16橋ありましたが、その後の詳細調査で無害となっています。
 ――支承と伸縮装置の取替えについて
 丹羽 昨年度は、支承の取替えは9橋、伸縮装置の取替えは、29橋実施しました。今年度は支承取替えが18橋、伸縮装置取替えが20橋の予定で、老朽化対策や予防保全の観点から支承取替や伸縮装置取替を実施していきます。
 ――鋼橋の塗替え実績および塗り替えの際のPCBや鉛を含む既存塗膜の処理について教えてください
 丹羽 昨年度は国道4号の草加高架橋(上り)(4,300㎡)や国道50号の小山高架橋(下り)(約2,900㎡)などで実施しました。今年度は国道1号の小余綾高架橋(約1,800㎡)などで行う予定です。
 有害物質を含む塗膜処理は、剥離剤により塗膜を除去しています。


塗替え事例 草加高架橋(左/施工前・右/施工後)

 ――防災対策の要対策箇所と具体的な対策を教えてください
 丹羽 管内には213箇所の要対策箇所があり、長野県に多くなっています。今年度は長野県の国道19号信州新町地区などで対策を行います。具体的な対策は、のり枠アンカー工、水抜き工、集水井工となっています。
 ――ありがとうございました
(2018年7月30日掲載 大柴功治)

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