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堺高架橋、住吉橋などの補修、架け替えも着手へ

国土交通省近畿地方整備局大阪国道事務所 淀川大橋のリニューアルが進捗

国土交通省
近畿地方整備局
大阪国道事務所
所長

有田 幸司 氏

公開日:2018.02.26

大きなのり面は管内では少ない

 ――異常気象による土砂災害にはどのように対応されておられますか。最近では南海電鉄の鉄道橋が損傷しましたが、大阪国道としておこなっていることは
 有田 のり面対策を行っています。大きなのり面は管内では少なく、一部、奈良県境にある程度です。管内では20年近くの間、土砂災害は起きていません。将来あるとすれば、大断面カットをしている第二阪和かもしれません。国道25号も河川沿い、山沿いを通っており、そんなに大きく切土はしていません。また、岩質にも恵まれています。


のり面対策例

 ――自然斜面は
 有田 奈良県境にごく一部にあります。
 ――要対策箇所は
 有田 国道25号の国分地区と国道165号の穴虫地区があります。
 ――最後に、橋梁の架け替えについて、現在施工中の淀川大橋からその内容に触れてください
 有田 淀川大橋は、先ほどお話ししました通り、大正15年に供用し、約90年を経過した長大橋です。同橋の中央部は航路が設定されているため、スパンを長くとる必要があってトラス桁を採用し、両岸の側径間は鈑桁を採用しています。当地は地盤沈下が進み、堤防の高さが足りず、切り欠いた状態になっています。高潮対策では、堤防の高さと同じようにトビラを補って、通行規制をして難を逃れている状況です。これは下流側の伝法大橋も同じことが言えます。


淀川大橋概要図

 淀川大橋の中央部には、もともと阪神国道線という路面電車が通っていました(1927~75年)。そのため現行の25t対応ではなくもっと重い荷重にも対応できる頑丈な構造になっています。床版厚は、厚いところで約43cmに達します。鉄道は昭和50年に廃線になり、現在は車道を少し真ん中に寄せて運用している状況です。両側には歩道も設けています。建設時は鋼材が足りず、アメリカ、イギリスからも輸入して間に合わせた記録が残っています。
 床版は、建設時は軌道がありましたが、現在はそれを取って、高さをあわせるために調整コンクリートで厚みを増しています。RC床版が152mmでさらに調整コンを147mm打設している状況です。裏からみると、一番下に金属の網型があって、鉄筋を巻き込んでコンクリートを打っていました。


淀川大橋の床版状況の変遷

 今回の工事目的は、床版の損傷がひとつですが、耐震性能を考えたときに、上部工が重く橋脚が壊れる可能性があったため、上部構造を軽量化することも考えました。その結果、コンクリートのほうがメンテナンスでいいという議論はありましたが、鋼床版に替えることに決めました。重量をこの部分だけで約3割落とすことができ、負担が軽くなった結果、下部工は補強をしなくても所定の耐震性能を確保することが可能になります。
 ――定量的にどの程度軽量化できるのか教えてください
 有田 重量は、床版の種類変更により12,000tを4,700tまで軽量化します。現在、上部工全体では約20,000tあるため、全体で言うと約3割程度の軽量化に相当します。
 桁は、空襲の不発弾で抜けている個所もあります。機銃掃射で横から穴が空いている個所も見受けられます。そうしたこともあり、部分ごとに割りとまめに補修は行ってきました。主なものでも11回に達しています。


主なものでも11回補修

 床版をすべて壊して、トラス部や鈑桁部は損傷部材があれば取替えをしますが、基本的には使えるものはそのまま残します。


トラス部のRC床版を撤去した状態(井手迫瑞樹撮影)

 同橋は4車線(片側2車線)で供用されており、2車線を確保しながら施工します。1/3ずつ分割してまず、下流側、次いで上流側、最後に中央部の床版を各非出水期の施工で取り替えます。工期は3年後の平成32年3月までを予定しています。もともとはこの順番ではなかったのですが、技術提案交渉方式の手続きの中で提案がありました。
 ――鋼床版の厚さは。基本的には16mmだと思いますが、交通量を考えて少し厚さを多めにしているのか、また、Uリブだとリード貫通やデッキプレート貫通にいたるので、Uリブではないリブを使うなどの鋼床版の工夫があったら、教えてください
 有田 鈑桁部でt=14mm、トラス部でt=18mmの大型Uリブを用いた鋼床版を採用しています。
 ――鋼床版については疲労損傷を生じにくくする施策を何か取られていますか
 有田 阪神高速道路湾岸線と神戸線、43号が並行して走っているため、淀川大橋に産業道路のような重交通が集中するとは想定していません。また、淀川の公害訴訟(いわゆる西淀川公害訴訟)があり、淀川大橋は大型車規制をかけています。交通量は約30,000台弱です。
 普通のUリブ問題を行う橋は、鋼床版にするためにスパンを伸ばしたりしていますが、ここは元々がRC床版ですから、床版スパンも短く、その意味でも疲労は生じにくいと考えています。
 ――そもそも淀川大橋は架け替えという選択肢はなかったのでしょうか。H.W.Lを考えても津波時などの対応が難しいことも指摘されていますが
 有田 橋自体のクリアランスを上げることはできるかもしれません。しかし取り付けの陸上部を考えると難しいと思います。今回の淀川大橋も堤防を切り替え欠いた状態で、その高さを上げるのをあきらめています。橋をもっと上げて、橋を架け替えたほうがいいという議論もありましたが、それをやると用地費を中心に1,000億円を超える費用が想定されます。今回のリニューアル工事費が80億円弱ですから、ちょっと額が違いすぎます。
 ――阪神大震災の時のことを思い出します。2号や43号は大動脈なので、ここがつぶれるとつらいので、お聞きしました
 有田 そのとおりです。いまの津波対応の高さまでは考えにくいですが、津波が来たあとに形が残っていることは想定しなければなりません。段差も含めて、啓開の体制を早く取れるようにしていきたいと考えています。
 ――国道26号住吉橋の架け替えは
 有田 同橋は3回に分けて架設されています。1橋目は昭和6年に橋長13mのRC単純T桁(下部工はラーメン橋台)が架けられ、次いで昭和39年に橋長50.39mの鋼3径間単純鈑桁(RCパイルベント橋脚、重力式橋台)が拡幅桁として架けられました。昭和6年の橋は、そのままの状態にして、拡幅された桁は、河川拡幅に合わせて建設されているというちょっと特殊な構造になっています。さらに昭和55年に右折レーンを確保するために橋長34mの鋼3径間単純鈑桁(鋼製パイルベント橋脚、逆T式橋台)を架設し拡幅しています。


住吉橋の現況と架設位置、橋梁概要

 現在、下部工の損傷が大きく、また地震時の橋脚の耐震性が確保できないことから、恒常的に放置できないという議論になり、補強案と架け替えを比較した結果、架け替えを選択しました。ただ、課題は50,000台以上もの交通量があることです。


老朽化も進行している

橋梁架替案と耐震補強案を比較検討した結果、架替が妥当となった

 ――仮橋が必要ですよね
 有田 仮橋は物理的にできません。6車線あるので、4車線ずつの切り回しでいくしかありません。橋を架けることも大変ですが、これが大変です。戦災復興で植えた植樹もあり、それを場合によって手を加えないと、切り回しが厳しいかもしれません。
 ――切り回しの回数は
 有田 2回は必要です。


切り回し計画

 ――期間は
 有田 約5年を想定しています。今年は設計の前提となるボーリング調査を行っています。施工の計画を意識した設計にしないと難しいことが想定されていて、まだ正式ではありませんがECI(アーリー コントラクター インボルブメント)方式を試行するかもしれません。設計業者と施工業者をほぼ同時に決めて、設計を進めるときに施工業者のノウハウを生かした設計を進めるという方法です。
 ――富山市でも撤去、再開発の話があり、施工計画を考えることと市民の理解のために、CIMを活用しています。そのような視覚的な取り組みは
 有田 そういうことも行いたいと思います。地域の方の理解がないと施工ヤードの確保も大変です。ヤードを取ると、いろいろな道路を止めなければならず、生活できなくなるといわれる恐れが高い。漁協などの関係先と調整を進める必要もあります。
 ――ほかに架け替えは
 有田 具体化しているのはこの1橋だけです。
 ――最後にNETIS登録技術の構造物への活用について教えてください
 有田 橋梁の補修に関して言えば、剥落防止工としてクリアクロス工法、鋼橋の塗膜剥離工法としてネオリバー泥パック工法を採用しています。
 ――ありがとうございました

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