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既設橋の損傷は塩害が主因 彦部橋で様々な補修補強を採用

留萌開建 天塩大橋、留萌大橋などの長大橋が進捗

国土交通省
北海道開発局
留萌開発建設部
前部長
(現・国立研究開発法人 土木研究所 審議役)

片倉 浩司 氏

公開日:2016.08.15

天塩大橋 橋長506㍍の8径間連続非合成鋼箱桁鋼鈑桁橋を採用
 河川部はニューマチックケーソン基礎

 ――国道40号関連は
 片倉 天塩防災事業があります。稚内開発建設部では、この北側を豊富バイパスとして整備しており既に供用しています。ただ、幌延ICから現国道40号までは道道121号によって天塩川北岸でタッチしている状況です。天塩川に架かる橋として天塩大橋(300㍍、昭和32年に完成供用した道内初の鋼バランスドランガーアーチ)がありますが、同橋は河口近くにあり、橋長を短くするため、橋台を河川側にせり出させており、大きく河積阻害しています。経年劣化も進んでおり、幅員は6㍍程度しかなく、大型車の擦れ違いが困難な状態にあります。また自動車専用道路の整備という観点からも端末が国道に接続されていない状況はできるだけ早く解消されなければなりません。そのため新橋への架け替えを進めています。
 ――新橋の形式と現状は
 片倉 河積阻害を解消するため橋長は506㍍と長くしています。幅員も広げており車道部は10.5㍍、加えて現橋は歩道がありませんので、片側に2㍍幅の歩道を新設しています。基礎形式は河川部(P2、P3)がニューマチックケーソン、陸上部は場所打杭です。橋脚・橋台は従来のRC形式を採用しています。上部工は4径間連続鋼箱桁+4径間連続鋼鈑桁橋です。河川部はできるだけ橋脚本数を減らすようにスパンを飛ばしています。 


天塩大橋 P2ニューマチックケーソンの施工

 今年度中に河川部の橋脚が完了する予定です。また、順次陸上部の橋脚および橋台工も発注していきます。上部工の施工時期については未定です。
 ――防食は
 片倉 コンクリート部材は、留萌大橋などと同様にエポキシ樹脂塗装鉄筋、ケイ酸塩系およびシラン系含浸材を塗布しています。

プレキャストセグメントを採用し、耐久性を向上
 築別橋の架け替え 桁高はPCT桁として国内最大級の3㍍

 ――国道232号関連は
 片倉 複数の橋梁で架け替えや耐震補強を行っていますが、その中でも一番大きいのが、築別橋の架け替えです。橋長178.2㍍のPC4径間連結ポステンT桁橋(4主桁)です。下部工は完了しており、上部工の架設を進めています。同橋は工場製作によりセグメント化した桁(全部で16本を架設する。1本当たり9ブロック)を現場に運び、緊張した後に架設します。ここは桁重量が1本当たりで190㌧あります。支間長は平均で44~45㍍も飛ばしており、桁高はPCT橋では日本最大級の3㍍に達します。


架け替えが進められている築別橋

 ――セグメント同士の付着はどのように取りますか
 片倉 工場製作時に先に製作した桁の接着側断面を型枠代わりに次のブロックを制作します。また接着断面はある程度凹凸(セグメントキー)をつけ付着強度が向上し易いように工夫しています。基本的にはセグメントブロック同士は接着樹脂でつなげ、最終的に桁端部を緊張することでプレストレスを導入します。
 既に上部工の架設は完了しており、今後は連結部の工事や舗装工を施工しています。並行してアプローチ部の盛土等の工事も進めており、今年中には工事を完了させ、架け替え橋に切り替える予定です。
 また国道232号の留萌郡小平町を流れる小平蘂川渡河部の高砂橋を架け替える予定です
 ――東北の復興道路事業で行われているような、コンクリート養生期間の長期化は図っていますか
 片倉 行っていません。というのも冬に近づくにつれ工事がしにくくなるので、手早く捌く必要があるためです。とりわけ長期養生はしにくい環境下にあり、そのため現場打ちはできるだけ避けたいと考えております。

高砂橋も架け替えへ 設計が進捗
 Single i 工法を使って床版内部を調査

 ――高砂橋はどんな状況なのですか
 片倉 同橋は橋長145㍍の5径間鋼鈑桁橋です。は昭和32年に供用され、昭和48年に河川改修に伴い、前後2径間を延長(いずれも鋼鈑桁)し、同時に幅員を6㍍から10.4㍍に拡幅した中央部にゲルバーヒンジを有する鋼鈑桁橋です。拡幅時に既存橋部分の床版下面を当て板補強し、さらに(中央の3径間の初期供用された幅員6㍍部分について)平成10、11年に上面を鋼板で補強しています。現場の舗装を見ると傷みが酷い個所がありますが、補強方法が損傷を惹起した可能性があります。というのも補強範囲は上面の方が大きく、下面と同面積部分は、床版をサンドイッチする形で削孔、上下両側に嵌合していますが、より補強面積が大きい上面部の鋼板はコンクリートを削孔してボルト固定されています。そのため、経年劣化により鋼板の固定が緩み、交通荷重により鋼板が大きく変位し、舗装を損傷させている可能性があります。
 同橋は床版防水も設置されておらず、凍害や凍結融解、砂利化による損傷も懸念されます。そのため鉄板補強をしていない箇所に対して詳細に調査するため、昨秋にSingle i工法による削孔を行いました。同施工には留萌開発建設部、橋建協、土木学会などから50人程度の見学者も訪れています。


高砂橋 路面の損傷状況

Single i工法を用いて微破壊検査

 ――現状は
 片倉 今年度は設計を進めており、来年度にも用地測量に入っていく予定です。架け替え橋は現橋の上流に架設し、完了しだい前後の道路を架け替え橋に接続し直して、現橋については撤去します。形式はPC橋を予定しています。現橋より少しだけ延長は長くなり、150㍍程度になると想定しています

霧立防災事業は橋、トンネルとも3箇所を予定
 最大は1,600㍍の長大トンネル

 ――国道239号関連は
 片倉 霧立防災事業を進めています。同事業は国道239号の霧立峠付近苫前町側の地滑り対策のため、現在の古丹別川に沿う道路線形をショートカットし、直線化した線形に変更し、危険箇所を回避する事業です。
 現在は概略設計及び用地測量などを進めています。構造物はトンネルと橋を3つずつ予定しています。ただ、橋梁はそれほど大きくありません。トンネルは約1,600㍍の長大トンネルが1本あります。他の2本は、200~400㍍程度です。
 ――事業を進めていく上での課題は。各地で人や物がタイトな状況になっていますが
 片倉 当開発建設部も例に漏れずタイトな状況です。特に管内北部の苫前町以北は、羽幌道路事務所が管轄していますが、(工事箇所ごとの)距離が離れており、管理や施工の監督が大変です。特に秋口や冬にかけては雪の管理も加わります。そのため現場の施工業者とのコミュニケーション、情報の共有化は必須です。

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