道路構造物ジャーナルNET

災害に強く、同時に耐久性も高い道路を

国土交通省三陸国道事務所 復興道路の一日も早い開通が使命

国土交通省
東北地方整備局
三陸国道事務所長

永井 浩泰 氏

公開日:2016.03.10

耐候性鋼材桁端部はふっ素+溶射
 PC橋 防錆仕様グラウトキャップ、防食鉄筋を採用

 ――鋼橋、コンクリート橋問わず防食など長寿命化技術の採用は
 永井 耐候性鋼材を使用した橋梁の桁端部については、これまでC-5塗装系により防食を行ってきたところですが、C-5塗装系の耐用年数は塩分環境下ですと約30年程度であり、その後は塗り替えが必要となります。そのため、予算不足等により維持管理を怠ると、桁端部に異常さびの発生、さらには減肉による主桁座屈などの深刻な損傷に発展することが懸念されます。そのため、維持管理、耐久性を考慮し、耐候性鋼材橋梁の桁端部の塗装仕様を「金属溶射+ふっ素樹脂塗装」に対応可能なものから変更することとしました。
 PC橋については、凍害や塩害による損傷を抜本的に補修・補強することが困難な構造であり、新設時にこれら損傷に対応できる性能を有していることが必要です。そこで、ポストテンション方式のPC橋を対象として、一部材料の仕様を変更することとしました。主な変更点は、主ケーブルに使用するシースを鋼製シースからPEシースに変更、鋼製グラウトキャップを防錆仕様グラウトキャップに変更、桁端部のコンクリート塗装範囲の鉄筋を裸仕様からエポキシ樹脂被覆に変更するといったところです。

確実に排水し桁や沓座に漏水しないように
 PC桁端部も塗装

 また、道路橋の損傷は、伸縮装置からの漏水よる桁端部や、橋面水や雨水等が影響しやすい桁端部や外桁で多く発生することが、全国的な橋梁点検の結果から明らかになっています。特に、凍結抑制剤を含む橋面水の排水が適切に行われないと、桁等に直接影響を及ぼす部分で耐久性に大きく影響を及ぼすような損傷が見られることから、排水流末の適正な処理を行う必要があります。その方法として、水切り兼用の地覆コンクリートを主桁下フランジ下面より5㌢長くし、水切り機能を確実にすることや、支承部廻りに水が溜まらないよう橋軸方向に3%程度の勾配をつけること、スラブドレーン(排水パイプ)を10㍍間隔程度に配置し、流末は必ず排水管まで導くことなどを行っています。やむを得ず単独で導水する場合は、導水管の先端は桁下まで延長させるものとし、添接部から桁高の1/2程度以上離して設けるものとしました。床版水抜き孔と導水管の取り付け部は漏水し易いため、支持金具を伝って主桁側に排水が流れないように、支持金具は先端に向けて2%程度の勾配をつけています。


耐久性向上のための構造細目(三陸沿岸道路設計基準書(案)から抜粋、以下資料すべて同じ)
水切り兼用の地覆コンクリートを主桁下フランジ下面より5㌢長くした

水が溜まらないように3%勾配をつけた橋脚・橋台天端部

橋台沓座形状の工夫(左)/床版排水の工夫(右)

 コンクリート橋桁端部および桁端部に位置する下部構造頂部は、伸縮装置からの漏水などによりコンクリートが凍結融解作用などを受けて劣化しやすいため、コンクリート塗装を施します。伸縮装置においては、地覆立ち上がり部から漏水しない構造とします。具体的にコンクリート塗装を行う箇所は、プレキャスト桁では桁端部とパラペット、場所打ち桁では桁端部(後打ちパラペット:パラペット前面の鉄筋純被りを90㍉以上とするか塗装鉄筋を使用する)としています。


コンクリート桁端部やパラペットにも塗装、防食鉄筋を使用

 東北地方整備局管内の既存橋の損傷を見ると、凍結防止剤を含んだ漏水により桁端部とりわけパラペットと最外桁の外側端部が損傷しているケースが多かったので、そうした知見を踏まえて塗装するものとしました。
 さらにジョイントは非排水構造と言われていますが、実際は泥などで詰まったり、積雪時の押抜雪荷重で損傷したりして、そこから漏水が生じるケースが少なからずあります。そのため、ジョイント下に雨どいなどを設置するフェールセーフ構造も使えないかな、と考えています。


維持管理考慮し検査路を充実

ヒヤリハットマップを作成
 CSR活動や見える化について取組み

 ――復興事業を進める上で苦労している点は
 永井 復興事業が最盛期を迎え、工事規制や工事車両の増加に伴い、交通渋滞や道路汚損、騒音・振動などといった交通環境及び生活環境負荷に伴う地域住民や道路利用者からの苦情や不満が懸念されることから、生活環境等環境負荷の軽減策や地域住民への細やかな対応など、復興事業への理解向上のための重点的な取り組みが重要となっています。
 現在、取り組んでいる実施例としては、交通安全の一環としてダンプトラックの運行経路上におけるヒヤリハットマップを作成しこれを活用した小学校での啓発活動、朝の通学時間帯に横断歩道で実施している工事関係者による安全指導、ダンプトラックの後続車両を優先させるためのゆずりあいポイント設置等のマナーアップ作戦などを実施しています。また、市街地の交通渋滞や騒音等の緩和策としてダンプトラックの運行経路を往路・復路で別々にしたり、通勤時間帯の運行台数を抑制するなどの取組も実施しています。道路汚損対策についても、関係機関や各工事関係者の合同による一斉清掃などを実施しています。
 さらに、これらの取組を復興道路・復興支援道路全体による広域的に連携した取り組みとして水平展開するために、各安全協議会の代表を集めた会議を定期的に開催し、「CSR活動」や「見える化」等の取り組みについて横断的に情報共有を行い、効率的かつ効果的な生活環境等負荷の低減に取り組んでいます。
 ――ありがとうございました
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