HOMEインタビュー一覧復興道路を1日も早く供用したい

インタビュー詳細

コンクリートの品質管理には「山口方式」を導入

復興道路を1日も早く供用したい

国土交通省
東北地方整備局
南三陸国道事務所長
佐藤 和徳 氏

 南三陸国道事務所は宮城・岩手県境から山田町までの三陸沿岸道路と釜石市内の横断道合わせて50㌔の道路建設を所管しており、急ピッチで復興道路の建設を進めている。構造物は東日本大震災級の津波が襲来しても被害を受けないよう「水平的かつ垂直的に津波の浸水域を避ける」べく設計している。一方で同地は寒冷地であり凍害や凍結防止剤散布による塩害などによる構造物の劣化が懸念される。そのため状態の良い道路を長く使えるべくコンクリート構造物にはエポキシ樹脂塗装鉄筋、エポキシ樹脂被覆PC鋼より線、FAコンクリートなどを採用するともに、コンクリートの品質管理に「山口方式」を用いている。その内容について佐藤和徳所長に聞いた。(井手迫瑞樹)


 50㌔の道路建設を所管

 水平的かつ垂直的に津波の浸水域を避ける

 ――南三陸国道事務所管内の地勢的特徴と東日本大震災時の道路網の被害状況、それを踏まえた復興道路の整備方針および構造物の整備の考え方について

 佐藤所長 南三陸国道事務所は宮城・岩手県境から山田町までの三陸沿岸道路と釜石市内の横断道合わせて50㌔の道路建設を所管しています。リアス式の海岸に近く国道45号は山を越えて次の町に行くような地形になっています。大槌町から南の市町の市街地は壊滅的な被害を受けました、釜石市や大船渡市は中心市街について湾港防波堤の抵抗によりほかの地域に比べて被害は少ない方ですが、それでも甚大な被害を受け、中心街以外の区域は他地域同様の壊滅的被害を蒙っています。同地域は国道45号の道路啓開も他地域と比較して時間がかかりました。特に陸前高田市の気仙大橋は最後まで不通区間として残りました。

 それを受けて三陸沿岸道路は津波の浸水被害を水平的(津波の浸水域を避ける)かつ垂直的(浸水域を通らなければならない時にクリアランスを十分取る)に避けるルートを採っています。東日本大震災クラスの津波が来ても浸水することがない道路構造といえます。

 陸前高田市でいうと15、6㍍の津波が襲来したわけですが、三陸沿岸道路の本線は30㍍以上の橋脚で設計しています。地形が山の上の方に行っていますので、トンネルを出てすぐに高架橋という極めて構造物の多い路線となっています。

 また、トンネルで生じた掘削土は、復興事業の嵩上げ用の土として使ってもらっています。

 トンネルは管内で予定している18本すべてで着工済みです。橋梁はまだ完了しているものは数本という状況です。というのも釜石市や大槌町を走るルートは水平的に避けていることが多く、そうした個所の予定地には住宅や仮設住宅があることが多いため、その用地交渉に時間がかかっている状況です。嵩上げ事業が終わらなければ移住できない上意見が整わなくては契約できない状況であるためで、(用地買収に)反対する人はほとんどいません。昨年度末で用地買収率は8割を超えました。


 長大橋、トンネルが続々

 新気仙大橋は上部工架設へ

 ――では、個別の建設・改築事業を三陸沿岸道路の唐桑高田道路から

 佐藤 同事業は延長10㌔ですが、当事務所ではそのうち宮城・岩手両県境以北~陸前高田IC間約8㌔を担当しています。用地買収率は約9割、事業進捗率は約4割に達しています。現在は道路・構造物設計、用地買収、工事の推進を図っています。


               唐桑高田道路・吉浜道路の橋梁一覧

 主な構造物としては県境トンネル(910㍍)、気仙トンネル(706㍍)、長部高架橋(408㍍)、新気仙大橋(438㍍)などがあります。

 トンネル2カ所はNATM工法で、気仙トンネルは掘削中です。橋梁は長部高架橋で橋台・橋脚7基のうち3基が完了しています。今年度は残りの下部工及び上部工の施工を進めます。新気仙大橋は下部工8基のうちA2を除く7基が完了しています。上部工は平成27年度架設する予定です。

 

                                             新気仙大橋

 ピア高80㍍の高架橋も

 ――吉浜道路は

 佐藤 三陸IC~吉浜IC(いずれも仮称)の3.6㌔が事業区間で、今年度開通を目指し工事を進めています。用地買収は完了しており、事業進捗率も約9割に達しています。同区間の現45号は山が多く、線形も悪い難所で知られています。そこを、構造物を中心とした道路で線形を良化した新しいバイパスでほぼ直線に結んでしまうものです。

 今年度は、越喜来高架橋(584㍍)、吉浜高架橋(373㍍)などの構造物と吉浜、三陸両ICの土工、舗装工事を急ピッチで進めます。

 トンネルは吉浜トンネル(1,644㍍)が昨年度完了しました。橋梁は、越喜来高架橋、吉浜高架橋ともに上部工の閉合まで進んでおり、現在床版工、舗装工を進めています。来年度完成する予定です。

 ピア高は80㍍に達しています。


 管内最長は新鍬台トンネルの3,330㍍

 100億3本、50億1本の大型ロットで発注

 ――吉浜釜石道路は

 佐藤 吉浜IC~釜石JCT(いずれも仮称)間約14㌔が事業区間で用地買収率は約8割、

事業進捗率は約3割という状況です。

 道路・構造物の設計、用地買収、工事をそれぞれ推進していきます。

 主な構造物は新鍬台トンネル(3,330㍍)、荒川トンネル(1,169㍍)、唐丹第1トンネル(465㍍)、同第2トンネル(521㍍)、同第3トンネル(2,998㍍)、新白木沢橋(250㍍)、唐丹第1高架橋(307㍍)、同第2高架橋(352㍍)となっています。トンネルと高架橋が交互につながるような構造物比率の高い路線です。ここは新鍬台トンネルを約100億円、新鍬台トンネルと唐丹第三トンネルの間の構造物を約100億円、唐丹第3トンネルを約100億円、最後のJCTを釜石道路の工事と併せ約50億円とそれぞれ大型ロットで発注し、作業効率を上げています。


                  唐丹第一高架橋


                                    新鍬台トンネル 

 

                     吉浜釜石道路橋梁一覧

 いずれの工事も本格的に始まったばかり、トンネルはまだ掘削が始まった段階、高架橋は唐丹第1高架橋がA1橋台のみ完了、唐丹第2高架橋はP1、P2橋脚が完了した状況で残る下部工9基、上部工の施工を今後進めていきます。

 新鍬台トンネルは三陸沿岸道路最長のトンネルで、三陸沿岸道路専用公共生コンプラントから生コンを供給し、打設する予定です。

 他に新白木沢橋が下部工5基のうち橋台2基が完成している状況で、残る橋脚3基と上部工の製作・架設を進めていきます。釜石南IC(仮称)~釜石JCT間にランプ橋が2橋ありますがいずれも下部工を施工中で、上部工は未発注です。