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高岡環状道路 2.6㌔の高架化に着手

富山県 ASRや塩害による損傷橋を一部架替

富山県
土木部 道路課長

水口 功 氏

公開日:2015.12.17

260橋で集中的な補修補強を実施
 今年度計画を見直し

 ――長寿命化修繕計画の進捗状況は
 水口 先ほどお話ししました通り、30年後には15㍍以上の50年以上経過した橋梁は全体の85%に達するとみられています。損傷がある程度進行した段階で修繕を行う「対症療法型維持管理」から、損傷が軽微な段階で小規模な修繕を行う「予防保全型維持管理」へ転換することによって橋梁の長寿命化を図り、ライフサイクルコストの縮減及び修繕・更新費の平準化につなげることを目的に、平成22年度に富山県橋梁長寿命化修繕計画を策定(平成23年2月)しました。


長寿命化修繕計画の進捗状況

 23年度からの橋梁補修事業は、この橋梁長寿命化修繕計画の方針に基づき、優先度の高い橋梁から順次修繕を実施しています。
 概ね10年間で全ての橋梁を適切な管理水準に引き上げることを目指していることから、まずは平成23~32年度に260橋について必要な補修補強を計画的に実施する必要があります。長寿命化としては、橋面防水、塗装、伸縮装置、支承、コンクリート部材、下部工(主に洗掘)の対策を行うこととしており、現在までに132橋に着手しています。計画内容については、点検結果や修繕結果をもとに事後評価を行い、5年毎に見直しを図ることにしており、今年度が5年目になることから、更新(架け替え)も含めて見直し作業を進めています。
 ――実際見直しをしてみての所感は
 水口 5年を経て劣化が進行してしまっている箇所があることは否めません。今後はその原因、橋種、部位などを鑑みた上で計画を考慮していく必要があります。また、(同じ橋梁でも)損傷が全く出ていない橋梁、部位があります。1年に600橋の点検をするにしても、点検レベルに何らかの差異を持たせるなど、効率的な手法を模索する必要があるかもしれません。
 ――上部工補修補強の実績と今年度予定は
 水口 平成24年度が 6橋(クラック注入、含浸工、断面修復、床版下面増厚、あて板、ボルト取替、ゲルバー部打ち換え)、25年度が8橋(クラック注入、含浸工、断面修復、剥落防止、床版取替、上部工補強、ボルト取替)、26年度が 6橋(クラック注入、含浸工、断面修復、剥落防止、ボルト取替)を行っています。今年度は 1橋を実施済(ボルト取替)です。鋼床版の疲労亀裂については、該当橋梁はありません。

床版防水は過去3年で63橋約57,000平方㍍実施
 ASRはS40年代中心に散見、常願寺川産の骨材が原因か

 ――床版防水については
 水口 過去3年は24年度が13橋12,000平方㍍、25年度が27橋29,000平方㍍、26年度が23橋16,000平方㍍となっています。今年度は 3橋2,000平方㍍で実施済みです。近年は、新設・補修、車道、歩道にかかわらず塗膜系を採用しており、シート系の実績はありません。また、残念ながら床版防水の敷設率の把握は行っていません。
 ――支承や伸縮装置の取替およびノージョイント化について今年度の施工予定は
 水口 支承取替は、国道156号の小原橋で予定しています。伸縮装置の取替は、県単事業で13箇所、交付金事業で5箇所を予定しています。ノージョイント化の予定はありません。


(左)支承取替を予定している小原橋/(右)小原橋の腐食損傷した支承

 ――塩害、ASRなどによる劣化の有無。劣化があればどのような形で出ているか、またその対策工法などを具体的な橋梁などを挙げてお答えください
 水口 塩害やアルカリ骨材反応による劣化橋梁はあります。
アルカリ骨材反応による劣化については、平成2年度に全県的に調査を実施し、主に昭和40年代に造られた橋に見られます。
 ――なぜそうした傾向が見られるのですか
 水口 ASR対策でご指導いただいている、金沢大学の鳥居教授の見解によりますと、コンクリート用骨材として、常願寺川の川砂利、砂を使用したことが主な原因とみられます。常願寺川産の砂は上流の立山の安山岩が元であり、立山の安山岩には、オパールといった反応性シリカが多く含まれているためです。


新常願寺橋の損傷した橋梁と補修状況(平成26年度に対応)

同橋の橋脚梁部の補修(平成26年度に対応)

 ――ASRが出ている部位は
 水口 下部工に多く、橋脚主鉄筋方向のひび割れや橋台前壁や梁部の亀甲状のひび割れが発生しています。
 当該劣化橋梁を把握してから、その対策工法の選定は、平成元年に出された「建設省総合技術開発プロジェクト コンクリートの耐久性向上技術の開発(土木構造物に関する研究成果)アルカリ骨材反応被害構造物(土木)の補修・補強指針(案)(財団法人土木研究センター)」(略して「総プロ」)に基づき、エポキシ樹脂等をひび割れに注入し、水の供給を絶つため、表面被覆を行うという方法をとってきました。しかし、最近では、表面被覆を行うことにより、コンクリート内部の水分等の放出ができなくなり、アルカリ骨材反応を進行させ再劣化に至っている橋梁も実際にあるため、ひび割れ注入後の表面被覆を行っていません。今後は(点検を考慮し)可視化できる剥落防止材もしくは表面被覆材の採用も検討したいと考えています。

有沢橋で橋脚を3基打替えた事例も
 端部だけでなく中間部でもASR

 ――全面的な打ち替え事例などはありますか
 水口 平成18年度に、県道富山小杉線の有沢橋(富山市布瀬~有沢地内)において、アルカリ骨材反応による劣化が進んだため、橋脚3基の梁部と柱部のコンクリート打替えを実施した事例があります。打替えた3基のうち2基は、トラス橋の架け違い部にあり、上部から常に水が供給されていたため反応が促進されたようです。残る1基は中間部にありますが、ペシマム条件(ある値の時に骨材膨張や損傷が最大なる条件があること)が揃った可能性が高いと考えています。基礎も一回出して、RC巻立をして防水処理をしています。


(左)ASRにより劣化していた有沢橋の橋脚/(中)、(右)打替えを行った

打替えが完了した有沢橋の橋脚

 ――塩害による劣化は
 水口 主に海岸線に近い橋に見られます。また、山間部の凍結防止剤散布が多い橋にも見られます。特に上部工に多く、主桁にひび割れやコンクリートの剥離等が発生しています。対策工法としては、断面修復がほとんどです。

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