道路構造物ジャーナルNET

道路管理に毎年平均150億円を投入

神奈川県 今後5~10年が道路建設の正念場

神奈川県 
県土整備局長

浅羽 義里

公開日:2015.06.01

県管理橋梁は1,206橋、50年以上経過は385橋
 トンネルは82個所を管理、在来工法は44個所 

 ――保全に関して構造物の内訳から
 浅羽 27年4月1日の時点で県が管理する橋梁の数は1206橋あり、橋種は鋼橋が228、コンクリート橋が885、混合その他が93となっています。橋長別では15㍍未満が735、15㍍以上100㍍未満が377、100㍍以上が94となっています。県が管理する最長の橋梁は中津川大橋(757㍍、県道42号藤沢座間厚木、厚木市内の中津川渡河橋)です。
 供用年次別では50年超が全体の3割を占める385橋、以下41年以上50年以下が353橋、31年以上40年以下が161橋、30年以下が250橋となっています。
 県が管理するトンネルは27年4月1日時点で82個所あり、工種は在来工法が44、NATMが19、その他が19という内訳です。供用年次別は51年以上が21、41年以上50年以下が15、31年以上40年以下が14、30年以下が32となっています。延長は100㍍未満が28、100㍍以上500㍍未満が50、500㍍以上が4という状況です。県が管理する最長のトンネルは三浦半島にある新沢隧道(929㍍、県道217号逗子葉山横須賀)です。

総じて深刻な損傷はない
 毎年平均150億円の維持管理投資が奏功

 ――点検を進めてみての管内構造物の健全度状況は
 浅羽 16年度から点検を始め、現在は2巡目を行っています。鋼橋は桁端や支承の腐食、塗装の劣化が主で、コンクリート橋は主桁や地覆などコンクリートの、ひび割れ、剥離、鉄筋露出などが生じています。トンネルは20年度から点検を進めており、在来工法で覆工コンクリートのひび割れ、漏水などの損傷が生じている箇所もあり、はく落の危険がある部分ではCFRPシートによる補強を行っています。しかし総じて深刻な損傷はありません。
 当県は財政的に厳しい中でも道路維持に毎年平均150億円を投じており継続的に構造物を管理してきました。その効果が出ているのだと思います。

耐震補強は今年度9橋で対策
 平成8年道示前設計橋梁144橋を順次補強

 ――橋梁など耐震補強の進捗状況、および落橋防止装置の設置状況は
 浅羽 昭和55年道路橋示方書よりも以前の設計で建設された橋梁のうち単柱橋脚の62橋については平成24年度までに対策を完了しています。25年度からは平成8年道路橋示方書よりも前の設計で建設された144橋について耐震補強を行っています。25年度は3橋、26年度は10橋で耐震補強を行いました。
 今年度は9橋で対策を実施する予定です。


今年度の耐震補強予定表

 落橋防止対策については、15㍍以上の橋梁については全橋で対策を完了しています。現在は10㍍以上15㍍未満の橋梁について対策を進めています。対象は44橋あり、26年度末までに13橋で対策を完了しています。
 さらには、高速道路系の地震対策として高速道路を跨ぐ市町村所管の橋梁の地震対策をどのように行っていくかが課題です。国が主導して行われている神奈川県道路メンテナンス会議で耐震補強、長寿命化などの技術的な水準の向上も含めて県の役割は重要になってきます。


神奈川県道路メンテナンス会議の枠組

長寿命化は今年度14橋を対策
 弥勒寺高架橋や座間跨道橋など

 ――橋梁の長寿命化修繕計画にもとづいた対策の進捗状況についてお答えください。また具体的な損傷状況と補修補強内容についても例を挙げてください
 浅羽 計画そのものは21年度に策定しました。26年度までに当初予定の143橋中、132橋で対策を完了しています。
 今年度は2順目の点検結果で見直した箇所で出た損傷対策も含め14橋で対策を行う予定です。主な橋梁としては弥勒寺高架橋(722㍍、県道312号田谷藤沢、藤沢市道およびJR東海道本線を跨ぐ高架橋)などを補修する予定です。


今年度の補修補強予定表

 コンクリート橋について樹脂注入、断面修復、鋼橋については塗替えが主です。


(写真左)県道78号(御殿場大井)足柄大橋コンクリート巻立ての鉄筋組立状況/
(写真右)県道508号(厚木城山)昭和橋のポリマーセメントモルタル巻き立て増厚状況

(写真左)県道40号(横浜厚木)海老名跨線橋の炭素繊維シート貼付状況/
(写真右)県道312号(田谷藤沢)弥勒寺高架橋の橋面舗装アスファルト舗設状況


(写真左)県道78号(御殿場大井)足柄大橋のひび割れ注入エポキシ樹種注入・仕上げ状況/
(写真右)国道135号早川橋の支承補修亜鉛アルミ溶射状況

床版防水は昭和60年代から橋面全体に施工
 支承取り換えは今年度2橋実施

 ――床版防水についてはどのような敷設状況ですか
 浅羽 当県では床版防水について昭和60年代から橋面全体に設置するようにしています。新設時はもちろん、舗装打ち替え時にも床版防水を施工しており、現在ではほぼすべての橋梁に床版防水を設置していると考えています。防水工の種類としてはシート系と塗膜系を、現場状況に応じて使い分けています。
 ――支承取り換えや、ジョイントの取り替えおよびノージョイント化について今年度の施工予定個所数と取替える際の工法・種類をお答え下さい
 浅羽 支承取り換えは今年度2橋(県道302号山崎跨線橋、国道255号飯泉橋)で鋼製支承を鋼製支承(BP-B 密閉型ゴム支承板支承)に取り換える予定です。今年度のジョイント取り換えはありません。
 ――塩害やアルカリ骨材反応による損傷はありませんか
 浅羽 構造物の寿命に影響するような深刻な損傷はありません。

塗り替えは6橋約26,000平方㍍を予定
 有害塗膜除去作業基準研究分科会で出された作業基準を参考

 ――鋼橋の塗替え予定は
 浅羽 湘南大橋など6橋で合計約26,000平方㍍を施工する予定です。
 橋塗協での有害塗膜除去作業基準研究分科会で出された作業基準を参考に施工しています。ケレンは状況に応じて1種および3種で施工しています。


鋼橋の塗り替え予定

 ――具体的にはどのような剥離方法を使っていますか
 浅羽 塗膜の除去については、ブラスト工法やサンダーなどの動力工具を使用しています。
 ――PCBや鉛等が塗膜に含有しているか否かの事前調査はどのように行っていますか
 浅羽 橋梁台帳で判断しています。
 ――台帳だけでは3種ケレンで塗りなおした際に塗り重ねた状況になった場合、PCBや鉛は残っているのに、(台帳上)そうではないという判断になってしまう可能性があります。塗膜を抜き取るなどの詳細調査は行っていませんか
 浅羽 国からの通知に基づき、ほかの道路管理者の対応事例などを参考にして、適切な対応をしていきます。
 ――トンネルなど橋梁以外の長寿命化修繕計画の策定は
 浅羽 県ではトンネル、舗装、歩道橋、大型標識、照明塔などについても長寿命化修繕計画の検討を進めています。

法面補修は平成19~26年度までに200個所で対策
 今年度は22個所で対応する予定

 ――全国的に異常気象などによる土砂災害が相次いでいますが、神奈川県として道路に面する斜面や、古い法面などをどのように補強・補修して道路を守っていくのか具体的な事例や計画などがございましたら教えてください
 浅羽 平成19年の防災点検結果に基づいて、「かながわのみちづくり」計画に危険な法面個所を56カ所選定しており、26年度までに39カ所で対応しています。また、それ以外にも台風や豪雨などが起きた際に緊急点検し、危ない個所について19~26年度の間に200カ所ほど対策しています。
 尤も神奈川県は、山、谷、河に富むため、全ての法面を対策するのは到底不可能です。そのため、まずはハザードマップの制作、避難計画の策定などソフト対策を充実させていきます。その上でハード対策を順次行っていきます。
 今年度は全体(計画及び緊急対策が必要な個所合わせて)で22カ所対応する予定です。

路面下空洞探査車を緊急輸送道路約600㌔で施工
 今後は緊急輸送道路外でも走行させる方針 

 ――新技術・新工法の採用について
 浅羽 県の緊急輸送道路約600㌔に対して路面下空洞探査車(ジオサーチ社製)を平成25年度から2年間で走破させて、路面下の空洞を調査しています。その結果、平成25年度では3カ所で大きな空洞が見つかり、緊急補修しています。
これからは路面下空洞探査車を緊急輸送道路以外でも走行させる方針です。

海岸浸食によって路面が崩壊する危険も
 擁壁の背面土砂が波で吸い出され、路下に空洞が発生 

 また、特徴的な点としては海岸侵食によって起こる路面の崩壊という事象に配慮して注視しています。平成19年の西湘バイパスの擁壁などが崩落した事故は記憶に新しいことと思います。相模湾に面した道路では、擁壁の背面土砂が波で吸い出されてしまって路下に空洞が生じることが実際に起きています。主な箇所としては国道134号の鎌倉高校前(江ノ電鎌倉高校前駅)付近などがあります。また、国道135号の根府川付近では越波対策や波浪による飛び岩対策のため道路全体をかさ上げする工事を進めています。


国道134号の擁壁改修事業

 ――今後は
 浅羽 橋梁の点検技術の更なる効率化・高度化が大事になってくると考えています。あと、各自治体も技術職が減少している状況もあり、どのように効率的に点検していくか、メーカーさんもいろいろな手法を提案していただいていますが、ジャストフィットするものがなかなかありません。橋梁専門ファブにも技術開発に参加していただきたいと考えています。
 ――ありがとうございました

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