道路構造物ジャーナルNET

橋自体の耐久性に大きな疑義

既設ポストテンション橋のPCグラウト問題への対応

公益社団法人プレストレストコンクリート工学会
既設ポストテンション橋のPCグラウト問題対応委員会
委員長
京都大学教授

宮川 豊章 氏

公開日:2015.01.01

 補修はPCグラウトの再注入
 補強はアウトプレート工法や外ケーブル

 ――仮にPCグラウトに充填不足やPC鋼材の損傷があった場合、委員会では現時点においてどのような補修補強手法を考えておられますか。JR西日本などでは疑わしきは補強という形で外ケーブル補強を主に行っているようですが。その反面、外ケーブル補強はお金もかかるし、補強設計も難しいと聞きます。
 宮川 問題は補修レベルで対応可能なのか補強しなくてはいけないのかを判断する方法です。その上で基本的な補修方法としてはPCグラウトの再注入が考えられます。しかも大部分はそれほど損傷しておらず、損傷している部分も局部的な損傷にとどまっているものがほとんどです。それならば損傷程度が数本レベルで耐荷性能を計算して問題がなければ(変状があっても)補修レベルで済ますという選択肢もあります。構造物とりわけ古い構造物は基本的に安全側で作っていますからとりあえずはその余裕分を多少費やしても構わないだろうという考え方です。JRが外ケーブルにより補強するのは桁が少しでも傾斜するだけで脱線の危険性があるナイーブな交通インフラであるからです。道路橋はそういう意味では補修がメインになると考えています。補強は外ケーブルやアウトプレート工法などによる補強が考えられます。こうした補強はやはり鋼材の腐食、破断が進み耐荷性能に黄信号が灯った時に行うことがベターであると考えます。ほか、鋼板・炭素繊維補強材による補強などが考えられます。


                  アウトプレート工法の概要

                  アウトプレート工法の補強例

                  外ケーブルによる補強

 ――鋼板や炭素繊維による補強はプレストレス量の回復という意味では寄与しないように思われますが。
 宮川 その通りです。だから本当はあまりしたくありません。環境的・コスト的にできないような状況下でそうした工法を使わざるを得ないことがあると考えています。
 ――今後の委員会のスケジュールとりわけ診断マニュアル、補修・補強マニュアルの作成状況について教えてください。
 宮川 現在はアンケートの集計を進めており、補修・補強マニュアルについては叩き台を作った段階で現在鋭意議論中です。現時点の構成は総則、調査(PCグラウト充填、PC鋼材破断、評価(耐荷性能、耐久性能)、対策(PCグラウト再注入、防水対策、外ケーブル補強、アウトプレート工法、第三者被害防止対策)などです。マニュアルは来年内には何とか成案を得たいと考えます。

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