道路構造物ジャーナルNET

大規模更新・大規模修繕の詳細固まる

東品川桟橋・鮫洲埋立部など着手

首都高速道路株式会社
代表取締役社長

菅原 秀夫

公開日:2014.09.29

平成24年度までの累積損傷は106,100件
4年以内の解消を目指す

 ――補修補強の進捗状況は
 菅原 平成24年度までの累積損傷件数は106,100件にのぼっており、これを4年以内に解消すべく、補修補強を行っていく予定です。
 昨年度にはそのうち38,700件の対策を完了しました。
 ――しかし、累積損傷件数は僅かですが増えていますね。
 菅原 
笹子トンネル事故を受けて、24年度にトンネルの道路付属物を点検し、25年度は前倒しで明かり部の道路付属物を一斉点検しました。その結果、新たに67,700件と24年度に比べて18,000件程度発見損傷数が増加したことによる影響です。25年度は、その内緊急性の高い25,400件の対策を完了しましたが、結果として累積損傷件数は109,700件となりました。累積損傷件数は今後減少に向かうと予測しています。26年度は60,000件の対策を行う予定です。新たに発見した損傷は5年以内に対策を完了していく方針です。


鋼部材の亀裂損傷


鋼床版を非破壊検査


床版裏面のひび割れ損傷

 ――累積損傷件数の内訳を詳細にお答えください。
 菅原 平成24年までの内訳としては、橋梁が約4万9千件(46%)、トンネル・擁壁・土工が約1万6千件(15%)、附属物が約4万1千件(39%)です。

更新費用の財源確保
ソフト・ハード両面で体制を強化

 ――次に中期的な事業展望について聞きます。まずは今次の道路法などの改正、償還期間の延長の影響について教えてください。
 菅原 道路整備特別措置法改正により更新費用の財源の確保(償還期間15年延長)ができたことを非常に心強く感じています。また道路法改正により、今まで新設や改築に限られていた立体道路制度は、自動車専用道路等、既存道路への適用が拡充されました。これにより都市再生事業と連携した首都高速道路の計画的な更新が可能になりました。
 当社の最大のミッションは、高速道路資産を健全な形で保ち、次世代へ継承することです。そのため総額約6,300億円(大規模更新約3,800億円、大規模修繕約2,500億円)の更新事業を迅速かつ計画的に行うべく、事業実施に必要な手続きを早急に進めていきます。
 ――懸案である維持管理体制の強化について教えてください。
 菅原 首都高本体とグループ会社ともにソフト・ハード両面で体制の強化を図っています。


維持管理体制の強化

 ――本体の体制強化について、構造物等点検要領の改訂はどの程度の間隔で今後行っていきますか。
 菅原 損傷やそれに伴う事故は待ってはくれません。1年に1度などといった定期的なものでなく、新たな事案の発生や技術の開発がなされた都度、フレキシブルに要領の改訂をしていく方針です。25年度にはトンネル以外(明かり部)の道路付属物の一斉点検を実施しましたが、この成果も要領に反映させています。

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