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地山等級Eパターンも存在、湧水も発出し、掘進も困難極める

新白河BP 南湖トンネルで山岳トンネル自動化セントルを実装

公開日:2021.03.26

自動追尾トータルステーション(TS)でセントル位置を測定
 型枠は伸縮妻板(スライド式矢板)を使用

覆工コンクリートの打設
 覆工コンクリートの打設は、2020年9月にトンネルの掘進を追いかけて施工を始めた。2021年3月8日現在で46スパン(1スパン6~10.8m)のうち38スパン399mの覆工が完了している状況だ。ここで活用しているのが、西松建設が岐阜工業と共同開発した山岳トンネル自動化セントルである。

山岳トンネル自動化セントルの主な搭載装置

 同セントルは、①セントル自動セットシステムと、②コンクリート打設自動化システム、③セントル脱型移動システムから構成されている。これらを用いることで、通常6人で行うトンネルの覆工コンクリートの作業を2人まで省人化することを目的としたもの。機械の自動化だけでなく、覆工コンクリートに高流動コンクリートを使用することでバイブレータ作業を省力化することも行っている。

セントル自動セットシステムの概要

セントル自動セットシステムの概要②

 ①は、自動追尾トータルステーション(TS)でセントル位置を測定し、設計位置と実測位置の差分値をセントル制御盤に自動転送する。その後、制御盤からの指令で、天端や側フォームなどを設計位置に自動で移動してセットを完了することができる。先行打設した覆工コンクリートのラップ箇所は面的に接触圧を感知して、所定位置で自動停止できる新型接触式センサー(右図)を用いる。また、天端部には高精度ポテンションメーター(可変抵抗器)を利用した位置誘導装置(下写真)により、従来方法と同等の精度で迅速なセットを可能にしたものだ。

高精度ポテンションメーター
 さらに型枠は伸縮妻板(スライド式矢板)を使用している。これは、断面で8ユニットに分かれた鋼製妻板を油圧シリンダーで伸縮させるもの。地山側は凹凸があるため、それに対応して隙間を埋めるためにエアバルクまたは硬質スポンジを使って対応している。

鋼製妻板

硬質スポンジ/実際の鋼製妻板と硬質ゴム(井手迫瑞樹撮影)

打設高さをセンサーで感知し、配管を自動切替え

 ②は、コンクリートの打設高さをセンサーで感知し、その高さに応じて配管を自動に切り替えて施工するものである。操作はタブレット端末から遠隔制御できる。同トンネルのコンクリートは冒頭に示したように配筋されており、厚さは従来トンネルより50~100mmも厚い400~450mmに達する。その打設高を確認するため、周方向に31個(高さ50cmピッチ)、延長方向に3列、計91個のセンサを配置しており、コンクリートが所定の高さに達するとセンサーが反応して色付け表示され、進捗状況が視覚的に確認できる。同様に型枠に作用する圧力についても周方向9個所×延長方向3列、計27個のセンサーを配置し、型枠へ作用する側圧をリアルタイムで表示できるようにしている。

コンクリート打設自動化システム概要

「高さ・圧力検知センサー」による打込み進捗状況の把握

トンネル頂部の配管口/自動配管システム(両写真とも井手迫瑞樹撮影)

高流動コンクリートを一部区間で採用
 締固め作業を大幅に効率化

 コンクリートは9割の区間で中流動タイプを使用したが、約1割において高流動タイプも採用した。高流動コンクリートの最大の特徴はその省人化率である。中流動は打設時の締固めのため棒状バイブを使わねばならず、肩部に打ちあがるまでたくさんの人手を必要とする。しかし、高流動タイプは、その流動性から鉄筋があってもきちんとコンクリートが回り込んでいき、棒状バイブで突く必要がなく、型枠バイブレータのみの自動締固めで品質を確保できる。そのため、打設時の作業効率は従来比56%までの省人化を達成することができた。

 高流動コンクリートは、生コンプラントによる品質のばらつきを抑えるために、全て現場で製作した。スランプ22.5cmのコンクリートをスランプフロー65cm程度にするもの。送られてきた生コンが入ったアジテーター車の中に所定量の流動化剤を入れて現場製作したもので、製作量は140㎥(38台分)に及ぶ。「高流動化剤は、温度環境などに応じて添加量の幅を見極めて適切に問う美優しないと材料分離が起きてしまう。そうしたディテールに配慮するためにも、またフレッシュな性状で打設するためにも現場での製作に拘った」(元請の西松・壁巣JV)ということだ。また、高流動コンクリートを持ちるためセントルの耐荷力も180t程度に従来比2割程度強化した。
 
 ③はアクチュエータ操作でフォームを自動収納し、移動は自走装置で制御するもので人力作業を不要としている。さらに型枠をずらして使うため、剥離剤塗布付きベルト式ケレン装置も導入した。特殊ブラシを装着したベルトを油圧シリンダーで横断方向に作動させながらスパン方向に走行させることで、型枠表面をケレンする装置で、ここでも人力での作業を無くしている。

セントル脱型移動システム

高流動でノンバイブあるいは中流動で型枠バイブを目指す
 養生にアクアカーテン工法を採用

 本現場では取り組めなかったものの、コンクリートの打設においてはさらなる効率化を目指している。というのも「南湖トンネルのような有筋トンネルは稀で、無筋トンネルではさらなる効率向上を図ることができる。将来的には高流動にしてノンバイブか、中流動でも型枠バイブのみで締固めが可能にできるよう改良を進めて行く」(同)としている。

高流動コンクリート打設前の配筋状況(井手迫瑞樹撮影)

 覆工コンクリートの養生は、面状発熱体を型枠上面に貼り付けて温めることにより保湿効果を高めた。また、コンクリートの表面温度と養生時間からコンクリート強度を推定し、脱型時期を確定できる積算温度管理システムを用いている。脱型後はアクアカーテン工法により1週間養生すると共に、隔壁バルーンで空気の流れを遮断して、コンクリートの表面品質を高めている。

バルーン養生(井手迫瑞樹撮影)

 なお、坑口付近のコンクリートには表面含浸材(アクアシール1400)を塗布して撥水に努めている。(2021年3月26日掲載)

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