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「コッター床版工法」を初採用

NEXCO東日本東北支社 東北道・小坂川橋で床版取替工事

公開日:2020.08.27

新設床版は1日あたり6枚を架設
 架設翌日に目地材を充填して床版設置が完了

既設床版撤去・新設床版設置
 終日対面通行規制を5月18日から開始して、路面切削後に既設床版と壁高欄の切断を行った。既設床版はコンクリートカッターで、橋軸方向2.2m×橋軸直角方向約5.8m(最大重量約7.9t)に切断(橋軸直角方向は幅員幅2分割とした)。壁高欄はカッターとワイヤーソーを用いて橋軸方向約4~5mのブロックに切断して、既設床版撤去前に撤去している。


既設床版と壁高欄の切断と壁高欄の撤去

 既設床版の撤去と新設床版の架設は5月28日から6月6日までの10日間、24時間体制で行った。昼間に既設床版の撤去、上フランジの研掃と塗装、夜間に新設床版の架設、既設床版の剥離という工程を繰り返している。架設後の翌日には目地材を充填して、床版設置が完了しているという同工法ならではの急速施工だった。
 撤去・架設は、A2側から220t吊オールテレーンクレーン1台を用いて進めた。既設床版1日あたりの撤去数は12ブロックで、合計は108ブロックとなった。


既設床版の剥離と撤去

上フランジの研掃と塗装(右写真:熊谷組提供)

コッター床版の架設(熊谷組提供)

新設床版(ループ継手)の架設


A2側から新設床版を架設。目地材の充填・養生も進んでいることが分かる(上4枚:熊谷組提供)

 新設床版の標準サイズは、橋軸方向2.4m×橋軸直角方向11.15m(重量16.7t)で厚さは220mm。1日あたり6枚(合計50枚)を架設していった。床版厚はコッター床版のみならば薄くすることも可能だったが、斜角対応のための端部調整版と曲線形対応のための支点調整版(台形版)をループ継手としたため、その取り合いで220mmにした。合計50枚の内訳は、コッター床版35枚、端部調整版(ループ継手)9枚、支点調整版(ループ継手)2枚、ハイブリッド床版(片側がコッター式継手、もう一方がループ継手でコッター床版と調整版間に設置)4枚だった。


新設床版割付図

コッター式継手は桁上以外400mmピッチで設置
 目地材はコッター床版専用のものを開発

 コッター床版は、パネルをクレーンで所定位置に下した後に専用冶具を継手部2箇所に挿し入れて引き寄せていった。その際、「C型金物の位置が合っていないとH型金物やボルトを挿入できないので、設置精度が求められた」(元請の熊谷組)という。H型金物をC型金物に挿入した後に、ボルト締付けを行った。


専用冶具を用いて床版を引き寄せた(熊谷組提供)

コッター式継手のボルト締付け(左写真:熊谷組提供)と継手部

 コッター式継手は橋軸直角方向500mmピッチ以下での設置が基準となっており、桁上には設置ができないため、5主桁である本橋ではスタッドジベル部を500mmピッチとしたうえで支間内(1,600mm)を等間隔の400mmピッチにして、1側面24個とした。C型金物とH型金物には耐食性向上のため、エポキシ樹脂塗装を施している。
 目地材は、コッター床版専用のものを開発。無収縮モルタルに7号砕石と短繊維(ポリプロピレン)を混入することで、NEXCO仕様の現場打ちコンクリートと同等の性能を確保している。また、材料はパッケージ化されているので、現場で所定の水量を混ぜるだけだ。充填後は養生マットを敷設し、湿潤養生を行いながら強度を確認して施工していった。


目地材の充填と湿潤養生(熊谷組提供)

仮組ヤードに実橋の桁を再現して床版配置を確認

 プレキャストPC床版は、オリエンタル白石の関東工場で製作した。コッター床版では、設置精度と同様に製作時においても継手部位置の精度が求められたために、製作誤差を±5mmに収めるようにして、出来形検査を入念に行っている。「型枠にC型金物を固定することも苦労した」(熊谷組)という。
 新設床版を小坂IC近くにある仮組ヤードに搬入後には、小坂川橋の桁を全長にわたり再現した架台の上に、全床版を配置して継手部の位置が合っているかなどの確認をして、初施工にあたっての万全を期した。


仮組ヤードで全長にわたり現場条件を再現

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