道路構造物ジャーナルNET

第78回 構造物の現在の状態を見極める

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
政策参与

植野 芳彦

公開日:2022.07.16

4.最近思うこと

 全数近接目視が実行されて2巡目が終わろうとしている。本来やるべきⅢ評価の補修は思ったように進まない。「全部終了した」という自治体も存在するが、それはうらやましい結果である。しかし、再劣化が起きますよ。まあ、この辺は個々の自治体の問題なので意見を述べるのは筋ではない。
 私が問題視しているのは、果たして予防保全は可能なのか? ということである。短期間に限れば予防保全活動は可能だろう。ここで「予防保全活動」とあえて言う。しかし、長期になってくると自治体自体が疲弊してくる。評価Ⅱの段階で修繕するのが、予防保全の考え方である。評価Ⅲが約7万橋。評価Ⅱは21万橋強である。これを予防保全できるのか? 管理数の多いところはとてもとても、であるのではないだろうか?

 インフラを管理していると、様々なリスクが実際にはある。それは各自治体によって様々であり、全国一律というわけにはいかない。富山では、まず数のリスクをできるだけ減らそう、ということで、「トリアージ」と言った。そこには様々な思いを込めた。きつい言葉を使い、危機感を感じてほしいと思ったからである。しかし、うまくは行かなかった。これは民主主義の世の中で住民の選択なので仕方がない。しかし、リスクは自分たちで選択した人たちでとらなければならない。
「長寿命化」もそうであり、「予防保全」もそうである。我々は選択で対応していっている。SNS上では様々な反対意見や非難なども流れる世の中だが、評論家が多すぎる。一見正しそうな意見に、したがってしまう。これも民主主義。決まったことは仕方がない。
 前にも書いたが、私たちは専門家であるが、決定者ではなく、実行者なのだ。決定者(市民)の考えに従うしかない。しかし、決定者の方々は、リスクを受け入れなければならない。反対者の意見のほうが正しいかもしれないし、その逆かもしれない。多数の意見が正しいと限られるわけではない。それを物語るのが「80:20の法則」である。民主主義の世の中では80のほうに従うしかない。次回に、最近の私の考えを少し詳しく述べたいと思う。

5.まとめ

 それにしても暑い日が続いています。様々な事件もありましたが、ダンダン時代が変わってきているということでしょう。早く人を育てなければならないと最近つくづく思う。本来は組織でやるべきなのでしょうが、機能していない。なかなか人を育てるのは難しいと思う。意外と答えを言ってしまうのは簡単だが、個人差があるし、答えを言ってしまえば、考えない。考えること、悩むことが一番大事だ。
 インフラ・メンテナンスは非常に難しい問題だ。最近「新技術」などと言われるとますます困惑するでしょう。これまでの造る時代とは違った時代に突入していることは皆さん感じていることでしょう。造るよりも管理するほうが数倍困難だ。では、今後どういう方法で対処していかなければならないのか。考える場があればよいが、なかなか全国一律にというわけにはいかない。それぞれの事情もある。これは個別に考えていかなければならない問題だ。すべてが中央集権的にうまくは行かない。各々オーダーメイドで考えていかなければならない。ましてや机上論ではうまく行かない。もっと実証する場が必要だ。机上論をありがたがって聞いても時間の無駄。そんなことを心配しているのならば、無駄になっても、投資と思って使ってみたほうが良い。

 最近、何件か私に連絡を取ろうとしたが取れないとのことで、富山市の代表などに連絡をしてくる例が増えている。私は現在、基本的には栃木県小山市の自宅にいます。自営業主です。何か頼まれたときに、様々なことをやっています。そのため、富山の旧アドレスにメールをいただいても、電話をいただいても、いない状況です。電話は知らない番号には一切出ません。本当は、ここに連絡先を載せればよいのかもしれませんが、過去にメールを乗っ取られた経験もありますので、ここの編集者にでもお尋ねください。お役に立たないこともあるかと思いますが、基本的に相談はすべてWelcomeです。よほど無理な依頼でない限りは、相談に応じます。ただ、体力も落ちてきていますし、極力無理はしないようにしていますので、どうぞよろしくお願いします。
(次回は8月中旬に掲載予定です)

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