道路構造物ジャーナルNET

㉕既設高架橋を活用した上野-東京ラインの工事

次世代の技術者へ

土木学会コンクリート委員会顧問
(JR東日本コンサルタンツ株式会社)

石橋 忠良 氏

公開日:2021.09.01

3.新幹線上の門型橋脚の施工

 新幹線の直上の構造物は、新幹線の高架橋上に鋼製の門型橋脚を施工し、その上にPC桁を施工するというものです。門型橋脚用の資機材は、東京駅から、新幹線の営業が終わった後に線路を使って施工現場まで運び、施工するという方法です。当然、新幹線の運転が始まる前に東京駅の基地に戻ってこなければなりません。
 門型の鋼製橋脚の施工をこのような方法で行った後に、桁の特殊架設機を用いて新幹線上でPC桁を架設します。この作業も当然、新幹線の運転されていない夜間での施工となります。昼は、下は新幹線が運行されているので、安全は十分確保されていなくてはなりません。
 この桁の架設の時期に、東日本太平洋沖地震が起こっています。仮設状態ですが、新幹線上ということで、地震対策はL2地震の1/2の大きさの地震に耐えられるような対策としていました。800cm/sの弾性応答加速度で倒壊しないというものです。この地震では問題が生じないで済みました。

(1)門型橋脚
 図-8は新幹線の軌道内でのクレ-ンの配置と、部材の施工の様子をしめしたものです。


図-8 鉄骨架設方法

 写真-3は新幹線高架橋に造られる門型橋脚のイメージを示したものです。
 写真-4は、門型橋脚の施工途中の状況です。


写真-3 新幹線高架橋に新設の門型橋脚の取り付けイメージ

写真-4 新幹線上の門型橋脚の施工中の状況

(2)PC桁
 図-9は門型橋脚上に載るPC桁の断面です。


図-9 PC桁

 PC桁は、工場にてセグメントを製作し、運搬したものを高架橋の上に吊り上げ、そこで台車上に仮置きします。セグメント相互を引き寄せ1連分のセグメントの引き寄せが終えるとPC鋼材を緊張して桁を一体化します。セグメント接合部には樹脂接着剤を塗布しています。それを架設機まで運搬して、順次架設していきます。図-10に架設手順を示します。


図-10 PC桁の架設の手順

 組み立ての終了した桁を台車に載せて、走行ガーダーまで運搬します。走行ガーダー上に桁を縦取りします。前部タワーと後部タワーで支持された吊りガーダーと桁をPC鋼材でつなぎ、吊りガーダーを上昇させ桁を吊り上げます。その状態で走行ガーダーを前方の手延べ機内に引き出します。その後、吊りガーダーを降下させ桁を正規の位置にセットします。
 桁の据え付けが終了したら、手延べ機、前部タワー、後部タワーおよび吊りガーダーを走行ガーダーをガイドにして次に桁を架設するスパンに縦取りします。このステップを順次繰りかえします。

 写真-5・6に新幹線上の架設機の状況を示します。


写真-5 新幹線上の架設機(後方から)

写真-6 新幹線上の架設機(前方から)

4.環境対策

 神田駅付近は新幹線上に新しい線路ができるため、騒音が悪化しないように、新幹線部分を全面的に防音壁で覆い、新たな新幹線上の上野-東京ラインも、当初計画より線路側にルートをずらすとともに、防音壁と軌道での騒音対策をしています。
 図-11は防音壁の側面と断面図です。
 写真-7は、神田駅付近の外観です。防音壁でおおわれています。大きすぎる防音壁を支えるためのトラス桁が天端に渡されています。ポリカーボネイト版の見える位置が新幹線で、その上を東京-上野ラインが走っています。


図-11 防音壁

写真-7 神田駅付近の外観

 この上野-東京ラインができたことで、品川にあった車両基地の機能の多くを他に移すことができ縮小されました。その跡地が開発中で、すでに新駅の高輪ゲートウエイが開業しています。開発中に、新橋-横浜間の鉄道開業当時の線路の跡が発見されたことなどが話題となっています。
(次回は2021年10月1日に掲載予定です)

【参考文献】
1)SED、36号、JR東日本構造技術センター 2011年6月30日
2)藤原寅士良,谷口善則,野澤伸一郎,渡邊明之,石橋忠良:基礎スラブを用いた杭基礎の耐震補強効果に関する実験的研究,土木学会論文集A, 2009. Vlo65. No.2, pp.310-320.
3)藤原寅士良,谷口善則,野澤伸一郎,渡邊明之,石橋忠良:基礎スラブ設置条件下でのフーチングの杭状部材の干渉効果に関する実験的研究,土木学会論文集A, 2009. Vlo65. No.3, pp.670-682.
4)藤原 寅士良,渡邊 康夫,津吉 毅,石橋 忠良:新潟県中越地震における柱中間部を拘束された鉄道ラーメン高架橋の被害検証,地震工学論文集,vol.29, pp.363-370, 2007.

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