道路構造物ジャーナルNET

第65回 数はリスク

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
政策参与

植野 芳彦 氏

公開日:2021.06.16

3.インフラ管理におけるリスク

 脅威と言うものは、隙をついてやってくる。平和ボケしていると、思わぬところに災いがやってくる。今までと同じように、何もやらなくても、何となくなんとかなる。最後は国が何とかしてくれるだろう。何とかするためには、「お金」が必要なのだ。つまり予算、財政。交付金で何とかなる? しかし無尽蔵ではない。その証拠に、今年から「道路メンテナンス事業補助制度要綱の改正」があった。今までとは違うことを徐々に気づいてきた証である。

 無責任。なんとなく自分が(?)担当から外れれば、良いと思っており、楽観視している。しかし災いはいつ来るかわからない。普通は、危ないと思ったら対処するものだと思うがそうでもない。危険なのか? そうでもないのかさえ考えていない。普通の神経であれば、自分の担当で危なさそうなものがあれば、1日でも早く対処したいと思うのだと思うが、そうでもない。考えていない。無責任ということになる。
 知識がない。わからないから、どう対応してよいかわからないからそのまま。これも、根っこは無責任だ。わからなかったら、しかるべき人間に聞けばよいし勉強しろよ。考えろよ。技術的知見がなくても、対応の方法はわかるだろう。若手は仕方がないが、いい年して聞ける人間もいないというのは、自分のこれまでの取り組みが悪かったのだ。ただし、聞く人間を間違えるとミスリードされ、とんでもない結果を迎える。それもリスクだ!

 数のリスク(前述)、管理している数が多いとリスクになる時代だ。ここのところがわかっていない。確かにたくさんあれば便利である。しかし、これらが、金食い虫なのだ。コンクリートや鋼の橋を「永久橋」と呼んだ。しかし、今わかってきたのは永久ではないこと。損傷もするし傷んでしまう。何らかの手を施さなければ、寿命がくるから、「長寿命化」と言うことで、対処をすべきだと言った。まあ、まっとうな話のように聞こえる。さらに、事後保全よりも予防保全をして早め早めに対処すれば、長寿命化になるし、コストは下がる。ということで、「長寿命化計画」が策定され、理想的なグラフが書かれた。

 しかし、まやかしである。まやかしは言いすぎだというのであれば、そんな理想的管理は実際には無理だということが、ちゃんとわかっている人たちにはすでに分かっている。例えば、予防保全と言うものを十分に検討せずに行うと、数年で再劣化と言うべき問題が起きてくる。これを防ぐ方法は今のところない。そもそもであるが、造った時の状態には戻らない。理想的な劣化曲線にはならないということが、認識できないと、金食い虫になる。実際に、富山でも交換した伸縮装置が2年で再劣化し、フェイスプレートが破断しているものが複数ある。コンクリートのひび割れ注入の再劣化は当たり前のように起きている。これは、よほど真剣に考えないと、予算が追い付かなくなる。思惑と違った、保全になって行ってしまい、予防保全を行うことによりかえって、予算がひっ迫する結果になりかねない。

適切な予防保全をしないといけない

 こう書くと、「お前は何を考えている。損傷をそのままにしておくよりも、何らかの手を打つ、つまり予防保全を行ったほうが良いに決まっているだろう。」と言われそうであるが、そうではなくて、ちゃんと、補修方法・補修材料を選定して行わないと、とんでもないことになると言っているのである。
 メタルの橋も塗装の問題が発生しており、有害下地(PCBや鉛)の問題やケレン、塗装仕様など非常に厄介である。そして、これが理解者は少ない。コンサルもメタルがわかる人間は少なく、今後大きな問題になると思われる。

今後は鋼橋の補修も大変である。全体的な塗装劣化例

桁端部、下フランジの劣化

支承周りの劣化

4.まとめ

 2021年3.31付け事務連絡「道路メンテナンス事業補助制度要綱の改定について」と言う事務連絡が出された。これを見てもらえれば、わたくしのこれまでやってきたことが間違いでないのは分かると思う。職員や議員、市民の理解が遅いだけである。数のリスクと言うのは今後も効いてくる、恐らくこの内容自治体側ではなかなか判断できないところもあるのではないか?

 1.例えばドローンの業者はこれを見て、商売になると思って動いているらしい。ただ本当にそれで大丈夫か?やる方も使う方も、わかって使って、分かって判断しないと、単なる「手抜き」になる。
 2.今どき「長寿命化」と言っているようでは・・・少し心配です。わかって言っているならば構わない。「長寿命化」するには相当な覚悟と予算が必要。
 3.「マネジメント計画」とするのがこれからの時代だと考える。
 4.方向としては、「トリアージ+数を減らす(撤去)」がコスト縮減ですが、これを理解できるか?できるかに今後はかかっている。
 5.それが実行できるか?住民の合意はとれるか?。
 6.民間業者さん側としては「撤去の検討」が多く出てくると思います。
 7.モニタリングも必要な新技術ですが、これも結構、理解して設置するのは難しい。
 8.これらを、総合すると、「包括管理」になっていくのではないか?

 例えば新技術の話では、これを本当に採用して効果を上げていくためには、役所側に技術力、理解力、度量などが必要である。それは可能な自治体はどれほどあるのか? 今後は、そういった勉強や技術習得も必要であろうし、適切な評価の仕組みや、新たな積算法。もう「積算」と言う言葉すら古いのかもしれない。大きな変革の上で、理解力がないと対応できないであろう。とにかく、発注者官側には、判断や評価と言ったこれまでにはない、事柄が重要になってくる。そこには技術者としての意識や知識、決断力なども必要になる。
 結局、管理者が何もやっていないように見えるかもしれないが、実は皆悩んでいるというのが実態では荷だろうか? どうしたらよいのか? どうすればよいのか? それが当たり前である。今までと違う状態に陥ってしまっているのであるから。その解決策をどうするか皆さん一緒に考えていきましょうよ!特に、若者に期待したい。(次回は7月16日に掲載予定です)

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