道路構造物ジャーナルNET

第65回 数はリスク

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
政策参与

植野 芳彦

公開日:2021.06.16

1.はじめに

 新型コロナウイルスの関係で、WEB会議、WEB講演会が増えてます。しかし、結構疲れます。1日2件もあったり、長時間だと腰が痛くなってきて疲れますね。しかし、打ち合わせなどはやはり対面が良いのではないでしょうか? WEBでもできるとは思いますが肝心なところのニュアンスが伝わらなかったり。意図が伝わらない。
 最近、数名の各自治体などの若手の方と、やり取りしてますが、この方々はすごい!ちゃんと、インフラの老朽化の問題点が見えてます。それに引き換え、危機感すらない方々、どうするつもりなのでしょう? 誰も助けてはくれませんよ! 古い考えは捨てて、新たな考えに移行しないと。もっとも、これを読んでいる方々は、そうではないでしょうから、まあ、ここで言っても仕方がないか!

2.何のための維持管理?

 コロナ騒動も、もう飽き飽きしてきた。無策としか言いようがない。ワクチンの遅れ。64歳から65歳枠で、接種券が来たので、予約してみようと、片手に携帯、パソコンも準備し、開始時刻の8:30分前から準備態勢を取り、試しに時間前にやってみたら、当たり前だがつながらない。30分とともに、GO! どちらもつながらない。NETは何とか入れるのだが、URLが動かない。みるみる埋まっていき、はい終了! 電話は全然つながらないまま。あとで聞くと小山市は4分で終了したようだ。しかし、まじめなお年寄りは、1日中電話をかけ続けていたようだ。私はどうせ無理だと思っていたので、すぐあきらめて病院へ行った。接種可能数が少なさすぎる。病院は、いつもと比べ驚くほど空いていて、受付をするとすぐに呼ばれた。先生が、「今日はなんだか、患者さんが来ないんです!患者さんが少ないと少ないで、不安になってしまう」と言うので、「たぶん皆さん、コロナワクチンの予約受付で、電話しまくってるんじゃあないんですか?」というと、「ああ納得!」。先生曰く「しかし、僕たちも未だ打ててないんです!」

 こんなことをしていて、生産性は非常に悪い。まあ、やってるのが役所だから仕方がないか? しかし、いつの時代の話なんだろう! 同じことが、インフラの老朽化でもやられている。無策! 考えない! 対処できない! 危機感がない! 同様に、裏から手をまわして先に打ってもらおうとする人たち。一部の市では内部告発みたいな形で、あからさまになったが、勇気ある行動である。よほど腹が立ったのだろう。こんなことは、多くの自治体でやられていると思う。表に出ないだけ。地方に行けば地方に行くほど、ひどいと思う。旧態依然のいつの時代かと思うようなことがまかり通っている。そして、我先に、受けたいという人たち。気持ちはわかるが、本当に打ったほうが良い人たちに回らなくなる。トリアージがうまく機能していない。

 一律に、申し込ませたほうが「公平だ」と勘違いしている。なんのためにやるのか? 誰が必要なのか、自分は後でもよくないのか? 先にやるとかえって危険なのかもしれない。公平公正を歌いたがる人たちほど考えていない。一番の原因は絶対量が少ないということだが誰もそこは責めない。つまり、限られた資源をどう配分していくか? と言うことなのである。
 インフラの管理でも同様である。「最後の通告」が出されてはや10年。どこまで進んだか? 全数近接目視は2巡目に入った。しかし、どうも心配である。点検して、終わりと思っている。危機感がない。何が悪いのか?ここでも、限られた資源、つまり、技術者、調査技術、補修技術、材料、何よりも財源が足りない。
 しかし、管理者としては維持管理は重要な責務である。これも突き詰めると、管理物を持っているということは、責任が発生するということを決めに銘じなければならない。しかし、これが理解できていない人たちがいるのも事実。つまり、数をたくさん持っているということは、これまでの高度成長期の「造る時代」の世の中では「資産が多い」と言うことで、裕福な証であった。しかし、これからの「守る時代」においては、「数」がリスクになる。ここがこれから大きく変わることである。しかし理解できていない。
 合理的に数を減らす努力が必要であり、多少不便になってもリスクを減らす努力は必要である。これがわからない方がが多い。

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