道路構造物ジャーナルNET

-分かっていますか?何が問題なのか-
第58回 鈴木俊男さんから学んだこと ‐突桁式吊補剛桁橋にチャレンジした恐ろしい胆力は何か‐

これでよいのか専門技術者

(一般財団法人)首都高速道路技術センター
上席研究員

髙木 千太郎 氏

公開日:2021.06.01

1.はじめに

 とうとう私の在宅勤務生活も2年目に突入し、未だに出口の見えない全世界に広がるCOVID-19感染。新聞もテレビも連日、朝から晩までCOVID-19感染関連の話題ばかりで、見る気もしなくなった。最近は、眠っていた携帯ラジオを引っぱり出し、就寝前にミュージックを聞くことで、何とか気を収めている。
 それはそれとして、第3回目の緊急事態宣言下の東京飲食店ではアルコール飲料禁止、声高に言われている「令和の禁酒令」、確かにそうだ! 言う通りだ、本当に情けない!
 確かに変異したウィルスが感染力を増したことは事実であるが、昨年の今頃、ウィルス(SARS-CoV-2)はいずれ変異すると想定していたし、過去の多くのウィルスに対して、変異する度ごと対処に手を焼いた過去の経験は、何処に活かされたのであろうか? 私は、人には学習機能があり、それ以上に、無限大の想像力があると思っている。確かに、『富岳』を始めとするスーパーコンピューターは素晴らしいが、今後、スーパーコンピューターの開発がどんなに進んでも、人のオールマイティな想像力には追いつくわけがないと私は確信していた。
 しかし、近年起こる種々な事象を見ると、人の想像力に限界を示す黄色のランプが点滅しているように思えてならない。これは本来、人が持つ想像力の減退を示し、この後説明する地下鉄高架橋崩落事故にも共通することである。適切に言えば、想像力不足だけではなく、倫理観の欠如が第一と言えるが。
 また、AIが行なう学習力は、AI自体が痛みを感じることも無駄を意識することもないので、AI自体が学習の種類や方法を選別することはないし、疲れないので当然限界もない。しかし、人の場合は、痛みを感じ、達成感が必要なので、おのずから学習にも限界がある。人の学習に関する限界は、人によって、職種によって大きな差異があることはお分かりと思うが、残念なことに学習する割には、忘れるのも早い。それが一般人の良いところでもあり、悪いところでもある。
 しかし、人間のCOVID-19に対する対応状況を見ていると、真の痛みを感じていないのか、学習能力が不足しているようである。結局、まるまる1年以上掛かって分かったことは、人がICT技術を扱う範囲は故意的に設定され、AIを使っていても範囲を限定し、COVID-19を封じ込める道筋を見出すためには使っていないのが現状である。
 そこで、何故範囲設定を行っているのかを私は考えてみた。その理由は、COVID-19封じ込め作戦に投資する政府(国内外)や民間企業がないので、封じ込め作戦AIプログラミングを行なう技術者がいないのであろう。『SARS-CoV-2』検査キットやワクチンには、多くのニーズと青天井の莫大な投資があることから各業界が先を争って研究・開発する。しかし、いま最も社会が必要としている『COVID-19封じ込め作戦戦略』は、売れる可能性はないし、そんなもの創ってくれるなと思っている企業が多いので、投資もしない。
 その原因は、現代社会の多くの主要企業の理念として、『社会貢献』がナンバーワンの序列とはなっているが、実態は全く異なり、実は『儲け主義』が隠れたナンバーワンとして優先され、社会は回っているのが事実だ。理想と現実の違いがここにもある。それはそうと今、社会が直面している課題解決に向かって全世界で進められている図-1に示すSDGs(Sustainable Development Goals)も、人類一丸となって取り組まなければならない重要事項ばかりである。しかし、想像力が減退する人社会を見るにつけ、『SDGs』も絵空事のように、空しく響く。本編に繋ぐ前置きはこのくらいにして、今回の話題提供、本題に移るとする。


図-1 持続可能な開発目標:SDGs

 さて、今回、令和3年2回目、連載第58回の始まりは、過去に何度も繰り返してきた、全く学習能力と想像力に欠ける『ヒト』が起こした、悲惨な橋梁崩落事故である。私の連載購読者の方々は、既に何度も報道されているので事故の詳細はお分かりとは思うが、私独自の考え方で分析したので説明する。メキシコの首都、メキシコシティで発生した高架橋崩落事故は、道路橋ではなく、鉄道橋に近い、メキシコシティ地下鉄の高架橋である。

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