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第63回 「i-Construction大賞 公共部門 国土交通大臣賞」受賞に寄せて

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
政策参与

植野 芳彦

公開日:2021.04.16

1.はじめに

 相変わらず、新型コロナウイルスが猛威を振るってます。第4波でしょうか?
「i-Construction大賞 公共部門 国土交通大臣賞」を受賞しました。これも関係各位のおかげです。ありがとうございます。
 先月は休みました。書いてもむなしいだけで、同じことの繰り返しのような気がしてきたからです。これのほかの隔週発刊の雑誌にもコラムを依頼されてましたが、そちらも同じことの繰り返し。そちらは、編集者から注意を受けました。「前にも読んだような……」ということで、私の感じていることは変わってない。しかし、何度言っても言っても、危機感が感じられない世の中なのでそうなってしまいます。
 他の皆さんはかなり技術的な報文的なことを書いているが、私にはそんなネタがない。感じるところを書いているので、読むのも無駄かもしれない。コラム的というか(?)技術的文章をご期待の方は、読むだけ無駄かもしれない。

2.現状

 新型コロナウイルスの影響で、最初の数か月は、富山市からの依頼のみであった。もともと、頼まれることを適当にやっていくということを考えていたので、「飯のタネ」を真剣に考えていなかった。富山市のお手伝いと、旧知の専務理事のいらっしゃる、日本アセットマネジメント協会のお手伝いくらいであった。
 その後、私の窮状(?)を心配してくれる方々がいた。旧国鉄のお歴々の方々とその関係者である。そういえば、こんなこと昔にも何度かあった。どうも私は人生の中で、干される時期が定期的にめぐってくるらしい。人生の波というか……。
 そもそもの挫折は高校生の時である。私は、医学部志望であった。担任には「君は無謀だね」と言われたが、「どうせ自分の人生なので、好きにさせてくれ」と言って受験に失敗し、結局は私立大学に入学した。
 先日、大学時代の同級生と、そいつの会社の連中と話していて、改めて「そういえばそうだった」と思ったのだが、彼曰く「大学での我々のクラス(土木工学科は3クラスあった)は、2浪3浪が結構いた。しかも、皆、東大くずれだったなあ!」という話になった。これがどうということはないが、皆、アジのある連中であった。今でも、あいつ、どうしているだろうと考えると楽しくなる。そういうエピソードである。しかし、面白い! 順調な方々とは違う人生を楽しんでいる。希望に満ちて大学に入学されて土木工学を学ぼうという方々、社会人となり建設の世界に入った方々にエールを送りたい。人生、先に何があるかはわからない。必ず波がある。だから面白い。
 ここで、お前の人生論なんか聞きたくない、という方も多いだろうが、実は「波」ということを言いたい。コロナの感染も波があり、維持管理に対する世の中の動きにも波がある。
 私が社会に出た1980年代にも、「これからは維持管理の時代だ」と言われた。橋梁メーカーなどは、こぞってメンテナンスの子会社を創設した。しかし、世の中はうまく動かなかった。この波は何度か繰り返している。しかし、辛い時代が続くと、結構、新設の橋が出たりして、維持管理が後回しにされてきたわけである。
 その繰り返しだったが、いよいよ付けが回ってくる。そもそも、なんで日本という国は、作るときに、先の維持管理のことを考えていないのだろうか? リスク管理ができていないのか? せめて、お金の面だけでも考えておくべきだったろう。構造や細部構造もそうだが、これは作るときの判断なので、今の仕事の仕方を見ていれば、無理なのはよくわかっている。

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