道路構造物ジャーナルNET

第57回 「新技術」と言うのは、「道具」である

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
政策参与

植野 芳彦 氏

公開日:2020.09.16

1.はじめに
 連日暑い日が続いてます。コロナも大変ですが、暑さも大変です。いかがお過ごしでしょうか?
 いろいろ始動し始めました。最近考えてますのは、どうも、皆さん苦労している? 割には、私自身もそうだが、何事空回りしている事項が多いのかもしれない。何が悪いのだろうか? 見ている方向が悪いのか?

時の判断が、後々長期にわたり影響する

2.うまくいかない理由
 自治体において老朽化対策がなかなか進まない、最大の原因は、財政の問題である。しかし、これは、いかんともしがたい。出ないものは出ないのである。ただ、ここで問題なのが、きちんと予算要求ができているかどうかである? 役所の悪いところで、実績主義で前年度並みで満足していないか? 本当に必要なものを要求しているか? 要求してもだめならば仕方がない。財政に決定権があるので。しかし、どうも、担当部署によっては、全く考えていない部署がある。言っても言っても、わからないので、あきらめた。世の中に取り残されるパターンで、危機感がない。しかし、現在はまだそれで通用するのだろう。民間でさえ気づいていない。
 今まで、災害などでは、責任を問われることにはならない。今回の熊本などの水害は、人災だという方もいる。まあ、災害のたびに言われている。毎回言われている。20年前に、川辺川ダムがストップし、ダムに頼らない治水ということが提唱され、やられるはずだった。東では八ッ場ダムもそうだったが、こちらは何とか再開し完成を見た。その後、ダムはいらない。道路もいらない。橋もいらないと言われた。我々の土木の世界は、あまり気にはされていないが、その時その時の判断が、後々長期にわたり影響する。この国では、あまりそういうことは問われずに、みんなの総意だということで済まされてきた。しかし、総意というのは難しい。本当に総意だったのか? 実は、だれか声の大きい人の意見だったのではないのか?

 総意とか合意と言う言葉は美しい。民主主義の根本のような錯覚を生み、マスコミが好きな言葉である。こう言った考えのもと、最近、インフラの老朽化の問題は、多くの情報が出回っている。雑誌などにも取り上げられている。しかし、受け手側としては、どのようにとらえるかということが重要である。そうそう、この文章も、受け手側の方々のとらえ方次第である。しかし、それは仕方のないことである。さらに、編集者にもよる。編集者の考え方や性格で、中身も変わってくる。きちんとした雑誌では「編集委員会」で審議されている。必ず文章を編集者が確認し関係者の了承を取ってくる。しかし、週刊誌風の雑誌になってきているものも見受けられる。こういうのに惑わされると、読者は勘違いを犯す可能性がある。しかし、それもこれも、自分の判断である。講演会もセミナーもそうである。本ジャーナルは、編集者の井手迫氏がフットワーク軽く、現場に行き額に汗して作っている。

老朽化対策 「しくみ」と「技術」のバランスが大事

 老朽化対策をうまく実行していくためには「しくみ」と「技術」の両方がうまくバランスよく、統合され、十分な予算がついて初めて、うまく行く。前述したように、予算は他人の要素も大きいため、プロとしては、「しくみ」と「技術」が重要となってくる。「しくみ」とは戦略である。全体をどのように動かしていくのか? 目的をしっかり定めそれに向かって、実行していくためのマネジメントである。「技術」とは、個々の技術である。点検の技術であったり、どういう機材を使うべきなのか? 補修材料は? 補修方法は? モニタリングの必要性は? さらには職員、個人個人の技術への理解と委託したコンサルの技術力、専門性も重要である。こういうものが総合的に、動いてこそ、うまく行く。
 「仕組み」に関しては、各自治体で自分たちの状況を分析し、組み立てなければならない。技術に関しては、しかるべき知見のある人間が判断しなければならないだろう。例えば業者の提案というのは本当に良いのか悪いのかはわからないのではないか?また個別の自治体に合うかどうかという問題がある。よく電気の供給をソーラーパネルでということが提案されるが、富山のような雨が多く冬は雪というところでは、日照量が少なくて、よくよく検討しないと機能しない。

営業トークに安易に騙されないことも「技術」

 「新技術」と言うのは、「道具」である。それをどう使うか? が重要なのだがそれが、わからなくなっている人たちが多い。無理して使わなくてもよいし、使ってみてもよいだけのことである。何度も書くが、補修材料や補修方法に関しては、よくわからないというのが実情である。公的な評価ができていないのである。検査機材に関しても、時々説明を聞いていて、笑ってしまう。先日、電磁波レーダーに関して「地表下2mまで検出できる」と言う。本当か? 私自身そんな機械は今まで見たことがない。よほど、電磁波の出力が強いのか? どうも、車載しているのでそうではないようだった。これを皆さん真顔で聞いている。私は、様々な検査法、検査機器について、今後必要だと思うところがあって、非破壊検査会社に数年居て、勉強させてもらったが、そんなものは見たこともきいたこともない。惑星探査のためにNASAにはあると聞いたことがあるが、普通には導入できないものである。今はマスクをしているので、たぶん皆に見られてはいないと思うが、笑ってしまった。質問をする気にもならなかった。周囲から質問が出るかと思ったが皆感心して聞いていた。営業トークに安易に騙されないことも「技術」である。カタログ値と実際の数値の違いもそうである。そのために評価が必要なのだ。

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