道路構造物ジャーナルNET

第56回 インフラ・メンテナンスの新たな世界

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
政策参与

植野 芳彦 氏

公開日:2020.08.16

1.はじめに

 コロナの感染がまた増加してきている。これは、私が常日頃言っている「再劣化」である。治療法が確立しない中どう対応すればよいのか? 感染数は増えていく。対応する側の無策が目に余る。未知のものに対応する戦略はどうすればよいのか?

 

 新型コロナウイルスすべての面でインフラのメンテナンスに該当するので注目している。結局最終的に困るのは双方とも地方自治体である。もう一つ、この問題と共通するものは、真実を発信しようとすると、はじかれるということ。だから真実は語られなくなっていく。

2.第2ステージへの対応法は?

「第2ステージへの対応をどうしたらよいか?」とよく質問を受ける。まずは、本当に、やる気があるかないかである。ここで気を付けなければならないのは、いかにも推進派のようなことを言いながら、細かなことを言い、実は反対派だという者が存在する。反対派が口を出してくれば、導入は滞る。粗探しをして、やらない方向に行ってしまう。新技術や新たな仕組みを導入しようとしたときに、必ず発生する抵抗勢力であり、残念ながらこれらの勢力のほうが強い。「できない言い訳」を探そうとする者もいる。本来は、「どうしたらできるか?」を考えるべきなのに、できない理由を一生懸命考えてしまう。本人は意識していないのかもしれないが、そういう者が役所には多いし、世の中にも多い。これは、地位・役職の上下にかかわらない。ではこういった場合は、本来はどうすべきなのか?以下が重要である。
① リスクを取る覚悟
② 俯瞰的なものの見方
③ 自分たちの目的の明確化
④ 責任を取る覚悟
 あえて説明はしないが、私が最近気になっているところである。
 さも、応援団的な言い方をして、実はつぶそうという方々が非常に多い。何が目的なのか? 自分の地位を守るために、自分たちの地域を日本という国を、ぼろぼろの荒廃した国にしたいのか?
 技術屋というのは、いかにも慎重論者だと思われるところがあるが実はチャレンジャーでなくてはならない。でないと進歩がない。今のこの世の中は、一部のチャレンジャーによる恵みを受けているのである。
 前回書いた「設計」であるが、これも、最初は、手計算で膨大な労力がかかった。断面計算などのソフトが開発され、単独のソフト使用による、図化の単純ミスなどを防ぐために自動設計のソフトが出てきた。一貫システムと言われる、図化まで一貫処理でやれる、自動設計・自動図化システムへと移行した。さらには、BIM/CIMのような3次元化への移行、3次元解析プログラムや有限要素解析等設計の高度化は行われている。しかし、これを本当に使いこなせる者は少ない。さまざまな、プログラムもシステムも道具であり、新技術の一部である。本来は分かっているものが使わなければ危険なのである。新技術にはそういう面もある。ドローンもAIもである。

 

3.新たなしくみと技術

 義理の息子は弁護士である。弁護士事務所に勤務している。普段は刑事事件や離婚や相続と、小さな事務所なので雑多なものをやっているようである。また、日本で3本の指に入る有数の法律事務所の代表やそこの弁護士たちなども友人である。この日本有数の法律事務所の弁護士とは、私が韓国から帰国後に友人たちから頼まれて主催したインフラのPPP/PFIの研究会に参加していた。この研究会は、橋梁メーカー(メタル・PC)とゼネコン大手をメンバーに33社集めた。弁護士とメガバンクにも参加してもらっていた。

 

 そして、義理の息子に先日相談を受けたのが、「ファイナンス」についてである。彼は彼なりに、今後必要なものとしてとらえたようである。「日本の弁護士は飽和状態にあり、今までと同じことだけをやっていたのでは、食えなくなる。何か公共に絡んだことをやらないと」という危機意識かららしい。この考えには賛同した。「どのように勉強したらよいか? 今後、日本の公共事業には法律が必要か?」というので、PPP/PFIの基礎の話や韓国での経験を話し、専門書を数冊貸した。彼は彼なりに勉強し、プロジェクトファイナンス、PPP/PFIが今後必要であると判断し、自分も勉強したいということである。弁護士の世界も、今までと同じことをやっていたら、じり貧であるということである。なんの事業でも、世の中が変化すれば、無くなるものも出てくる。危機感の問題であるが、それが感じられない人のほうが多い。


韓国での高速道路PFI 橋脚の施工自体は一般の工事と何ら変わらない

 8:2の法則とはそういうことを言う。8:2の法則とは自然界の法則として、環境が大きく変化する際に、8割は従来型で行こうとする。2割は環境の変化に対応しようとする。結果的に2割が生き残るというもの。これが、ほとんどすべての面で、世の中の法則に当てはまるということを東大の生物学の先生から教えていただいた。
 話を戻すが、PPP/PFIに関して、異分野の方のほうが必要だと感じるのである。これが問題なのだ。そもそも、役所に十分に金があれば、民間資金を導入する必要はない。すべての公共事業は動かせる。ある時から、社会福祉の充実が言われ、これに税金の半分以上が使われてしまうのである。これを、否定しているのではなく、そういうことを求める社会構造になったという現実である。残りの半分以下を、公共事業はじめ様々な事業を対応しなければならない。公共事業には、必要なものを作るという面だけでなく社会経済の活性化や雇用促進という側面もあることが忘れられている。PPP/PFIのような民間の活力や資金を公共事業に導入の検討を、すべき時期が来たということが言いたい。これは純粋にお金だけの問題ではなく、新技術や新たな仕組みを積極的に導入できないという、制度疲労を改革するうえで必要なのだ。日本ではこの辺が、いまだに試せていない。韓国では、20年前にやっている。

 たぶん、新たな仕組みを導入するというと、多くの方が反対する。まともに反対はしなくても、賛成しながら実は反対。新たなことはしたくないという方々も多い。ここで、必ず「地元企業の育成」という事柄が出てくる。確かに、地方の企業には頑張ってほしい。しかし、過度の保護は、逆に将来を無くすことになるのに気づかないのではないか?厳しき指導しながら将来があるようにしてやるのが本来の地元育成である。野放しはだめ!こうした甘えの構造が、今の老朽化での、初期不良問題を生んでいる。施工精度は落ち、品質も落ちている。そういった構造物を長く持たせるのは至難の業である。現場に行き実際の構造物を見ると、まあ、形はマネしてできているが、品質の面から行くとおかしなもの、水抜き孔等、肝心な設備が抜けているものは外側からでも容易に判断できるし、配筋がきちんと行われているのか?は疑問であるし、実際に鉄筋探査や、はつり作業にて、配筋不足や、スターラップの不良、定着長不足などの問題が発覚する場合がある。しかし、時効である。

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