道路構造物ジャーナルNET

㊷百錬自得

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
建設技術統括監

植野 芳彦

公開日:2019.05.16

1.はじめに 

 改元があり、新元号が始まりました。気持ちも新たに、ライフワークに取り組みたい。これからは、私の取り組みは「ライフワーク」と言おう!

2.課題山積

 いやあ、ここにきて、問題続発である。ひとえに、職員も業者も私の言うことを聞かないからである。(笑い)。
 土木技術、特に構造の世界では、経験が何よりも重要である。数多くの経験こそが、血となり肉となるのであるが、今の世の中それが軽視されている。若い方々の発想や感覚も重要なのであるが、長年の知見こそが、この世界には重要なのである。そのために私は、ここに居るのであると思うが・・・・。AIが、脚光を浴びているが、AIには、ディープラーニング型とエキスパートシステム型があり、現在考えられている多くが前者である。つまり、多くの教師データを必要とする、多くの知見に基づく物であり、それが重要だと言うことである。
 ついに、ここで予想通り(?)ではあるが、これまで、私も経験したことのないような重大なミスが発覚した。どうも、皆さん当事者たちが、さほど感じていないのが不思議である。失敗を責めているのではない、失敗は失敗として真摯に反省し、速やかな対応が重要なのであるが、どうもそうではない。失敗することも将来役に立つはずである。「失敗論」というものがあるくらいである。

 しかし、私の腹の中は煮えくり返っている。迅速な対応ができていない。余計な時間を使っているし、何よりも、他人ごとなのである。詳しい内容は今の立場では書けないが、(書いても良いのだが)ここを離れたら、いずれ詳しく語ろう。某所から自治体の実態の報告も依頼されているので、当然出てくる話である。少なくとも、6月議会以後に書く。
 以前にも、地元コンサルの状況を書いた。そのときには結構、多くの自治体の担当者の方々から共感を得た。地元コンサルの能力が満足を得られない状況だからである。これはコンサルだけではなく地元建設会社に関しても同様である。これまで自治体はきちんと技術力を研鑽し、当たり前のことを習得し、民間企業と議論して、事業を実施してきたか?長年、甘やかして、地元で金さえ回ればよいのか? 今後は、その結果が大きく問われる。既存の構造物を見れば一目瞭然である。現場に行ったときに、当該構造物だけでなく周辺の、管理物件や県や国の施工したものも見るようにしているが、どうも疑問に感じるものが多い。何がまた言いたいのか? 結局、官も民も経験不足が問題を起こす。
 おそらく、民間の対応に不満を抱いている方々は多い。しかし、そういう方々はまだ、発注者としてもまともなのである。何も考えない。感じないものも多い。だから後から問題が起きる。
 官側を見ると、まず、考えていない。技術の世界では、考えて判断し、決断していくことが重要である。しかし、これができていない。決断さえできないで、余計な時間を使っている。たとえば、設計という行為においても、判断と決断は何度となく必要なのである。民間側でここができない部分においては官との協議において、決めていくことになるのであるがそれも不十分なのである。そして、隠そうとする行為である。影響の少ない、軽微なものは問題ないが、大きく世の中に影響するようなものは隠せば後々問題となる。
 実は20年ほど前に、「北陸地方は構造物の設計がどうも怪しい」ということで、本省からの指示で、私が3県(新潟、富山、石川)を回り、県と市町の職員に構造物の研修を行ったことがある。結局、その当時から変わっていないことになる。赴任してからも、周りの状況、地元との話をしながら、感じていたのはどうも、不十分であるということであった。しかし、これを露骨に言うことは、これまでしなかった。しかし、どうも物を見ているとおかしい状況が分かる。そして、予防のためか?陰で悪口を言われていたが、ここにきて、やはり問題が出てきた結果である。問題? イヤイヤ犯罪である!

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