道路構造物ジャーナルNET

㊵機関車でありたい

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
建設技術統括監

植野 芳彦 氏

公開日:2019.03.16

1.はじめに 

 だいぶ世間は、春めいてきました。皆さんお元気でしょうか? 年度末の業務に追われていることと思います。
 前回の書き込みで、だいぶ弱音を言っていると思った方もいることでしょう! 弱気なのではありません。任期も、あと13ヵ月(これが出るころは12.5ヵ月)。そろそろ真剣に次にやることを考えています。自分自身のメンテナンスも含め、もうそろそろだということです。
 何事も時間というものは、期限を切って、精一杯取り組むことが重要です。ダラダラとやっていてもまとまりません。そして次に向う。これが私の心情です。先日、私が富山市に来るきっかけとなった、K氏と話しましたが「もういいんじゃない。長く居ると周りが甘えるから」との言葉をもらいました。私自身の力は限られていて、自己流でやらせてもらいましたが、間違いなく収束に向っているということです。
 私自身は、基本的に望まれるところに行き、望まれる仕事をします。無ければ無いで自分の好きなことをしていきます。ここに来たのもそうでした。(ここが皆さん勘違いしている)“プロ”の精神とはそういうものでしょう!

2. この1ヶ月の懸念

 最近様々なセミナーや講演会に招かれて話している。会場の反応を見ながら話してはいるが、「この人たちは何処まで分かっているんだろう?」と分からないのが現状である。たぶん、維持管理がお金になるとの判断からの情報収集が主で出席しているのであろう。この受身の姿勢が良くない。
 私のこの分野での評価は「唯一、本音をいえる変わった役人」であるそうだ。国の委員会などでもそのように評価されている(最近、こちらのオファーが多い)。なぜオファーが多いのか、おそらく皆さんが、自分で考えて実践していないからだろう。他人の考えで動いているからであり、さらにそれは、インフラに関する知見が低いからであり、マネジメント思考が無いからである。さらに「おもしろい」と言われるが、面白く話しているところはあるが中身は決して面白くない。ありきたりの話を、ありがたがって聞いた後だから、面白いのだろう。 
 橋梁などの点検をすると、判断に見解の相違が生じる。それは、当たり前のことである。民間の業者の方々は、自分達なりに判断し、発注者は発注者なりの判断をする。これは、仕方が無いことであり、当たり前のことなのだ。しかし「責任」というものが存在することも忘れてはならない。
 「市民のため」という事を良く市役所では、耳にするが、実際にやっていることは、そうなのか? たとえば、「発注」と言う行為は、まさに、市民に変わり、様々な物を調達する行為であり、ここにも責任が発生する。妙な忖度をして、「地元企業に」という事を良く聞くが、本当にそれが「市民のため」なのか?それぞれの企業や個人には能力というものがあり、できない者は出来ないのである。
 あとは、決断である。技術者で重要なのは決断である。判断もそうであり。やるかやらないか?どうするか? は決断であり、役所の仕事は、措置の決断にある。しかし、そこには責任が存在することを忘れてはいけない。よく「誰が責任を取るんだ」と言う言葉を聞くが、だいたいの場合は言っている本人なのである。あまりこれを追求すると、また、決断しない人たちが出てきてしまう。しかし、せめて、法律や通常のルール、技術者であれば設計や施工のルールはきちんと守りましょうよ。最近あまりこの辺はもう言いたくない。あまりにもひどい!
 様々な思いつきでの意見を、教えてくれる方々が居る。ありがたいのだが、実は、ほとんどはすでに検討済みであり、課題が多くて出来ないか、地域性として時期尚早なので止めている事柄である。思いつきは言うが、「一緒に実行しましょう」という事を言う方は居ない。机上論はもういいのだ。やってみればよい。

3.「橋梁マネジメントカンファレンス」始めました

 先月から、「橋梁マネジメントカンファレンス」という、あらたな「しくみ」を開始した。
 これは、これまで点検を行い、課題の大きい橋梁に関して、悩みどころが多いために、有識者数名に入っていただき、我々の見解や今後の措置方針を説明し、先生方から御意見を伺うという「しくみ」である。課題を、「技術的課題」と「社会的」課題に分類し、それぞれの有識者から、アドバイスをいただき、我々の判断材料と市民などへの説明にも役立てようというものである。病院の患者さんの措置に対する、カンファレンスと同じ構図である。
 このしくみの真意に関しては、「トリアージ」と同様に、それぞれ考えていただきたいのである。


社会的状況

技術的課題

 第1回目は、2月28日に、深田宰史・金沢大学教授、宮里心一・金沢工業大学教授、佐野修久・大阪市立大学教授においでいただき、試行的に、かねてから懸案のK橋に関して実施した。
 やってみた感想としては、成功であったと感じている。先生方からも忌憚のない意見を伺うことが出来、別な視点からの判断材料というべきものもいただいた。なによりも、私が言っても信じない職員も先生方が言えば信じるという最大の利点も有る。
 さらに、職員に説明させることにより、より緊張感の高い、資質向上になる。
 先生方からも、評価をいただいたが、おおむね、良好であった。
 何よりも、おそらく自治体としては日本初であろう。今後、こういった、会を重ね職員の資質向上と負担軽減に努められれば幸いである。私は、厳しいことを言っているだけではなく、一応職員が楽になる方策も考えている(笑)。


インフラメンテナンスの課題

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