道路構造物ジャーナルNET

シリーズ「コンクリート構造物の品質確保物語」⑮

南三陸国道で行われる受発注者の協働思考 高品質のトンネルを実現するには

横浜国立大学
大学院 都市イノベーション研究院
准教授 

細田 暁 氏

公開日:2017.01.21

目視評価の実践 基本は施工管理員
 重要部材は自分で目を光らせる

 ――少し話は変わります。加藤さんは現在、事業促進PPPの主任技術者を務めておられますが、具体的にどういう業務をされているのですか
 加藤 設計から施工まで様々な視点から問題を吸い上げて、効率的な事業を推進する業務を担っています。全般的な施工監理といってもよいと思います。
 ――その中には当然トンネルもありますよね
 加藤 もちろんです。
 ――手引きにあるような、例えば目視評価も加藤さんは使っていますか
 加藤 使っています。部下に指導することや、実際に自分で見ることも行っています。基本的には施工管理員が評価しますが、打設初期の頃は自分でも立ち会っています。
 ――この品質確保の手引、もしくは長持ちさせる耐久性確保、を持続的に推進させていくための課題について
 加藤 現場の所長を務めていた時には、良いものを作ろうということで、自分でもセントルの中に入ったり、打設状況を見て指導して良いものを作ろうと気張ってきました。良いものを作るには、作業員には苦労が付きまといます。特にトンネルというのは同じ作業の繰り返しです。人間、1キロも2キロも同じことをやっていると、マンネリ化してきます。不具合はそういう時に発生しやすい。だから施工管理体制をしっかりと整えて、現場の所長が目を光らせる必要があります。安全と同じです。現場は安全も品質も基本トップダウンでやらなければいけない。常に新鮮な気持ちを責任者である現場所長は忘れないようにしなければなりません。表層目視も同じで、できたものにムラが出てくることを防ぐために、トップが目を光らせていかないと1㌔、2㌔という長大トンネルで良いものはできないと思います。最新の水平打設工法の一つにしても3人も4人も打込みパイプの切り替えしを頻繁に行って、すごく苦労して打っています。その辺の管理体制ですよね。

若手はむしろ増えている 教育の仕方が大事
 現場が最高の教材 足を運びノウハウを増やせ

 ――今でも素晴らしい職人はたくさんいますけど、職人の数も減ってきているし、レベルも落ちてきているところもある。その辺の危機感はありますか
 加藤 今の職員はパソコン内業が多くて、現場をあまり見る時間がないような気がします。職人もべテランが引退して、かなり若手も入ってきています。彼らは体力もあるし、結構無理がききます。教育の仕方によっては、若い人もかなり育っていると感じます。リーダー次第ですね。
 ――何事もリーダーはやっぱり大事ですね。現場所長はもちろん職長も大事
 加藤 トンネルの施工では、加齢による体力の違いが大きく影響します。狭い中での大変な作業ですから
 ――先ほど職員のこともおっしゃりましたね
 加藤 現場の立ち会いが少ない。やっぱり現場を見ないと、職員の技術も上がらないと思います。
 ――(編集部)職員というのは具体的に誰を指していますか
 加藤 担当者ですね。施工会社の覆工担当者。覆工に限らず掘削もそうですが、現場で苦労して、ノウハウを蓄積していけば、どんどん技術力は上がっていきます。技術者は現場に行って欲しいですね。


覆工コンクリートの打音点検

 ――(編集部)先ほど話した「トップダウン」の大切さをもう少し詳しくお願いします
 加藤 私の例ですと、実際に覆工作業者、職長さん、それから仲間たちと、現場でお互いにディスカッションしました。納得しないとやってくれないので。例えば横じまをなくすための議論をしたことがあります。型枠バイブレーターしかなかった時代で、型枠バイブレーターを付ける個所、バイブ施工する時間を実験しながらやっていきました。議論もただ漫然と行うのではなくリーダーが具体性を持って、基本方針を提示することが大事です。
 そうした議論を行った上で実験し、施工すると課題は改善していきます。
 ――やっぱり現場なんですね
 加藤 やっぱり現場の職長は所長が意欲を見せれば、ついてきますし、傘下の職人も職長の言葉には従います。面白いもので、そうした評判が伝われば、加藤の現場は、覆工コンクリートの品質に拘りがあると口コミで伝わっていき、気構えとやる気のある人が集まってきます。するとどんどんやり易くなっていくし、品質も向上していくんですよね。
 ――(編集部)納得です
 ――どうもありがとうございました

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