道路構造物ジャーナルNET

-分かってますか?何が問題なのか- ⑫「モニタリングの現状と課題―持続力と議論が必要―」

これでよいのか専門技術者

(一般財団法人)首都高速道路技術センター 
上席研究員

髙木 千太郎 氏

公開日:2016.04.01

相手の側に立つ配慮、温か味のある返礼
 依然としてある第二次世界大戦の影響 

はじめに(間伐材・横断抑止柵顛末)
 日を追うごとに暖かくなり、イギリス大使館や千鳥ヶ淵にも美しい桜の咲く季節になったと思ったら急に冬に逆戻り、花見で一杯にはちょっと寒すぎる変な気候である。さて、前回の話題提供した一つ、イギリス大使館前のポケットパーク(内堀通り)に設置した間伐材・横断抑止柵にはもう一つお話ししなければならないことがある。未だにある欧米人の日本に対する根強い不信感?である。
 既存の鋳鉄製横断抑止柵を木製への交換について、当然事前説明をイギリス大使館側に行った。以前から聞いていた柔和な大使に会って説明をと考えていたが、当日は、大使に他の用事があり大使館にはいなかった。そこで、大使の代理に木製横断抑止柵の説明を図面と写真を基に行った。説明を聞いた大使の代理は、説明した交換案に大筋了解したので、よかったこれで計画は実行できると思った。最後に、「一応大使に説明しますので最終の回答はそれ以降でお願いします、少しお待ちください。」とのこととなった。ところがである。翌日代理が大使に説明したところ、「木製の横断抑止柵は、今と同じような色ですか?それとも違った色彩になるのですか?」と大使から聞かれたと電話がきた。間伐材ではあるものの表皮を剥がし円形加工するので「色調は木の無垢、白色となります。」と答えた。しばらくしてイギリス大使館から「今回の横断抑止柵交換についてですが、大使は反対している。」との回答。これにはびっくりした、後一歩のところで“どんでん返し”である。四苦八苦してようやっとここまで来た過程を考えると、簡単には引き下がれない。「大使はなぜ反対されているのですか?木製であることから耐久性が無く、危険との判断ですか?反対されている理由は何か教えていただけませんか?」と当然聞いた。
 大使代理の回答にもっとびっくりした。「反対している理由は、木製となることでなく、無垢の白木となる事に反対している。」との事であった。要は、木製の白木、イコール“神”“軍国主義”“第二次世界大戦”に繋がるとの事である。その場で返答が出来ず、がっかりして大使館から退去、最後に大きな障害が立ち塞がった。『人にも環境にも優しい材料、今まで廃棄していた間伐材の有効活用。設置場所第1号が半蔵門の近く桜の名所、イギリス大使館前でお披露目・・・と報道ストーリが完成、大々的に報道、幹部の栄転にも大きなプラスと意気込んで説明してきた自分は大きく落胆。どうやって幹部に説明したら良いのかと・・・怒鳴られるかな、まあしょうがない。駄目でもともと、もう一度一から考え直してみようと。救いの神が現れた、公園関係の造園技術者である。木製であることから、腐りやすく虫もつきやすい。当然防腐剤処理するはずであり、その際に薄く着色すれば白木ではなくなるはずとのアドバイス。直ぐに、加工会社に連絡、今なら十分間に合うとの回答を得て、再度英国大使館にアタックした。「問題となっている無垢・白木でなく、薄くブラウン色に着色します。ですから白木には見えません。私の米国での実体験からも多くの道路防護柵や遮音壁に同様な色彩で設置されています。」と説明を行った。
 神に祈る気持ちで回答を待っていたところ、暫くして「大使は了解しました。再度確認しますが、白木が想像できないような色彩ですね、周辺の緑や美しい桜と調和するようにしてくださいね。」との嬉しい回答。ここで思ったことは、侵略戦争・第二次世界大戦のつけは大きい。私の感覚では“第二次世界大戦”は遠い過去の事、生まれ変わった日本人を認めてくれているとの思いであったが、外国人の多くは、大和魂・軍国主義・侵略戦争を忘れてはいないと言うことである。イギリス大使の好感度アップとなる対応を最後に紹介するとしよう。間伐材横断抑止柵の設置が年度末に完了、桜が咲く中での報道人及び地元へのお披露目となった。その時、イギリス大使から突然のお誘い、大使館で恒例となっている『大使館主催の花見の宴』への招待を受け歓待、イギリス人の温かみに触れ、私の彼らに対する好感度がアップしたことは言うまでもない。

モニタリングの世界市場規模は20兆円に上昇?
 その30%を日本が獲得する目標を公表

 さて話は長くなったが今回は、国の進めている高度情報処理?の一環モニタリングについて、私が関係している東京都港湾局が管理する鋼長大橋の東京ゲートブリッジと私の米国におけるアンテナとなっているMinnesota DOTが管理するプレストレストコンクリート長大橋のI-35W Saint Anthony Falls Bridgeを事例として概説し、モニタリングについて個人的な意見を述べることとする。
 国は、産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具現化と推進について調査し、審議するために産業競争会議を設置している。ここでは、戦略市場創造プランを示し、その中で『安全・便利で経済的な次世代インフラの構築』において『安全で強靭なインフラストラクチャーを低コストで実現』を目標にロードマップが示された。それによると4年後の2020年には、国内の重要なインフラや老朽化(何度も言いますが高齢化でしょ!)するインフラの20%はセンサ、ロボット、非破壊検査技術等の活用によって点検・補修が効率化され、2030年にはその比率を何と100%とすることを目標に掲げている。中でもモニタリングについては、世界市場規模を現状のゼロから20兆円に上昇すると予測し、日本がその30%を獲得すると目標を立て公表している。
 国土交通省が主催する“社会インフラのモニタリング技術活用推進検討委員会”の専門委員でもあった私から、目標は良いが実行性と海外交流について大きな疑問が残る現状に苦言を呈することとする。

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