道路構造物ジャーナルNET

①魅力ある提案が欲しい

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市 
建設技術管理監 

植野 芳彦 氏

公開日:2015.12.21

 民間と行政の双方を経験し、何が見えるか?書いてほしいとの話があった。執筆を引き受けたのは良いが全く書く内容に困った。しかし、これから大きく変化する、社会情勢の中で特に、何が今問題なのか?我々は何をするべきなのかを考える一助になればと思い書くことにする。技術的内容よりも、一般論に近いものとなる。書くに当たっては、批判も罵声も大いに結構である。さまざまな考えの方が居て当然であり、私の考えが間違っているかもしれない。大いに批判していただきたい。さらに、今後、ここに記すことは、富山市の公式の見解ではない。また、富山市の他の職員の意見でもなく、あくまで植野個人の見解であることを強調しておく。

1.これまでの経歴と現在の立場

 まず、私の経歴と、現在の立場、其の経緯から説明する。橋梁メーカー⇒建設コンサルタント⇒国土交通省の財団法人⇒非破壊検査会社役員⇒社団法人役員⇒富山市 建設技術管理監という経歴である。これは、私の「橋梁」に対するキャリア・マネジメントである。もちろん、最初就職した当初は、その会社で一生勤務するつもりで居た。どうも、落ち着かない性格と、同じ一生なので、いろいろやってみたいと言うのが、こういう結果になった。しかし、一貫して35年間橋梁の世界で生きてきている。それぞれの立場、それぞれの場面で、さまざまな経験ができたところは大きい。他の方が、見ることができないところを見られたと思っている。また、この間、システム開発や新規事業開発、海外業務、各種国および土木学会の委員会活動、さらに、複数の社団法人等の立ち上げ、事業会社の設立準備なども行ってきた。
 現在は、富山市の「建設技術管理監」と言う地方公務員の立場で、インフラ全般と職員教育を特命として帯びている。ラインではないので、路面電車、都市整備や企画等の他部門の案件も関わっている。職員教育は技術職員だけではなく全職員を念頭においているが、受け手のほうが、そうは思っていないようである。役所の職員は、非常にまじめであるが、判断の幅が狭いのではないだろうか?月に1度の「植野塾」2週間に1度の橋梁技術者研修を実施。「植野塾」では、インハウスエンジニアの心得を中心に、新たな公務員像を考えてもらうよう説いている。
 さて、富山市に来た経緯である。インフラの老朽化問題が全国的にも大きな課題となっているわけであるが、NHKの特集番組の中で、富山市が事例として取り上げられ、地元コンサルによる点検の不備や、台帳の整備不足、さらに発注者の中に専門的知識を持つ人間が居ないと言う課題が出された。この時に指摘していたのが、高木千太郎さんである。当時、私は関東在住で、社団法人の理事等、比較的自由な立場でマルチに活動していて、これまでの経歴から橋梁の全てのプロセスを経験しているということで白羽の矢が立ったわけである。ほとんど縁の無い富山市に来るに当たっては、ずいぶんと抵抗はしたが、最終的には、当時の副市長との人間関係にある。よく、皮肉をこめて「なぜ富山市に来たのか?」と質問されるが、それは、単純なことで「頼まれたから来た」のである。プロは依頼された仕事を実行する。其れのみである。本音で言うと、個人的には損失である(時間と金銭的に)。しかし、ご理解いただけないであろうが、損得抜きの選択である。最近、プロ意識の無いかたがたがほとんどである。プライドは高いがプロ意識が無い。残念なことである。高木さんも其れを嘆いているのではないだろうか?


八田橋

 赴任まもなく、地元業者の社長さんと議論になった際に、其の方から「あんたは、素人か?」と罵声を浴びせられた。「あんた」という言葉、其の物言いに、腹が立ったが、「素人か?」と言うのには、ビックリした。30年間以上、橋梁関連の仕事をしてきて、名称すら知らなかった富山の会社の方に言われたので驚いた。「自分もまだまだだな」と反省した。普通、知らない奴が、自分たちに影響するポジションに来れば、自分たちでいろいろ調べて対処法を考えると思う。今では、インターネットで調べれば、いろいろ出てくるのだが。
 基本的に、私は、「来るものは拒まず、去るものは追わず。敵対するものにはそれなりの対応をする」のがモットーである。誰であろうと、飛び込んでくるものに対しては、ウエルカムである。しかし、ほとんどの業者さんは、音なしの構えであるので困ってしまう。自分たちは何がやりたいのか?どんどん提案していただければ、採用していきたい。ただし、担保の無いものは困る。「仕事が欲しい。お金が欲しい」だけではまったく認められない。其れが見え見えなので、厳しくやらなければならないのだ。

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